発展する中国の工業B2B取引サイト⑥工業製品、アリババ、京東の工業製品B2Bプラットフォームとは
機械など工業品のB2B取引は、オンラインプラットフォームの発展により、激増すると見られている。取引きの安全性、透明化が、顧客企業の経営に、大きな恩恵をもたらしているからだ。実際にどんなプラットフォームが栄えているのだろうか。アリババ、京東などIT巨頭系とそれ以外に分け、彼らの活動ぶりを検討してみよう。
1688工業品牌(アリババ)
B2Bネット通販はアリババの創業事業である。阿里巴巴国際站、阿里巴巴零售通、淘工廠、1688と主要なB2Bサイトは4つある。それぞれに役割分担を持たせているが、1688は中小企業用の総合サイトという位置付けである。
1688のサイト構成は、MRO=非生産物量(消耗品)が多く、B2Cの消費者向け商品も目立つ。幅広すぎる。そのため工業製品取引きに特化した別サイトを作った。それが1688工業品牌である。公式サイトには、“工業品牌主会場”とあり、品牌=ブランドを強調している。原則は人気の高い繁盛店に出品してもらうことだ。
シュナイダーエレクトリック、アルケマ、フィリップス、BASF、SKF、TESA、3Mなどの海外ブランドをはじめ、国内もその道の有名ブランドばかり扱う。
製品カテゴリーは、電工電気、労保安防、五金(金属)工具、灯飾照明、家装建材、包装印刷、化工原材料、電子元器件、機械気配、儀器儀表(測定機器)に別れ、これらはBOM=生産性資料(部品表)の方を向いている。
淘宝企業服務(アリババ)
アリババは2018年4月、淘宝企業服務チャンネルをスタートした。その半年後に発表したデータによると、淘宝には累計2500万の企業会員と、100万の店舗が存在する。この企業服務サイトの利用は激増し、累計1000億を超えたという。
淘宝企業服務は、顧客企業のパターンを意識した、淘宝への出店指導、企業の規則、事務、労務の相談、MRO、BOMそれぞれに対応したサービス、等を提供する。
公式サイトは、各種のお知らせで満載だ。双11(独身の日セール)への参加方法、淘宝の〇△業へのアドバイス、〇△業のクレーム処理など、有益な中小企業向け情報がたくさんある。さらに、創業を目指す人へのアドバイスもある。そしてアリババグループの各サイトへアクセスできるようになっている。情報の宝庫である。
京東企業購
京東企業購の商品カテゴリーは、事務所消耗品、従業員福利関連、営業用消耗品、会議関連、商用設備、工業品、企業サービスに別れている。企業活動のシーン別に、必要な商品をイメージさせて、それを供給しようというTPOスタイルだ。MROの部分はB2B取引きに占めるシェアは、全体の20%だが、ここをしっかり抑えようとしている。
工業製品をリサーチすると、電動工具、化学品、金属加工、起重機、配電設備などさまざまな本格工業用品のページへ導かれる。しかしこれは京東のネット通販本体であった。
京東企業購サイトは、生産用の原材料以外の消耗品や、一般的な設備を主とすることで、逆にあらゆる業界へ間口を開いているともいえる。
まとめ
アリババのB2B向け活動は、やはり際立っていた。需要に応じてサイトを細分化しているだけでなく、サービス・情報の質量ともに、他を圧倒している。淘宝企業服務サイトは、業容拡大を目指す中小企業経営者には必見だ。
京東のB2Bは、そこまで細分化していない。企業の総務部、財務部、整備部門など後方部門に絞った営業をしている。専門性の高い商品は専門サイトに任せ、よさそうなところへ出資をする方針かもしれない。いずれにせよB2Cネット通販の世界は、地方の小都市まで浸透し、限界が見えてきた。ネット通販大手間では、B2Bでより面白い展開が見られそうである。