2020年の中国越境コマースはどうなる(前編)売上200兆円の成長市場に賭ける万国郵便連合と中国郵政
万国郵便連合の国際会議において、中国国家郵政局、海関総署(税関)から、跨境電商(越境Eコマース)に関するデータが発表された。また万国郵便連合も越境ECへ賭ける強い思いを表明している。近未来の越境ECはどうなっていくのだろうか。まず郵便事業体を取り上げる。
2020年には200兆円
11月末、福建省・厦門市において、中国と万国郵便連合の共催による、初の跨境電商全球合作為主題的大会(世界越境ECの提携をテーマとする大会)開催された。世界102の国と地域の郵政関係者、また世界税関組織など8つの国際組織も参加した。
中国郵政集団公司は、近年来、中国の越境ECは、右肩上がりの高度成長を続け、2019年の取引規模は、11兆元(171兆円)に達し、世界最大の越境BtoC消費市場となる、と述べた。
また別資料、凱徳盟知識産権の跨境電商早報の推計によれば、2018年の全世界越境EC売上は、2兆8420億ドル、前年比23.4%だった。2019年に3兆ドルを超え、2020年には4兆1000億ドル(450兆円)が見込まれる。
2018年の中国越境ECは、9兆1000億元、2019年は10兆元を超え、2020年には、12兆7000億元(200兆円)になると見込まれる。世界全体の44.4%だ。
郵便は有力プレイヤー
近年、国際貿易や海外外投資活動は、伸び悩み気味だが、越境ECのBtoCだけは高い伸びを保っている。各国の郵政事業は、越境ECの重要なプレーヤーであり、推進者にして受益者でもある。信書を扱う伝統的な郵便業務は、ここ十数年間、縮小が続いている。そのため多くの郵政事業者は、国際小口貨物配送を事業の中心に据えたい。発展著しい小包速配の市場へ正面から立ち向かう。
実際、郵政事業の発展は越境ECにかかっている。某調査機関によると、2018年、世界の越境小包は、その70%を各国郵政が扱った。主なものは、服飾品、電子産品、健康美容産品など、72%は1キログラム以下だった。郵政の料金体系は安くはないが、小口荷物との相性は非常によい。
万国郵便連合
万国郵便連合国際局長は、対外貿易は国際化の中心である。世界的サプライチェーンの確保は何より重要だ。郵便ネットワークは世界貿易に利便性を提供していく。数十億個の安全な配送のため、新技術を採用し、鉄道、トラック一体化のレベルを向上させると述べた。そして、将来の需要増に対応する課題として4点を挙げる。
1 各国政府の郵政事業への援助
2 監督管理手法の統一
3 郵政運営主体の業績改善により、国際競争上の有利な地位を確保する
4 郵政と民間電子ビジネスの提携をサポート
万国郵便連合は世界最大の“実物”配送網であり、世界の越境EC配送の主体である。さらに電子ビジネス時代にふさわしい、国際提携の深化を目指すという。
まとめ
中国郵政集団公司の董事長は、中国郵政は世界最大の郵政事業体であり、世界小口荷物の38%を占め、年間取引額は3500億元(5兆4500億元)だったと明らかにした。そして全世界の国際貿易最適化のため“中国智慧”と“中国力量”を提供するという。
また会議の席上、中国税関は、今年1~10月、税関の越境EC管理プラットフォーム経由の輸出入高が、1396億2000万元、前年同期比25.5%増だったと、明らかにした。統計期間は違うため正確ではないが、郵政小口貨物の30~40%を管理している、という意味だろうか。ネット上によい解説は見当たらなかった。
2019年1月の電商法施行以来、通関は厳しくなり関税を徴収されるケースは増えた。その一方、郵政事業者の拡大意欲との間で、適度の折り合いをつけているのかも知れない。