中国の最新注目広告プラットフォームを徹底解説
中国のメディア「2020年 中国インターネット広告市場 年次総合分析」レポートの第2部「注目の広告プラットフォーム」を紹介します。
注目の広告プラットフォームについて、各社の概要を見ていきたいと思います。
目次
- 1 愛奇芸(iQiyi):動画広告プラットフォームの王者。トラフィック、ユーザーロイヤリティともに市場をリード
- 2 愛奇芸(iQiyi):ユーザーニーズに応える良質なコンテンツ、新たな消費シーンの創出
- 3 喜馬拉雅(Himalaya):オーディオ(音声)広告モデル
- 4 知乎:スーパーコミュニティへのアップグレード、「知識+ライブ配信」でデジタルマーケティングの新局面を開拓
- 5 知乎:マーケティング事例:知識型コンテンツマーケティング
- 6 有賛:ECエコシステムサービス商品が新型マーケティングプロモーションモデルを構築
- 7 有賛:資本注入+ライブコマースで企業の発展を共同推進
- 8 微思敦:データ、クリエイティビティ、サービスを提供する全方位型モバイルマーケティング・サービス事業者
愛奇芸(iQiyi):動画広告プラットフォームの王者。トラフィック、ユーザーロイヤリティともに市場をリード
●1社目は、愛奇芸(iQiyi)です。
同社は、中国版Netflix(ネットフリックス)と呼ばれる動画配信プラットフォームです。
●トラフィック全体、ユーザーの使用状況のどれを見ても群を抜いています。ちなみにユーザー一人当たりの1日平均使用時間は118.33分です。
●この圧倒的なユーザー量の優位性を活かして、同社は動画広告リソースを積極的に開発しており、マーケティングやマネタイズの面でもイノベーションを進めています。
●ユーザー層は若年層が多く、彼らの価値観に対応する広告戦略でユーザーをつかんでいます。
愛奇芸(iQiyi):ユーザーニーズに応える良質なコンテンツ、新たな消費シーンの創出
●良質で豊富なコンテンツが同社マーケティングの盤石な土壌になっています。
●まず、コンテンツ面での特徴です。
1) マーケットやユーザーの動向にも敏感に対応し、次々と新たなコンテンツを産出。
2) テクノロジーの活用も強みです。コンテンツの生産からマーケティングの全プロセスに新技術を投入して、コンテンツ制作の効率化とユーザー体験の向上を図っています。
3) 強力なIP化体制として内部チームと外部パートナーとのしっかりした協力体制があります。
●次に、マーケティング面での特徴です。
1) ユーザー研究ではポストコロナ時代における消費者心理の変化、つまり、自己の内面や価値観を深く見つめるようになった心理への対応
2) プラットフォームの整備ではオンライン・オフラインの相互連動。オンラインにおけるスターやKOLの影響力と、オフラインにおけるブランドやパートナーとの共同マーケティングを統合した新たなビジネスモデルを構築し、ブランドに対し大きなチャンスを提供しています。
喜馬拉雅(Himalaya):オーディオ(音声)広告モデル
●2社目は喜馬拉雅(Himalaya)です。
●広告リソースの拡大環境も盤石で、市場を継続開拓中です。
・基本状況としては大々的なプランを打ち出してコンテンツ制作を支援し品質向上を目指しています。マネタイズ面では、音声広告をコアとした音声チャネルのIP化で、新たなマーケティング戦略を模索しています。
・ユーザーは増加しています。2019年はモバイルネットユーザー増加は全体的に停滞した中で、同社は良質なコンテンツを武器にユーザーの量質ともに増加を維持しました。
・広告価値としてモバイル以外にも、スマートハードウェアメーカーなどと提携、住居や車などの消費者シーンも開拓しています。
音声広告の優位性は、オーディオという特殊性にあり、ユーザーの注意力を独占できるという点です。
・広告ジャンプは少ないため効率が高くシーンを独占できます。
・音声だけが耳から入ることで心理的に与える影響が大きいです
同社の音声広告の革新性は、コンテンツ、マーケティング、マネタイズのいずれの分野にも見ることができます。
知乎:スーパーコミュニティへのアップグレード、「知識+ライブ配信」でデジタルマーケティングの新局面を開拓
●3社目は、知乎です。
知乎:マーケティング事例:知識型コンテンツマーケティング
●知乎のコンテンツマーケティングには独特な「知識観」があり、ストーリー性、趣味性も兼ね備えたユーザーインタラクティブなコンテンツで、コンテンツマーケティングに利益を見出せないブランドオーナーには強い味方と言えるでしょう。
●ユーザーが持つ好奇心、知識探究心、シェア欲求を刺激し、ブランドとユーザーの相互参与でコンテンツに強大な「自助伝達力」が生まれ、結果ブランドの影響拡大に勢いがつくという構図です。
事例の紹介です。
いずれもユーザーの提示した疑問を解決するという形式で実施されました。
*まず車のジャガーでは車体解体24時間ライブ放映しブランドの印象を確立しました
・国内消費者にはイマイチ馴染みが薄いブランドでしたが、この活動と各メディア(長短動画、文章、画像コンテンツなど)との同期で関連情報が拡散、ブランドの認知が向上しました。
*アウディの事例では
エンジンでステーキを焼くという知識マーケティングで商品口コミの伝播
・3車種3種類のエンジンを使って食材を料理するという内容です
・実験を通じて商品のセールスポイントをさりげなくアピールするという形で、商品を活動テーマに事前に融合させ、ユーザーにリーチできました。
有賛:ECエコシステムサービス商品が新型マーケティングプロモーションモデルを構築
●2019年、eコマース市場の急速な発展により、同社の既存有料店舗の成長率は40%で8万2343件、新規増加は5万4702件。同社のSaaSサービス小売企業のGMVは前年同期比95%の伸びで約9675億円
SaaS、PaaSなどのデジタル化ツールを積極的に推進し、ライブコマースにソリューションを提供し、利益を上げています。
・クラウドPaaSプラットフォームではEC、小売、マーケティング、顧客、サービス、データなどのクラウドを含むPaaSプラットフォーム。店舗へのソリューションをモジュール化
・SaaSプラットフォームでは店舗(従来型店舗、EC、KOL)に対し、多数のトラフィックプラットフォームでオンライン店舗構築をサポート
・ライブコマース:2020年2月にローンチ、店舗に各種ソリューションを提供しています
有賛:資本注入+ライブコマースで企業の発展を共同推進
●「to B」市場は国内ではまだ初歩段階にあり、利益確保は困難な環境ですが、同社は発展潜在力の大きいチャネルを確保し、新商品のイノベーションを継続、資本増強(上場、多額の融資)を背景に上昇気流に乗っています。
●有賛ライブコマース・ソリューションの優位性ですが、まずは
・ミニプログラムのライブコマースプラットフォームの提供をしています。店舗はユーザーからの的確な情報収集が可能、初期トラフィック獲得に有利です。
・マーケティングツールとしての活用価値も大きいです。多様な形式のマーケティングキャンペーンが可能、コンバージョン率向上、ユーザー向け各種ツールの提供もあります。
・MCN機構、KOLとサプライヤとの橋渡しする仕組みもあります。
微思敦:データ、クリエイティビティ、サービスを提供する全方位型モバイルマーケティング・サービス事業者
●企業紹介:
2014年武漢で設立、重点都市に支店をもち、業務範囲は、ソーシャルマーケティング、エフェクト広告代理、モバイル広告プラッフラットフォームが三大分野。2000以上の顧客に専門的、実効性高いソリューションを提供しています。
●商品
サービス範囲は多岐にわたります。モバイル、ソーシャル、動画、Mar tech(マーケティングテクノロジー)、MCN、オウンメディアなどのマーケティング・制作・データの総合業務モジュールの提供です。
・事例としてソーシャル型総合マーケティングがあります。
人気アイドルをイメージキャラクターに登用し、リゾートホテルのプロモーションを実施、フォロワー効果で大きな成功を収めました。
第2部はここまでです。次回の第3部は「2020年の展望」についてとなります。