2020年のネットメディア広告はどうなる?BAT&Tでシェア80%、トップ10で95%、上位集中はますます顕著に
中国では紙媒体が滅亡したわけでも、パソコンがなくなったわけでもない。しかし80%の人が、最も注意を引く広告媒体は、モバイル端末と答えている。そしてそのモバイル界では、すでにIシェアは固定化されている。テンセント(T)-Wechat生態系を筆頭に、アリババ(A)系、バイドゥ(B)系、バイトダンス(T=頭条)系のBAT&T
の上位4社がを支配しているのだ。2020年のデジタル広告界はどのように動くのだろうか。
ネット広告は天井?
情報管理企業「勝三」のレポートによれは、2019~2020年、BAT&Tのデジタル広告収入シェアは、全体の80%超えを予測している。
伝統的広告媒体は苦戦している。2019年上半期の投資伸長率を見ると、減少しているのは、テレビ12.4%減、新聞30.6%減、雑誌6.1%減、ラジオ9.7%減、戸外広告16.0%減である。増加しているのは、映画上映前広告9.0%増、オフィスモニター広告4.1%増、エレベーター内広告6.2%増、航空広告1.0%増、地下鉄広告2.0%増などである。
全体に占めるデジタル広告の比率は、2016年の43%から、2019年には53%に増加した。しかしすでに。国民のインターネット普及率は61.2%まで高まった。ユーザー数は天井に近付き、人口ボーナスは消失しつつある。
2020年への問題提起
2020年のネット広告業界には何が必要とされているのだろうか。某記事は鋭い問題提起を行っている。以下要約してみよう。
1 広告主の希望は、媒体としての価値と商品の希少価値、その両方が明確になること。権威ある生活情報ルートを目指すべき。
2 中国広告業界では、伝統的メディアからニューメディアへの“断捨離”が進む。しかしモバイル広告は独立した世界ではない。モバイルを中心に所有メディアの調整と、コントロールが必要。
3 CPM(1000回表示当たりの広告コスト)を意識して、広告の販売方法を変革する。すると必然的にBAT&T、微博、網易、捜狐などスーパーアプリ中心になる。
4 広告主のコンバージョン(Webサイトにおける最終的な成果)計算は、ますます精緻になる。2020年にはオフライン広告の巻き返しも予想され、広告のOMO(Online Merges Offline)化が必要。
BAT&Tに集中
そして1月中旬「2019中国互聯網広告発展報告」が発表された。それによれば全ネット広告収入は4367億元(7兆円)、前年比18.2%増だった。ただし増加率は、その前年に比べ6%低下した。構成比は、ネット通販35.9%、前年比3%増、検索14.9%、同21%減、視頻類(ビデオやライブ放送)12.5%、同43%増だった。
トップ10は、アリババ、バイトダンス、百度、テンセント、京東、美団点評、新浪、シャオミ、奇虎360、58同城の順である。上位10社のシェア合計は94.85%に達し、集中度は2018年比で2.18%、増加している。個別シェアは出ていないが、BATで63%とある。勝三のレポートなる2020年、BAT&Tのシェア80%は、すでに前倒しで達成されているようだ。
まとめ
注目は43%伸ばした“視頻類”と、その代表選手「TikTok」である。全世界のダウンロード数は10億、バイトダンスの快進撃を支えている。企業はSNSの企業アカウントに張り付け、広告に利用している。また人民解放軍や治安機関など、“硬派”な公的機関も多くの公式アカウントを持ち、組織の広報宣伝に使っている。そしてそれらのアクセスランキングまで発表されている。TikTokにはさまざまな利用方法がある。中国市場へ進出する日本企業は、まず第一に検討すべきアプリである。
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