百度百科(中国のウィキペディア)について知っておくべきこと
欧米のブランドが中国でビジネスを目指すと、マーケティング、エンゲージメント、Eコマースプラットフォームが自国とは全く異なることをすぐさま実感することになります。グーグルやフェイスブック、ツイッターなどのサイトは中国では使えず、その代わりに、洗練されてパワフルで人気の高い中国のサイトが存在します。
中国版ウィキペディアもありますが、頻繁に中国政府のネットワーク検閲システム「グレート・ファイアウォール」にブロックされます。一方、中国のウィキペディアとも言える百度百科(“共同作業による中国の事典”)は、中国の8億人いるインターネットユーザーの間ではより人気があり、信頼されているものです。百度百科は、中国で最も閲覧されているウェブサイトの一つで、年間では何十億件もの検索が発生します。ウィキは百度が所有していて、投稿すれば優先的に百度の検索結果に取り上げられるため、各ブランドは検索のランキングと可視性、およびブランドの評価を上げるために百度百科で優良なページを是が非でも作りたいのです。
百度百科のメリット
百度百科でページを作成して維持することは、中国でブランドを確立し強化するため、特に、まだ有機検索で上位にランクインしたことがない場合の鍵となります。ビジネスマーケティングのためのサイト活用も、中国でブランドを構築するにはその他のデジタル媒体に比べ比較的コスト効果が高いです。
百度百科は、マーケティング担当者なら必ず知っておくべきプラットフォームで、以下に詳しく解説していきます。
百度百科の鍵となる事実
1. 百度百科は、中国版ウィキペディアより中国の話題について深く掘り下げています。レシピ、インターネットプログラム、ショートフィルムやビデオゲームなど、記事の数も豊富で、コンテンツにも深みがあります。2018年1月の時点で、サイト上には1,500万以上のページが存在します。一方、中国版ウィキペディアの場合、長文記事はありますが、中国に関するものではなく、通常は英語版を翻訳したものに過ぎません。
2. 百度は中国大陸を拠点とし、中国政府の検閲下にあるため、政治的偏向はあり得ます。しかしながら、中国版ウィキペディアも頻繁にグレート・ファイアウォールにブロックされていて、記事の多くは中国系アメリカ人、香港人、台湾人によります。
3. 各サイトのレイアウト、スタイルは様々です。中国版ウィキペディアは、総体的には英語版を翻訳したものです。百度百科は中国語対応で、主要言語は簡体文字です。中国語の繁体文字、ベトナム語、韓国語、日本語で入力されたメッセージは自動翻訳されます。
4. 百度百科は百度が所有し、よって商用です。ページ上に投稿される広告は百度の収益源で、広告主にとっての機会です。(欧米でも中国でもウィキペディアは非営利で、寄付金により運営されています。)
5. 百度百科は百度が所有するため、コンテンツは必然的に有機検索結果の最上位に表示されます。また、情報の確実性とユーザーによる信頼性は高いです。
6. 欧米ブランドが百度百科でできることは以下のとおりです。
—独自のウィキページを作成、ホスト、シェアし、インフォーマティブで信頼性のあるブランドページを構築する(ブランドのその他のデジタル資産とのリンク付けにより)
—百度の表示広告を活用する
—キーワードのSEO対策を構築する
—参照リンクから二次トラフィックを受信する
成功するための百度百科マーケティングのヒント
1. 百度アカウントを設定します。海外企業、中国企業の相互間でウィキページを作成するチャネルには各種あり、中国のマーケティングエージェンシーがサポートしてくれます。
2. 百度百科の編集ポリシーに基づきブランドのウィキエントリーを作成します。許可されていないコンテンツには、広告、暴力的なコンテンツ、非倫理的・非道徳的なコンテンツ、スパムコンテンツや個人的な情報などがあります。コンテンツの配信には、プラットフォームによる許可が必要になります。
3. 自らの投稿を定期的にレビューし、更新やクロスリンクが施せないかチェックします。更新に手間をかければかけるほど、サイトにおける信頼性ランクは上がり、ブランドが再度関連する検索クエリに入る確率が増します。また、最新のニュース記事やその他の関連するマテリアルに合わせコンテンツを更新し、ページをできるだけ新鮮で適切な状態に維持しておきます。画像にもお金を投じ、中国人視聴者からのページの見え方をチェックします。
4. 中国有数の検索エンジンである百度百科における検索ランキングを上げるため、百度のターゲットPPC広告の活用を検討します。そうすることで、製品やサービスを探す中国人オンラインユーザーの間でブランドの露出度を上げることができます。
5. 以上のプロセスをなるべく早く簡潔、スムーズに行えるよう中国のデジタルマーケティングエージェンシーを活用します。百度百科、百度ともに中国語で運営されているため、アカウントの設定や管理、編集権限に必要なプロセスを行うのは困難かもしれません。中国のデジタルマーケティングの分野で豊富な経験を持つ中国人なら、障害を回避しながらそのプロセスを推進させ、より良い結果と明確なROIを提供することができます。