中国向けホームページ制作法⑭~中国ネット界で個性や強みの重要性増す!?~
業績急上昇の京東、その戦略とは!?
2017年も中国のネット業界は活況のようですが、成功しているIT企業はどのような取り組みをしているんでしょうね。中国のIT業界は、BATS(百度、アリババ、テンセント、新浪)が各得意分野で大きなシェアに握っているようですが、2016年頃から検索市場で百度が検索+αの機能を持つIT企業にシェアを奪われるなど、サービスに対する個性や強みの重要性が増していることも事実です。今回は、中国IT業界の覇者といわれることもあるアリババグループに立ち向かい、業績が急上昇している京東集団の実例をみながら、ホームページ制作やウェブサイトの運営で成功するヒントを探っていきたいと思います。
2017年に入ってからウェブサイトを使ったビジネスで最も急成長しているといえるのが、中国のインターネット通販第2位の京東集団(JD.com)でしょう。京東の2017年1~3月期決算は、営業損益が8億4300万元(約138億円)の黒字(前期は8億6500万元の赤字)となり、黒字転換を果たしました。京東とは、ECサイト「JD.com」を運営する中国のIT企業で、家電・PC・家具・衣類・食品・書籍などの商品をネット販売しています。好業績の背景にはスマートフォン(スマホ)経由での販売が好調なことがあります。2016年末時点のユーザー数は2億3000万人と、2015年末に比べ46%増加し、販売した商品数は55%増の16億個。販売の78%がスマホ経由だといいます。
微信と提携しスマホでの販売増加
中国のインターネット通販でスマホが中心になりつつあるのは、すでに中国IT業界の常識でスマホ対応が欠かせないのは言うまでもありませんが、京東はどうやって販売を伸ばしたのでしょうか。その謎を解く鍵は、ユーザーの商品購入から配送までのプロセスを網羅する独自の取り組みにもありそうですよ。まずユーザーへの商品購入への取り組みをみていきますと、スマホユーザーに対応するために、スマホでの利用が多い中国版のLINEといわれる微信(WeChat)と提携していることがあげられます。微信のトップページに京東(JD.com)の入口が設けられており、PC 版と同じものが購入できます。微信は中国の若者にとって欠かせないコミュニケーションツールとなっていて、京東のスマホでの販売増加に大きく貢献していると考えられます。次に注目されるのが、ほぼ中国全土をカバーする自社の物流サービスです。京東の配送サービスの特徴は、広い物流網も去ることながら主要都市での当日配送、大型家電や大型家具などの取り付け・組み立てなどのカスタマーサービスの充実でIT技術を用いたコストダウンにも取り組んでいます。在庫サイクルの短期化や発送までの日数短縮など、オンラインショップ事業所にとってもメリットが多くあり、他の運送業者から京東の配送サービスへの乗り換えも進んでいるようです。
ネットスーパー買収で販売網を拡大
元々、京東は北京に本社があることもあり、中国北部で多くのユーザーの支持を得ていました。しかし、東部や南部では弱かったといわれています。そこで目を付けたのが、世界最大のスーパーマーケットチェーン・ウォルマート傘下のネットスーパー「1号店」で、京東が昨年「1号店」のブランド、ウェブサイト、アプリを買収したのは記憶に新しいと思います。「1号店」のブランドや品質の高い食料品・家庭用品、中国東部や南部での販売網の獲得で、京東の本来持つネット通販の強み、中国全土への物流網との相乗効果で一層のユーザーの支持を得ているとみられています。
中国ネット界の成功者は一握り!?
2017年の京東の業績好調は、注目すべきものですが、ライバルの中国のインターネット通販第1位・アリババグループの好業績はもちろん健在です。アリババグループの2017年3月期決算は、インターネット通販事業、海外事業、クラウド事業、メディア・エンターテイメント事業などが引き続き好調。または、インターネット通販とは業種は異なりますが、インターネットサービス大手の騰訊(テンセント)もオンラインゲーム、オンラインゲーム広告、SNSなどからの営業収入が増え、2017年1~3月決算で目覚ましい業績を収めています。アリババ、テンセントのほかにも中国版Twitterといわれる微博(Weibo)や中国のポータルサイトを運営する網易など中国を代表するIT企業が軒並み好調で、中国ネット業界が相変わらず繁栄していることが伺えます。ただ、中国ネット業界ではAmazonや楽天、Yahoo!が苦戦または撤退している状況をみてもわかる通り、成功しているのはほんの一握りで、アリババグループの運営するCtoC(消費者と消費者)のECサイト・淘宝(タオバオ)でも売り手として成功できるのは1割に満たないとの見方もあります。中国向けホームページを制作・運営する際も、中国ネット界の厳しい現実を認識するとともに、ホームページやウェブサイトをどう生かし個性や強みを発揮できるようにするか、他サイトや他のサービスとタイアップできることはないか、などを今一度考えながら取り組む必要がありそうです。
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