中国向けホームページ制作法⑮~中国のビッグデータ活用最前線~
ネット、電子機器、配車でもビッグデータ解析、活用
中国の大手IT企業によるビッグデータ活用の取り組みが加速しています。中国政府は、2020年をめどにビッグデータ関連の市場規模を現在の3倍の1兆元(約16兆円)まで増やす目標を発表しました。スマートフォンや薄型テレビなどの電子機器を受託生産するEMS 企業の世界最大手、鴻海(ホンハイ)精密工業(本社・台湾)やインターネット通販最大手のアリババグループ、中国検索サービス最大手の百度(baidu)、インターネットサービス最大手のテンセント、タクシー配車とライドシェア(相乗り)サービス最大手の滴滴出行など中国の大手IT企業は、成長するビッグデータ市場を取り込むため、ビッグデータを活用したさまざまな取り組みの開発を急いでいます。今回は、中国のビッグデータ活用の最前線をみながら、中国向けホームページ制作・運用を含めたビッグデータ活用法のヒントを探りたいと思います。
中国政府が貧困地域復興の目玉政策に
ビッグデータとは、従来のデータベース管理システムなどでは記録や保管、解析が難しいような巨大なデータを指します。今までは管理しきれず見過ごされてきたデータを記録、保管して解析することで、ビジネスに利用したり、効率的な仕組みやシステムを作ったりする可能性を秘めているとしてIT業界のみならず多方面から注目されています。2017年5月27日の日本経済新聞の中国のビッグデータに関する記事によりますと、例えば、鴻海(ホンハイ)精密工業は、高精細なスーパーハイビジョン(8K)映像と高度な通信の実現を目指す第5世代通信を使い、製造現場の品質水準や安全性向上に注力。貴州省の工場にビッグデータを活用して、工場内や工場間の物流を効率化する仕組みを導入するといいます。中国政府は、今後の需要増加が見込まれるビッグデータを経済成長の新エネルギーと見据え、貴州省のような貧困地域の復興の目玉政策として位置付けています。
都市運営や偽造防止、渋滞緩和にも活用
インターネット関連ビジネスでは、大手IT企業によるビッグデータ活用の動きがすでに広がっています。百度は、人工知能(AI)とビッグデータを活用して効率的に出前の配達を行える仕組みや春節(旧正月)の人の動きをビッグデータで分析する取り組みを実施。アリババグループはビッグデータを活用して偽造、模造行為の撲滅活動を展開し、警察の製造詐欺の取り締まり強化に貢献するなど、一定の成果を挙げています。テンセントは、地区別の人口動態や企業の運営状況などのビッグデータを収集して効率的な都市運営を実現する仕組みを進めているといいます。400都市以上でサービスを提供し運転手の登録数1500万人、利用者4億人に達する滴滴出行は、運転手や利用客の走行情報をリアルタイムで収集してビッグデータとして解析。最短ルートの提供のほか、地方政府や自動車メーカーとの連携により道路混雑緩和に繋がる仕組みの構築にも取り組んでいるそうです。さまざまな中国IT企業の取り組み事例を見てもわかる通り、各企業がそれぞれ展開する事業の改善や問題解決のためにビッグデータを活用しており、その可能性は無限大といえるでしょう。
ビッグデータで不可能が可能に!?
では、「ビッグデータを具体的に中国向けビジネスやホームページ制作にどのように活用すればよいのか」という疑問がわいてくると思いますが、その疑問に対する答えは、「自社の事業により蓄積した、もしくはこれから蓄積していくデータをどのように活用するかは、取り組み方次第」といったところではないでしょうか。中国ITセキュリティー大手の奇虎360のようにビッグデータ時代の安全対策に取り組むなど、ビッグデータを直接的に利用するわけではありませんが、ビッグデータに関連するビジネスで今後見込まれる需要に応えようとする動きも活発です。企業によって強みや特徴、客層はさまざまで、企業ごとに蓄積されるデータやその活用法も異なります。ただ、巨大なデータの蓄積、大容量・高速通信などの次世代通信が可能となりつつある今、企業活動の発展や効率化のためには、データの活用が不可欠となる時代がやって来ているのではないでしょうか。ビッグデータ活用のヒントがあるとするならば、「企業間取引や小売りの80%はインターネット上で行われるようになる」(アリババグループの馬雲会長)、「画像や音声から人物を識別する精度の向上など不可能が可能になってきた」(百度の李彦宏会長兼CEO)など中国IT企業トップの発言(日本経済新聞の紙面から抜粋)にもあるように、ネット戦略への応用や実現不能と思われてきた技術の実現になるのかも知れません。
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