WeChatと抖音の広告分析、文字から映像へ、効能からストーリーへの流れが加速?
テンセント(WeChat)とバイトダンス(抖音)は激しく火花を散らしている。ネット界の映像への移行が急速に進み、両者の競争は複合化している。今回は広告の比較をするが、これは中国ネット界、最前線の戦いだ。日本企業にも、中国における広告効果研究の最前線となる。詳しく見て行こう。
プラットフォームデータ
2019年、WeChatの月間アクティブユーザー数は11億6400、抖音は5億6700万におよぶ。とくに抖音は、リップシンク(口パク)の投稿ミュージックビデオだった当初からは、想像も及ばない発展を遂げた。両者のユーザー構成は以下の通り。
WeChat 抖音
男性比率 53.0% 52.0%
女性比率 47.0% 48.0%
18歳以下 6.7% 9.0%
19~24歳 17.5% 19.0%
25~30歳 23.5% 24.0%
31~35歳 24.4% 18.0%
36~40歳 12.2% 11.0%
41~45歳 8.7% 8.0%
46歳以上 7.1% 11.0%
一線都市 8.4% 6.0%
新一線都市 16.4% 17.0%
二線都市 20.7% 15.0%
三線都市以下 54.6% 61.0%
抖音のユーザーは若く、地方都市に厚みがある。地方都市のユーザーにとって、文字投稿より、映像投稿の方が敷居は低いから、と分析されている。
広告の特徴
WeChat=社交コミュニケーションの維持、抖音=コンテンツの創作、に重点を置いている。インターネット関連、日用品、金融などの業界はWeChatを好み、化粧品、ネット通販、食品飲料などの業界は抖音を好む。
抖音の広告は、スキンケア、化粧品、グルメ、ベビーの4部門での増加が顕著。スキンケアでは洗顔、化粧品では口紅、グルメではお茶やスナック、ベビーでも洗顔が多い。
両者トータルでも、スキンケア、化粧品、グルメ、ベビーが4大部門となる。そして WeChat 、抖音ともロングテール戦略(売れ筋に依存しない)を取っている。
WeChat には、スキンケアや化粧品では海外ブランド、グルメでは有名な漢方の健康ブランド、ベビーでは防虫、日焼け止めの広告出稿が多い。
抖音は、スキンケアや化粧品では国内新進ブランド、グルメでは、漢方の他にオートミールや調味料、ベビーでは洗顔類の広告出稿が多い。
WeChatの広告データは
文章編数 アカウント数
スキンケア 20.7万 6.2万
化粧品 3.6万 1.6万
グルメ 21.3万 5.4万
ベビー 0.7万 0.5万
抖音の広告データは
関連動画数 関連投稿者数
スキンケア 80.3万 14.8万
化粧品 47.6万 12.5万
グルメ 295万 26.4万
ベビー 14.9万 3.6万
量をみれば、文字から映像への変化を象徴している。WeChatの広告内容は、商品の効能に置き、抖音の内容は、趣味性、効能、セールポイントの融合したストーリーになっている。
まとめ
WeChatを含むテンセント全社の広告収入(2019年)は、684億元(約1兆円)で、アリババ1745億元、バイドゥ781億元につぐ3位だった。
バイトダンスは未上場のため、ランク外だが、1500億元以上、しかも2018年の3倍に増加したと見積もられている。
中国のネット界は、文字から映像へ、すべての投稿は広告へ、と劇的な進化を遂げている。バイトダンスはその象徴的存在だ。日本企業はその動向を、徹底マークしておきたい。
参照:http://www.opp2.com/190415.html