2019年を振り返る②中国のシェアエコノミーは概ね平静、“冷思考”の時代へ
今回はシェアエコノミー界を概観する。シェアサイクル、カーシェリング、バッテリーシェア(スマホ充電)の3つについて、ネットメディアから探ってみよう。
シェアサイクル
シェアサイクル業界は、比較的平穏だった。ofo (小黄車)とMobike(摩拜単車)の2強時代から、美団(Mobikeを買収)と哈羅、青桔の“三足鼎立”へ変化した。
哈羅出行は2016年11月、浙江省・寧波市でスタート。当時、北京・上海など一線級都市は、ofoとMobikeに握られていたため、三~四線級都市に生存空間を見出す。2018年3月の保証金免除以来、ユーザ―は急伸した。同年5月の登録数は70%増加し、1日の利用数トップに。1年半後の今、哈羅の利用数は、ofoとMobikeの和に等しい。1日当たり2000万回、ユーザー数2億人、市場シェアは50%を超えた。哈羅には、出資者としてアリババが控え、資金面の懸念はない。現在の企業価値は50億ドルと見積もられている。
美団単車は、買収したMobikeを徐々に“消化”していった。ブランド名を美団単車へ変更し、生活総合サービスの美団アプリと連携した。ユーザー登録も互換できるようになった。美団グループは、シェアサイクルを、2020年の投資重点分野と発表している。
青桔単車は、配車アプリ最大手、滴滴出によって2018年1月、四川省・成都からスタートした。2019年5月、北京に進出した。
3社のミニプログラム経由ユーザー規模(2019年7月)は、哈羅4162万人、青桔4003万人、美団2878万人、独立アプリでは哈羅1971万人、美団1090万人となっている。哈羅、美団、青桔の3国時代へ“平穏に”移行した。
カーシェアリング
シェアサイクルに比べ、カーシェアリングの2019年は、厳しいものだった。2017~18年には、新規融資案件が相次いだ。
立刻出行、有車出行、小二租車、大道租車、芒果出行、巴歌出行、途歌、駕唄、ponycar、Gofun、盼達用車、小二租車、一歩用車、易開出行、一度用車、微祖車、合計15社である。
立刻出行にはアント・フィナンシャル、有車出行にはNIO、小二租車には百度、ponycarにはOppo、Gofunにはフォルクスワーゲン、微祖車にはGMが出資している。
しかし、2019年になり業界は暗転した。途歌、盼達用車、立刻出行で、保証金の返還請求が滞ったのである。かつてのシェアサイクル業界と同じ状況に陥った。問題は次々に暴露され、業界は生死の境を彷徨った。
しかし、第三四半期までの融資によって、エネルギーは充電され、今ではほとんど支障はなくなっている。業界にとって、今年の外部環境は厳冬だった。
バッテリーシェア
バッテリーシェア業界も2017~18年は、カーシェアリング業界同様、融資案件が相次いだ。
小電、来電科技、街電科技、怪獣充電、松鼠電電、充充、白駒、掌充、中移電力、伏持加、小右共享、河馬充電、Hi電、の13社である。怪獣充電には、シャオミが出資している。
2019年、バッテリーシェアのユーザー規模は3億500万人、2020年は4億800万人に成長するとみられる。しかし、選択と集中は加速していく。
第一グループは、街電、小電、怪獣充電の3社である。中でも街電のシェア(2019年上半期)は、40.5%に達した。来電科技、雲兊巴などが第二グループだ。ここへ、生活総合サービス大手の美団点評が参入する、と噂されている。
シェアバッテリーの利用頻度は上がり、2020年はさらに熱い戦いになりそうだ。
まとめ
2019年、シェアサイクルは平穏、カーシェアリングは寒冷、バッテリーシェアは高熱、とそれぞれだった。しかしメディアは、社会全体として、シェアエコノミーへの視線は“冷思考”になったと表現している。
ただし、いずれの業界もビジネスモデルは、バージョンアップを遂げている。観察する側も新しい視点が必要となりそうだ。