中国のBtoBプラットフォーム100強⑪農産品前編、美菜網、中農網、一苗田、粮達網
今回は農産品である。より生産地に近いBtoBプラットフォームがたくさんある。具体的にはどのような活動をしているのだろうか。まず前編として、美菜網、中農網、一苗田、粮達網の4つを取り上げていこう。
美菜網
美菜網は2014年6月、北京雲杉世界信息技術有限公司の立ち上げた、前衛的理念と先進的科学技術により、中国農業市場の改革を目指すBtoBプラットフォームである。目標は、全国1000万の飲食店に、新鮮な食材を提供することだ。
公式サイトによると、美採網の食材で素晴らしい料理を作り、人々の心をとらえましょう、とある。続いて信頼、品質、価格、多様性、サービス、4つのアドバンテージを強調している。
2018年9月には、1日の売上げが1億3000万元(20億円)を突破した。従業員は3万人以上。2018年の大型資金調達を経て、現在の企業価値は70億ドルと推定されている。すでに大型のユニコーン企業である。
中農網
中農網は、2010年に設立された深圳市中農網有限公司の運営する、垂直統合型BtoBプラットフォームである。技術開発に定評があり、国家高新技術企業の認定を受けた。2011年に生鮮農産品の取引サイト開設以来、冷凍品、林業産品等へ、順調に業容を拡大し、中国最大級の農産品プラットフォームとなった。現在では、砂糖、繭糸、板材、水果、ドライフルーツが5大取扱い品種となっている。そして、取引の多元化、情報のデータ化、金融サービス化、物流の可視化、の4つ課題に取り組んでいる。
公式サイトには、GMV(一定期間の契約総額)887億元(1兆4000億円)貨物発送量88万トン、物流拠点335ヶ所、提携金融機関23、登録ユーザー数10万と紹介されている。
http://www.ap-ec.cn/
一苗田
一苗田は、2011年設立の北京一苗田網絡科技有限公司の運営する、農産品BtoBプラットフォームである。目標は、産地に深くコミットし、農産物流通の効率をアップすることにある。
一苗田は、一定規模以上の農業経営主体に対し、サービスを提供する。例えば主要な農村合作社、入植した大型農家、農場などである。こうしたサプライヤーと、農産品卸商、食品加工企業、食品スーパー、飲食店、輸出企業等を、オンラインでマッチングする。
公式サイトによると、2019年2月、登録ユーザー数は1500万に接近している。その分布は全国2800県(そのうち824は国家級貧困県)、150の国と地域に及び、扱い農産品は1万2000種類に達した。
http://www.ymt.com/
粮達網
粮達網は2015年、中粮集団(中国最大の総合食品企業)と招商局集団(交通運輸、金融投資、不動産の巨大企業集団)の共同により、深圳で設立された。基本的食糧資源のBtoBプラットフォームである。取引の中心は、とうもろこし、小麦、大豆、高粱、食用油などである。
公式サイトによれば、取引量5454万トン、扱い高1110億元(1兆7000億円)、委託運輸1712万トン、金融サービス473億元(7300億円)とある。また各種の交易会情報、商品価格指数、物流指数など、豊富な情報を発信している。また大企業2社の共同だけあって、物流は強力だ。オンラインから80以上のオフライン物流ステーションへ導く、O2O体制が確立している。
http://www.liangdawang.com/
まとめ
今回取り上げた農産品BtoBプラットフォームは、かなり大型である。大型ユニコーン企業や、大型国有企業集団の共同設立企業等だ。日本でいえば、総合商社の食品部門なみの売上げである。日本の高給取り商社マンが、駆けずり回ってとってくる仕事が、中国では、すでのオンラインで実現しているのだろうか。引き続き後編でも分析していきたい。