中国インターネット広告市場【2020年の展望】
2回にわたりご紹介してきました、「2020年 中国インターネット広告市場 年次総合分析」ですが、今回はいよいよ最後の部分となります、第3部「2020年の展望」をご紹介します。
目次
伝統的な業界ではデジタルマーケティングの浸透率は低いが、デジタル化市場行動が今後主流となる
石油、化学などの製造業、白酒などの伝統的な業界ではデジタル化がまだそれほど進んでおらず、デジタルマーケティングの浸透率はまだ低いです。また、企業内部でもマーケットと営業の「部門縦割り」がみられ、時代に即したデジタル化マーケティングの手法を用いた販売フローの構築が急務となっています。
生産、販売、ブランディングを繋ぐという、狭義の意味での広告プロモーションを、広義のマーケティング行動に格上げし(組み入れて)、新興のテクノロジーとソリューションをベースにして、将来は伝統的な業界のデジタル化市場の前途は明るいと言えるでしょう。
新型コロナの世界的感染拡大、マクロ経済の低迷、広告主の予算削減傾向は確定
●2020年は新型コロナの感染拡大を受けて世界的な経済が悪化。消費、投資、輸出入の全てにおいて低迷し、広告業界でも次々と予算削減の動きがあります。ネット広告市場も低迷に向かい、競争はさらに熾烈化し、全体的な発展環境の悪化はさらに進むとしています。
現時点で、広告メーカーの競争力の革新的手段は技術。5GとIoTが今後の市場争奪のホットスポットになるだろう、と総括されています。
KOLコマースの急速発展は継続、知識系・情報シェアによる販促・eコマースは依然として潜在力大
KOLコマースは2018年より台頭、2019年には全面的に拡大、ただし大ヒット商品はまだ一部の分野だけに集中していて、未開発の分野も多い。
KOLコマースに対する大部分の評価は、内容・形式・運営方法が単一というもの。買う、売る、商品、の3点で開拓の余地が大きいと言えるでしょう。
●音楽ダンス、お笑い系コンテンツは供給過剰、熾烈な競争
・メインともいえるこの分野は2019年に安定的に発展したが成長は天井に到達、KOLの供給と視聴者のニーズはすでに過度な消耗状態に入り、全体的に熾烈な競争
・恋愛、ファッション、コスメ:KOLは飽和状態に近づいており、細分化が激しい、大きな市場成長は見込めない
・母子用品、ベビーコスプレ、手工芸:2019年には大ヒット分野の成長はあまりなかったが、全体的に安定、ただし今後の参入者は工夫がないと利益確保は難しい
ニッチ化コンテンツソーシャルの台頭、従来ユーザー構成の打破、若年層ユーザーの人気
●ビリビリ動画、チーフー、REDなどのソーシャル型メディアはニッチ化の傾向にあり、過去のユーザーイメージからの脱却を図っています。特に若年層で非常に流行していて、30歳以下のユーザー比率が6割超、つまり広告主のメインターゲット群であり、これらメディアの市場価値は注目に値する、としています。
・ビリビリ動画:二次元から多次元へ拡大
ドキュメンタリー、学習系などの展開で「三次元」ユーザーも吸収し、新たなコミュニティ文化を形成。MAUは1.02億
・RED:Z世代の口コミソーシャルメディアから垂直型コンテンツシェアプラットフォームへ
ユーザーのニーズ分野の拡大が従来の枠を超えるきっかけとなりました。2019年以降、コスメ意外にも母子用品、旅行、学習などのコンテンツ規模が拡大、MAUは1億突破。
・チーフー:高尚路線から大衆路線へ
従来の「高級インテリ少数ユーザー群による専門知識シェア」から拡大して、芸能・エンタメの内容も加わる。専門的な分析力が高く、現在は多種類コンテンツを有する、若年層向けコミュニティーとして発展中。