新型肺炎⑨中国ショートビデオ(短視頻)アプリ、広告、教育、テレワーク等で存在感高まる
新型肺炎の防疫体制下、人々の生活はさまざまな制約を受けた。その一方、テレワーク、在宅学習、ネット通販、動画視聴等の「宅経済」関連業種は大きく成長した。「TikTok」「快手」に代表される短視頻(ショートビデオ)アプリも、その恩恵を受けた代表である。彼らの活躍を、バイトダンス(TikTokの運営会社)中心に見ていこう。
広告3倍増、企業の販促に貢献
抖音のデイリーアクティブユーザーは4億、快手は3億である。多くの国民が、防疫体制の進展や「火神山病院」建設の様子を、短視頻アプリによって見守った。こうした新型肺炎に関する投稿は、全アプリで1億5000万に達し、ファンの数は470万人増加した。
映画館閉鎖のエンタメ業界もオンラインへの移行が進んだ。ネット関連ビッグデータの「藍色光標」によれば、あるゲーム企業ではすでに営業収入の90%を、デジタルに拠っている。新型肺炎により広告をキャンセルした業界もあったが、エンタメ業界はそれを埋めるように、大々的にデジタル広告を投入した。その主力は短視頻である。
ショートビデオの某クリエーターは、春節期間を通じて、コンテンツの更新が早まった。トラフィックは最高レベルに達し、我が世の春をおう歌した、と語っている。ネットサービス企業「利欧股份」の発表では、春節期間の広告投入量は、前年同期比300%に達した。「快手」の伸びは特に顕著だったという。
教育に貢献
防疫体制下、清華大学、北京大学、北京師範大学等の有力大学では、TikTok上でライブ授業を始めた。ただし計画に基付いた系統的なものではなく、新しい試みの段階である。
昨年3月、TikTokと中国科学院、中国科学技術協会等は、短視頻アプリによる科学普及活動「DOU知計画」に調印している。「科学知識普及大会」の主催や、「#dou知識点」ハッシュタグ付け活動を行い、消防安全、文化旅行、環境保護等、45分野を取り上げている。
これらの活動は、和多くの科学ファンをTikTokに引き入れた。最も人気の高い「PaperClip」というアカウントには627万のファンがいる。
清華大学等の科学教育活動は、これらをさらに新次元へ導くものとして注目された。
テレワークに貢献
モバイルビッグデータのQuest Mobileによれば、1日のネット接続時間は、2019年春節期間5.6時間、2020年の平日6.1時間、2020年の春節期間6.8時間と上昇し、春節明けにはついに7.3時間に達した。ネットユーザー数は8.49億人である。通常なら下降する春節後、逆に増加したのは、テレワークや在宅学習の影響に違いない。
バイトダンスは以前から「飛書(海外版Lark)」というオフィスコラボレーションツールを展開していた。その利用も急増した。IT、メディア、法律、リテール、教育等、特定業界にフォーカスした設計で、アリババ「釘釘」テンセント「企業微信」の持つ汎用性はない。しかし、逆にそれが好感され、休日無しの24時間体制でトラフィックの増加に対応する事態に陥った。テレワーク市場の急拡大にも対応したのである。
まとめ
厳しい防疫体制下、短視頻アプリは新境地を開きつつある。機敏に反応し、その行動は時間消費の娯楽アプリから、新しい価値を創造し付加したと評価された。
単視頻アプリは、企業の販促活動、教育、テレワーク等、幅広い分野で、その存在感を増した。難局を経てさらに強靭さを増した短視頻アプリは、どこまで進化するのだろうか。今後もIT界、最大の注目の的であり続けるだろう。