中国男子は“顔値”がすべて、美意識に目覚める90后の男性たち、新しい消費市場をリード?
中国社会は、自己主張と交渉の繰り返しで成り立っている。自分と一族の社会的上昇を目指し、交渉はいつまでも続く。交渉を有利に導くためには、気迫と見た目の良さが重要だ。
そこでひと昔前の中国人男性は、ブランド品を身にまとい、高級車に立派な事務所を構え、商談等の戦いに臨んだものだ。
ところが90后以降の若い男性になると、意識は大きく変化する。前世代たちの好む押し出しの強さは、古くてダサいと思うようになる。それでは何が重要なのか?その答えは“美”にカギがあるようだ。
“顔値”主要4市場
顔値が重要となったのである。顔値とは文字通り、顔の価値を指す。イケメンは、口語の場合、師哥(シュワイガ-)という表現が一番多い。顔値は生まれついてのハンサムというより、磨き上げる、ライフスタイルとともに作り込むようなニュアンスだろうか。
iiMediaの調査によれば、男性の65.1%は顔値を上げたい、という意識を持っている。市場は、日用のスキンケア、医療美容業界などが、次々に男性用商品を開発し、拡大を続けている。主に4つの市場がある。
運動健身類-スポーツジム、運動器具。(美力徳、多徳士など)
個人美容-シェービング、スキンケア、化粧品。(ジレット、ニベア、ロレアルなど)
医療美容-医療整形、美容美髪、按摩マッサージ、シミ、デキモノ除去。
(TONI&GUY、Hair Codeなど)
服装服飾類-男性ファッション、靴、腕時計、指輪。(PLAYBOY、オメガなど)
以下、個人美容と服装を取り上げたい。
個人美容市場
個人美容の市場規模は2016年の124.5億元(1900億円)から、2019年には158.9億元(2420億円)に拡大、2020年は167.2億元(2540億円)が見込まれている。着実な上昇ぶりは、新規参入者にとって、アクセスしやすい。iiMediaのアナリストは、もう一歩、新文化の普及を進める必要がある、と指摘している。
そのけん引役企業も出てきている。スキンケアでは、2017年、上海で設立された、馬丁(MARTIN)社である。95后00后の若い男性をターゲットとし、地域は上海より南方に力を入れている。顧客のライフスタイルや生活の質感を重視、男性的魅力の中心へ、嗅覚と視覚から浸透していくという。難しくてよくわからないが、要は新感覚ということだろう。
服装服飾
男性ファッションは、より成熟した業界に思えるが、顔値経済市場においては、まだ未成熟な段階で、ブランド価値が確立したとは言い難いという。
こちらの市場規模は、2019年、7,369億元(11兆2000億円)から2020年には7,688億元(11兆7000億元)が予想されている。トップ企業の業績は
紳士服(売上/伸長率)
海瀾之家 107.2億元(1,630億円) 7.1%増
ヤンガー 45.8億元(700億円) 27.8%増
スポーツ(売上/伸長率)
安踏体育 148.0億元(2,250億円) 40.3%増
森馬服飾 82.2億元(1250億円) 48.6%増
といずれも好調だ。まだまだ市場開拓余地の大きいことを示している。
まとめ
中国には、90后のところで大きな世代間ギャップがある。90后以降の世代にとって、伝統的中華レストランの位置付けは、スイーツやファーストフードの店と変わらない。10年前は、ダメージ加工のジーンズなど、誰もはいていなかった。この10年、価値観は大きく動いた。90后以降生まれの男性は、その中心地にいる。彼らの美意識の変化は、今後あらゆるマーケティングの焦点となりそうだ。十分注意しておきたい。