百度沸点で振り返る2019年の中国、国民を鼓舞した記憶に残る出来事トップ10とは? スポーツが4項目入選
百度沸点は、中国検索エンジン最大手・百度(バイドゥ)の行う年度栄典(名誉を与える)活動の1つである。選考はすべてネットユーザーの検索データに依拠し、評議委員会などにより選ばれたものではない。つまり日本の流行語大賞や、今年の漢字のように、誰がどのような基準で選んでいるのか、はっきりしないものとは違う。2019年は何が選ばれたのだろうか。見てみよう。
百度沸点の基礎データ
「百度沸点2019年ランキング」は下記のビッグデータを分析しているという。
百度捜索―検索エンジン。中国ネット民の95%をカバーし、1日平均数十億の検索がある。
百度視頻―動画サイト。ユーザー数1億、デイリーアクティブユーザー2000万。
百度貼巴―コミュニティプラットフォーム。趣味サークル810万、1日口コミ平均6000万。
百度音楽(千千音楽)―音楽ストリーミングサービス。
これらを基に、最初に発表されたのは、「2019年度科学技術用語」だった。その後、流行語編、人物編、TV編など、さまざまな編集が発表されている。
2019年度の記憶1~5
それらの中から、12月中旬に発表された国民を鼓舞した「年度記憶」という編を紹介してみよう。以下の10項目を挙げている。
1 新中国成立70周年。
2 中国女子ワールドカップバレー2連覇。
3 孫陽、水泳世界選手権400メートル自由形4連覇。
4 北京大興空港オープン。
5 卓球ワールドカップ団体戦、中国男子8連覇、女子9連覇。
スポーツの成果が上位に並んでいる。中国ではリオ・オリンピックのときもそうだったように、女子バレーの人気は非常に高い。開催国・日本ではラグビーワールドカップ人気の影にかくれ、盛り上がりを欠いていたが、中国ではそうではなかった。
孫楊はドーピング疑惑によって、他の選手から表彰式を忌避されるなど、世界的に物議をかもしたが、本国での評価には関わりないようだ。
2019年度の記憶6~10
6 屠呦呦(2015年、ノーベル医学・生理学賞受賞)博士によるアルテミシニン(青嵩素)の研究が新たな段階へ。
7 地震予知に成功。
8 蘇炳添、世界室内陸上選手権(英国バーミンガム)男子60メートル決勝、6秒47で優勝。世界一に返り咲き。
9 嫦娥4号、月の裏側に着陸
10 長征11号発射。
7の地震予知の成功というのは、少し分かりにくい。これは12月9日15時20分57秒に四川省・綿陽市発生した、震源10キロメートル、マグニチュード4.6の地震を、成都市高新(ハイテク)減災研究所と応急管理部門の地震予知システムが、綿陽市では7秒前、成都市では25秒前に警報を発したことを指す。日本の緊急地震速報と同じで、テレビやスマホに流された。ネットユーザーからは、非常に正確で驚いた、などの声が上がっていた。四川大地震(2008年)の近接地でもあり、インパクトは大きかったようだ。
まとめ
トップ10にはスポーツが4つ入選していた。国民的スポーツの卓球、人気の高い女子バレー、その他は、西欧人と互角に戦う、陸上や水泳選手のインパクトが強いようだ。しかし、孫楊、蘇炳添ともすでにベテランである。2020東京オリンピックは年齢的にぎりぎりかも知れない。来年も国民の記憶に残る活躍ができるだろうか。新しいヒーローの誕生は?来年のトップ10には、いくつランクインするだろうか。