中国が7年ぶりの成長率UPだが今年はどうなる?
中国は、2010年以降は経済成長が減速していましたが、2017年は7年ぶりに減速に歯止めがかかり前年比6.9%増となりました。しかし、今年の展望は如何に。
2017年は7年ぶり成長加速も2018年は
中国国家統計局が1月18日に発表した2017年の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除いた実質ベースで前年比6.9%の増加となり、成長率は2010年以来7年ぶりに前年を上回りました。
中国の経済成長率は、2010年以降は減速が続き、2016年は6.7%と26年ぶりの低い伸びにとどまっていましたが、2017年は5年に1度の共産党大会の年に当たり、政府は経済の安定ぶりを演出する必要性から、交通網整備などインフラ投資の拡大などで内需が堅調だったうえに、世界経済の回復で輸出が好調だったことから、それを背景に成長率を押し上げました。
しかし、2018年は再び減速局面に入るとの予想が大半です。習近平国家主席も党大会で「既に高速成長の段階から質の高い発展を目指す段階へと切り替わっている」と宣言し、膨らんだ企業債務の削減や大気汚染抑制のために環境規制の強化を進める方針で、企業の借り入れや生産活動に影響する公算が大いとの見方です。中国メディアによると、主要経済官庁の国家発展改革委員会の幹部は2018年の成長率を6.5~6.8%と予測していますが、はたして思惑通りに事は進むでしょうか。
懸念材料は「一帯一路」の誤算?
中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」には中国当局の政治的かつ経済的な2つの狙いがあります。その一つ目は、経済援助と経済開発の名目でその経済圏にいる各国を掌握し、圏内で中国式の覇権主義を推し進め、北京を中心とした世界経済ネットワークを形成していく狙いがあります。二つ目は、中国の生産過剰を海外に移し、中国経済の衰退危機とリスクを転嫁させる狙いです。
しかし、「一帯一路」構想のもとに周辺国への巨額の経済支援や格安のインフラ工事引き受けといったいわゆる札束外交で、世界各国での影響力増大を目指し続けていましたが、ここに来て親中国・同盟国も次々と中国を見放し始めています。
パキスタン、ネパール、ミャンマーの3ヶ国はこのほど、中国が計画していた大規模水力発電所3カ所の事業中止を発表ししています。これは総額200億ドル(約2兆2500億円)規模の大型プロジェクトであり、中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」に大きな衝撃を与えています。
パキスタンはインダス川流域のディアメル・バハシャダム建設に中国が提供を申し出ていた資金140億ドル(約1兆5754億円)の受け入れを拒否。ネパールは25億ドル(約2813億円)規模の水力発電事業について、合弁相手の中国企業が「重大な財務違反を犯した」として事業取り消しを決定。ミャンマーも「大型水力発電所には関心がない」と表明したといいます。
また、中国が日本からもぎ取ったインドネシアの高速鉄道も、工事が大幅に遅れているため、最近では計画を白紙に戻すべきだという声が高まっているとか。
世界第2の経済大国である中国の経済動向は世界経済にも影響を与えます。巨大経済圏構想「一帯一路」の誤算は景気動向の懸念材料になりますが、先の3ヶ国における総額200億ドルのプロジェクト中止は中国にとってどの程度の影響を及ぼすのか、今後の動向が注目されます。
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