2019年双11(11月11日独身の日セール)速報、2009年第1回の5368倍に成長
アリババは、双11の仕掛け人にして、その象徴でもある。日本のニュースで報じる売上高は、ほとんどアリババのそれである。今年は2684億元(4兆1000億元)を記録した。前年の2135億元から、25.7%伸びた。前年の伸び率26.9%からほとんど落ちていない。高い成長率を維持し、第一回(2009年)の5000万元から5368倍に成長した。データの早いアリババに絞り、分析してみよう。
5億人の参加者
今年のアリババ双11へ参加したネットユーザーは5億人を超えた。昨年より1億人、25%増えた。これがそのまま売上増につながっている。500億元(7700億円)に上る値引きを提供し、消費者の購買意欲に働きかけた。増加した1億人中の70%は、3~5線級都市の新規参入者だった。彼らは双11の活力維持に大きく貢献した。
新商品の焦点だったiPhone11は、セール開始後1分で1億元を突破した。また人気のPopmart labubu mini は9秒で5万5000個が売れた。新しい商品のおっかけ“追新族”の活動は顕著だったが、アリババは新商品の提案を、双11販売戦略の中心に置くことで、売上げにつなげた。メーカーにとっても、新規顧客を発掘する大きな突破口なることを証明した。
国産ブランドや農産品も健闘
今年は299のブランドが、売上げ1億元(15億4000万円)以上の“億元クラブ”入りした。昨年の237から、やはり26%増えている。
注目を集めたのは、国産化粧品ブランドの「花西子」である。初参加の双11にも拘わらず、スタート1時間後に1億元を突破した。
3~5線級都市の活況は、新しい商品供給源の開拓にもつながった。多くの産業集積、農産基地が存在しているからだ。双11の24時間で、1億7000万にのぼる発注が、直接工場へ届けられ、地産地消も進んだ。
また農産品においては、アリババ全プラットフォームの合計が70億元(1080億円)を突破し、昨年を50%以上も上回った。アリババは農村脱貧(貧困脱出)プロジェクトとして、全国707県、4548品目の農産品を、通販サイトにアップしている。こちらも大きく昨年を上回り、脱貧プロジェクト成功のカギを握っている。
まとめ、各システムのアップグレード
共同購入も威力を発揮した。アリババの共同購入プラットフォーム「聚劃算」は、31の商品を1億元以上、1064の商品を1000万元以上売り上げた。
物流では、スタート12時間後には、全国324都市で配送業務が始まった。16時間33分後には、10億件を突破、これは昨年より6時間45分も早かった。総計は12億9200万件に達し、スマート物流の新記録を樹立した。
また、主要物流会社と共同で、環境配慮の“緑色双11”活動をリードしている。物流子会社の菜鳥では、通い箱を推進する“回箱計画”をアップグレードさせた。全国4万の配送ステーション、3万5000の中継点において、包装資材の分別回収、再利用を進めた。
コンピューターシステムのアップグレードも進んだ。すでにシステムは100%、クラウドコンピューティング子会社「阿里雲」の公共クラウド上にある。そして今年の双11では、1秒当たり54万4000回の発注処理を行った。これは、2009年第1回双11の1360倍であり、世界最高記録である。複雑な要素が加わる一方の双11に対する、技術的挑戦の成果だ。アリババ独自の「飛天雲(クラウド)」は世界最大量の物流を捌くことに成功したのである。
アリババの双11は、約25%の規模拡大に成功した。まずまずの評価といってよいだろう。しかし、この程度の成功は、もはや宿命付けられてしまった。だれも大成功とはも思わない。すぐに来年へ向けての戦いを始めなければならない。