世界を席巻するショート動画2強「TikTok」と「快手」、創業者はまだ30代、今後の活躍に期待
現在、短視頻(ショート動画)は、ネット界の焦点である。ネット通販の販促、教育・学習分野への進出、公共機関の広報宣伝など、活動範囲は拡大の一途だ。新しいネットインフラ、といってよいかも知れない。さらに海外への展開でも激しく競っている。リーダーは「TikTok」と「快手」だ。今回はその創業者にスポットを当てよう。2人とも80后、まだ30代の若さである。
「TikTok」と「快手」
QuestMobileの2019上半期データによると、月間アクティブユーザー数は、TikTok、4億8600万、快手、3億4100万+2200万(ミニプログラム経由)と、2トップが3位(西瓜視頻1億3000万)を大きく引き離しダントツだ。
TikTokは、2012年設立の北京字節跳動科技有限公司(バイトダンス)の運営だ。まず、今日頭条という“データ掘削的”ニュースサイトを立ち上げた。その後2016年9月、ショート動画へ進出。2017年8月Tiktokスタート。同年11月、10億ドルでMusical.lyを買収。以後TikTokとの統合を進めた。
快手は、2011年3月に北京で設立。GIF画像のシェアから始まり、ショート動画へ移行していった。テンセントは、2017年3月、3億5000万ドル、2018年4月、4億ドルの巨額出資を行った。テンセント系のエースアプリだ。
TikTok・張一鳴
創業者の張一鳴は1983年、福建省生まれ。父親は市の科学委員会に努めていた。家庭では看護市の母と、技術や発明の話を交わしていた。やがて父親は“鉄板飯”といわれる地方公務員を辞め、広東省・東莞に、電子産品の加工場を開設した。そして友人の技術と特許を得、少なくない利益を上げた。張一鳴は裕福な生活を送り、進路の選択も自由だった。そして唯一無二の技術をものにしたい、と思うようになる。
2005年南開大学(天津)ソフトウェア工程専攻を卒業するとすぐに、酷訊網(旅行)九九房網(不動産)等、オンライン企業の創業に携わる。酷訊では技術委員会主席、九九房ではCEOまで務めている。そして2012年、バイトダンスを創業する。
彼の本質は、家庭環境が形成した技術宅男(技術オタク)だった。しかし酷訊では、大型企業の管理方法も学ぶことができた。後のバイトダンス発展の土壌となった。
2019年度、フォーブス中国富豪ランキング10位、資産1145億5000万元。
快手・宿華
創業者の宿華は1982年、湖南省生まれ。2000年、清華大学に進学、博士課程まで進み退学する。修士卒業の視覚でグーグルに入社、シリコンバレー生活を堪能した。そこで第一回めの創業、動画広告を立ち上げるも、おりからの2008年リーマンショック不況下、ありあえなく失敗する。その後32回チャレンジしたが、ことごとくものにならなかった。
2009年から11年までは、北京の百度に所属し、懸命に働いた。2011年、中国で最初の創業を行い成功するが、アリババに買収された。次に30万ドルの融資を集め、パートナーの程一笑とともにGIF快手をスタートさせた。
彼もまた宅男工程師(オタクエンジニア)だった。彼の信念は、技術は人類に、より便利な生活を提供する、というものだ。さらに信念のコア部分は、実に簡単だ。それはユーザーに対する平等である。そのため快手は巨大なユーザー群を発掘できたのである。
2019年度、フォーブス中国富豪ランキング111位、資産学160億元。
まとめ
張一鳴と宿華のサクセスストーリーは、スマートだ。一時代前の不動産王、楊国強(碧桂園)許家印(恒大)のように、貧困家庭から、徒手空拳でのし上がってきた人たちとは違う。
張一鳴は、家庭にも仲間にも恵まれていた。宿華は、清華大学、グーグルに百度と誰もがうらやむエリートコースをいとも簡単に歩いている。新時代にふさわしいリーダーといえるだろう。今後の活躍が楽しみだ。