国最大の十元店【メイソウ(名創優品)】IPOは成功するのか!?
“中国最大の十元店”いわゆる日本でいう100均の名創優品(MINISO)が、ニューヨーク証券取引所へ上場申請を行いました。幹事証券会社は、ゴールドマンサックスにバンクオブアメリカ証券という豪華版です。
創業者の葉國富CEOは、何度も人を驚かせる発言をしています。曰く「メイソウ(MINISO)モデルを理解できない人は、10年前にAlibabaモデルを理解できなかった人だ。」「3~5年以内に、大量のネット通販が消滅するだろう。」大した勢いです。
実際に「2019年胡潤全球富豪榜」では世界1693位にランクされるまでになりました。
葉國富 CEO は2013年の日本旅行時にこの業態の発想を得て、同年、広東省広州市で創業しました。日本人デザイナー、三宅順也氏との共同創業という形です。
しかし三宅氏は日本ネットでは、世界的に最も有名な無名デザイナーなどとされ、実像はなぞのままです。中国通の日本人にとって、数年前まで、メイソウ(MINISO) のイメージは、中国で人気の無印良品もどきの商品をダイソーのように販売するどこか得体の知れない店でした。
中国人の受けるイメージもそれと大差なかったようです。それが現在ではブランディングの精緻化に成功しています。ハローキティやディズニー等、有力な17ブランドとも提携し、過去のイメージは一新しました。
今のメイソウ(MINISO) は、売場の前面をパステルカラーのコスメ、化粧品で統一し、強いインパクトがあります。
そして女子中高生たちに“映える空間”を提供しています。欠品は少なく売場管理はできています。アイテムをしぼりつつ、おしゃれ感、賑わい感の演出に成功、しっかりキャラ立ちしている印象です。
その要因は、ターゲティングをローティ―ンも含む若い女性に絞ったためです。男性用商品もありますが、女性による購入が前提でしょう。
主力の価格帯は10元(15.5円)~69元(1070円)で、現在は95%は29元(450円)以内ですが、さらに価格帯を上げ、無印良品レベルをうかがうようにも見えます。
最新の報道で、その傾向が確認できます。中核商品は、家庭用品、生活雑貨、電気製品、紡織品、袋物、化粧小物など11分類、8,000SKUに拡大します。今後、高額商品が増えそうなラインアップです。
運営面の特徴は、直営店に頼らないフランチャイズ方式で、主な収入はライセンサーです。現在80の国と地域に4200店舗と通販サイトを持っています。
中国人オ―ナーは742人、中国店舗は2500ですから、1人で複数店舗経営している方が多いと見られます。2019年6月期の売上は1450億円、GMV(流通総額)は2940億円です。
メイソウ(MINISO) は、2019年6月にも上場の噂はありました。それがコロナ過により、計画より遅れが生じたのでしょう。
2020年6月期決算では、売上1390億円、前年比4.4%減、利益は118億円、前年比24.6%減と減収減益になりました。しかし原因は、コロナ過による営業停止という不可抗力です。軽傷で済んだといってよいでしょう。
ちなみに日本の100均の雄、ダイソーも10元(155円)均一店として、中国に出店しています。こちらの商品は、日本店舗とほとんど変わらず、中国の大型SC内では、何となく見栄えがしません。
そのダイソーの売上は4757億円(2019年3月期)、店舗数は国内外あわせ5873店です。(2020年2月末)、無印良品は4097億円(2019年2月期)500店舗です。
同じ時期、メイソウ(MINISO) のGMVは2940億円ですから、この段階でAlibaba並みのビジネスモデルと風呂敷を拡げるのは、創業者の葉國富CEOは、多少やりすぎのような気はしますが、どうでしょう。強烈なリーダーシップには問題なさそうですが。。。とにかく、上場後の展開が楽しみな会社ではあります。