2020年のAIはどうなる?ファーウエイ、テンセント、バイドゥ、アリババの戦略を探る
新技術、新モデル、新趨勢、新しい業界シェアはどうなる?中国ネットは、2020年の予測記事であふれかえっている。今回は中国IT巨頭たちによる、最新の発信から、近未来のデジタル社会を探っていこう。各社はどう考え、何を見据えているのだろうか。
百度(バイドゥ)“AI工廠”
百度研究院は「2020年10大科学技術趨勢」を発表した。2020年の路線図を指し示すものだ。それによれば、2020年には多くの“AI工廠”が出現する。AI技術は、各業種のソリューションとして成熟を重ねてきた。これ自体がもはや“工業化”段階へ達しているという。国内外AI技術の新規採用は継続し、多くの“AIモデル工廠”“AIデータ工廠”が出現するはずだ。AI技術によるソリューションは、大規模生産、各産業のレベルアップをもたらす。例えば、サービス業のAIソリューションは、金融、ネット通販、教育産業などに大規模に導入されつつある。これらも百度の進めるAI工廠の1つである。
アリババ
阿里雲研究センターは「2019デジタル化趨勢報告」を発表した。それによればデジタル化は、政府、金融、小売、農業、工業、交通、物流、医療健康等の分野に、深く影響を及ぼしている。そのうち政府と小売業が、最もクラウドコンピューティング、人工智能、IoTが進んでいる領域で、今後3~5年内に70~80%デジタル化されると見ている。
小売ではオンラインとオフラインの対立関係を解消する。データとAIの力でオフラインへ導き、そこで百人百色のサービスと体験を提供する。消費者は、スマホを開けば、付近の店舗、ブランド、流行、セール情報など、何でも手に入り、オフラインの全情況を入手できる。ゴー・ショッピングとオンラインショッピングの利便性の差はなくなるのだ。
ファーウエイ
ファーウエイは、交通、小売、金融、製造、航空等、17重点業種でのAI事例研究を行っている。そして2025年の予測を発表した。それによれば、AIは、多くの個人、家庭、組織に浸透し、5Gは6500万の基地局で世界人口の58%をカバーする。14%の家庭はロボット家政婦を利用、97%の大企業はAIを採用しているはずだ。
その他の2025年予測では、C-V2X(Cellular Vehicle-to-Everything)車載インターネット技術が世界の新車15%に装備されると見ている。また工場では、従業員1万名の仕事を、103種のロボットが共同で行っているだろう。VR/AR技術の採用企業も10%に達する。
テンセント
テンセント系調査機関・企鵝智庫の発表した「2019-2020内容(コンテンツ)産業趨勢報告」によれば、コンテンツ産業の生産モデル変革はすでに完成された状態にある。そしてモデルの分化が進んでいる。さらに自媒体(セルフメディア)の出現により、コンテンツ産業の分化は変化している。そしてそれらは次のようにまとめられる。
1 コンテンツ消費は“分化昇級”へ
2 人と機械の“握手時代”へ
3 “低質化”を封じ込め
4 “新知識”を消費の突破口へ
5 5Gがコンテンツ産業を変革
6 投稿映像情報が、多くの情景へ
7 スターノード(有力な結節点)の分裂はすべてのユーザーへ影響
まとめ
直近の発信には4社の特徴がよく表れている。アリババはOMO(Online Merges Ofline)の実現、ファーウエイはメーカーらしく2025年の需要について、テンセントは個々のユーザーに焦点を当てている。バイドゥはB2B指向の発信をしていて、2020年のAI動向が凝縮されているようだ。4社の見通しは正しいか?2020年も4社の争いから目が離せない。