中国向けホームページ制作法㉒~リアルとバーチャルの融合を考える~
好調のユニクロ、デジタルマーケティングが成功
アパレルブランド、ユニクロの中国事業が好調です。ユニクロを展開するファーストリテイリングの中国部門、グレーターチャイナの2017年8月期売上高は前年比4%増の約3500億円、営業利益が前年比37%増の約500億円と、過去最高の業績となりました。業績好調の要因の1つとしてグレーターチャイナは、デジタルマーケティングによるユニクロのブランディング成功、をあげています。グレーターチャイナは、ECの売上構成比を現状の10%強から今後3~4年間で30%まで高めていくほか、現状の店舗数645店舗から2021年度には1000店舗に増やす方針を掲げており、「リアルとバーチャルを融合させ、顧客層の拡大、次の成長につなげる」と発表しています。今回はグレーターチャイナのデジタルマーケティングを解説するとともに、他の日本企業の中国戦略についても触れながら、中国向けホームページやマーケティングについて考えていきたいと思います。
ネット注文を店舗で受け取り、“ついで買い”も
まずユニクロ、グレーターチャイナが業績好調の要因としてあげているデジタルマーケティングについてみていきたいと思います。グレーターチャイナは、ユニクロのブランディングが中国市場で浸透しているといい、中国の週刊誌「China Internet Weekly」の2017年トップ100小売ブランドランキングでユニクロは最高評価で1位を獲得したそうです。今後も2016年の11月11日の天猫(アリババグループが中国で運営するBtoCサイト)「独身の日」セールの時のように、PR動画配信や割引きプロモーションを展開し、微信(WeChat)や微博(Weibo)といったSNSやブログを利用して若者層の顧客獲得を狙う方針です。リアル(店舗)とバーチャル(EC)の融合については、インターネット上でのサービスを店舗の集客や販売促進に繋げていく計画で、ECの商品オーダーを近隣店舗で受け取れるサービスや、取り置いた商品を受け取る際のコーディネート情報などの付加によって買い上げ点数増加にも繋げるといいます。実際に2016年の11月11日の天猫「独身の日」セール時には、天猫店舗の在庫切れで、天猫の店舗と同様の割引を行っていた実店舗に足を運ぶ天猫ユーザーが続出するなど、ネットでの情報発信が実店舗の集客に顕著に繋がったケースもありました。
中国生産より日本製、ECが拡大 ユニ・チャーム
中国でビジネスを行う日本企業では、ユニクロ同様にリアル(店舗)とバーチャル(EC)の融合が消費者獲得の突破口になると考えている企業が多数存在するようです。おむつメーカーのユニ・チャームは「総合レポート2017」の中で中国での「日本製おむつ、パンツタイプおむつ、EC市場が順調に拡大」と発表しています。中国では、安全・安心なイメージの強い日本製品の需要が高まっており、「ベビー用紙おむつを買い求める流通環境も店頭からECへと変化している」と分析しています。中国で生産し中国で販売している商品よりも、日本製にこだわる消費者が多く、中国人消費者がわざわざ日本に出向いて購入したり、日本製をネット通販で購入したりする動きが目立っています。ユニ・チャームの「総合レポート2017」によりますと、中国のベビーケア事業のEC売上高は前年比約66%成長。また、「ムーニー」ブランドは子育てをする日本の母親から支持を獲得、3年連続「マザーズセレクション大賞」を受賞したことなどから、中国でも支持される結果となり、売上げが順調に拡大する一因になったといいます。特に11月11日(独身の日)には天猫国際(Tmall global)で「ムーニー(Lサイズ)」が売上No.1となったそうで、日本からの輸入販売が好調のようです。
実店舗からネット検索へ繋がるケースも⁉
中国でリアル(実店舗)を中心に販売促進を進める企業でもホームページ制作やSNSマーケティングは欠かせないものになっているのではないでしょうか。日本式カレールーの普及を目指すハウス食品はスーパーの店頭などでこれまで20万回を超える試食会を行ってきたといいます。日本のようにカレーライスを食べる習慣のなかった中国では、テレビCMなどのメディアを使った宣伝よりも、カレーがどんなものかを知ってもらうために店頭での試食会を重視してきたそうです。そんなリアル(実店舗)を重視するハウス食品ですが、上海ハウス食品社では、中国向けホームページでも製品を紹介するほか、微信(WeChat)や微博(Weibo)でもカレーをPRしており、カレーに興味を持った中国の消費者がネットで調べることを想定していることが伺えます。また、一見、ECとは無関係にみえる飲食店でも、ケンタッキー・フライドチキンやスターバックスが天猫でクーポンを用意するなど、中国ではリアルとバーチャルを連動させた取り組みが多くみられます。
ここまでユニクロなどの企業の中国での取り組みをみてきていえることは、中国社会でネットの影響力が強まっていますが、場合によってはネットだけでは不十分、ということではないでしょうか。中国向けホームページ制作やマーケティングにおいても、リアルとバーチャルは別問題と考えずに、それぞれを連携させた取り組みが今後一層求められそうです。
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