中国のB2Bサービスプラットフォーム2強、「慧聡網・売買網」とアリババ「1688・誠信通」とは?
中国のB2Bネット通販プラットフォームには、総合サイトと専門サイトがある。前者の代表は、アリババの「1688」後者の代表は、鉄鋼専門サイト「找鋼網」である。
B2Bネット通販が大きく伸びたのは、B2C同様に2010年代である。しかしB2Bネット通販の歴史には、その前段があった。それはアリババのいう“電子商務B2B市場”というカテゴリーだ。その代表は「慧聡網・売買網」とアリババ「1688・誠信通」の2つである。これらは総合的な情報サービスと事業のマッチングに力を発揮した。ネット通販ビジネス環境の地ならしを担ったのである。
取引サイトは各個に見ていくことにして、今回はこれら総合情報サイトに焦点をあて、中国B2Bサイト界を概観していこう。
老舗サイト「慧聡網」
慧聡網は、1992年設立の老舗B2B情報企業である。アリババ設立より7年先行していた。1990年代は、もっぱらコンピューター、自動車、家電業界などの企業情報ホットライン「160188」として知られていた。
2000年代に入ると、発信の主力はインターネットとなる。2003年、国内の情報サービス企業、B2B関連企業として、初の上場(香港市場)を成し遂げた。2004年、慧聡網に改称、40業種の情報チャンネルを設置、76業種の検索業務を開始した。業界情報の百貨店のようなサイトになった。
さらに同年9月、テンセントと提携し、B2B取引情報サイト「売買網」をスタートさせた。1年後の2005年には、有料会員2万社を突破している。2010年には、北京市から、電子商務プラットフォーム重点企業の称号を得た。
現在までに、50業種に特に深く関わり、累計では2000万社にサービスを提供した。会員企業数は10万社を超えている。VIP会員サービスの項には、全方位からの企業実力測定、産品サーチの優先表示、5万件にのぼる“商機”の提供、売り先の信用調査、売りモノ情報、リアルタイムのアクセス解析など、多くのサービスを提供している。
アリババ「1688・誠信通」
誠信通は、アリババの国内中小企業向けB2B取引プラットフォーム・1688内に設置した会員向け情報サービスからスタートした。基本的な思想は慧聡網と変わらない。トップページには「千万中小企業の共同選択」と表示されている。2002年3月のスタート以来の累計で、会員認定した企業100万社、非認定企業3000万社に対しサービスを提供した。
アリババは、中国電子商務B2B市場シェアは45.8%、トップであることを強調している。サービスの紹介では、1日当たり1000万回のバイヤー、同200万回の販売店、同100万回の提携先などのサーチ活動が行われている。また1日1500万社が何らかのアクセスを行っているという。
また全国313社の工業基礎インフラ企業のうち、38社が誠信通を通じて仕入れを行っている。さらに中国鉄路工程集団(鉄道建設)全国18の地方工程局が参加している。つまりこれらの超有力インフラ企業の仕事が取れるかもしれませんよ、というアピールである。
まとめ
いつしか両者は「南にアリババあれば、北に慧聡網あり、アリババに誠信通あれば、慧聡網に売買通あり」と謳われるようになった。
彼らの影響によって、新規の取引リスクが大幅に減少したことは、想像に難くない。口約束など個人信用に依拠した、古い商習慣からの脱却、引いては中小企業のB2Bビジネス環境整備に大いに貢献した。企業活動とは、手持ちの商品を売ることだけではない、ことを知らしめたのも大きい。
販売に関しては、慧聡網、1688とも総合サイトである。個別業界のディ-プな専門情報に関しては物足りない。その需要に応える、専門B2Bサイトが2011年以降、続々登場してくる。次回からは、それらにフォーカスしていきたい。