中国短視頻(ショートビデオ)は「抖音」と「快手」の2強対決
中国ネットニュース界は、今までBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)中心に回っていた。それがこのところ、短視頻アプリの話題で持ち切りである。それも「抖音(海外名TikTok)」と「快手(海外名Kwai)」の2強に集約される。その理由を探り、将来を見通してみよう。
短視頻とは何か?
短視頻とは何か?ネット辞書には、ネットメディア上で伝播される5分以内の映像とある。大量のコンテンツを流す大型プラットフォームで、ファン数と資本力が必須とされる。網虹(インフルエンサー、KOL)の出現と、投稿の増加によって興隆し、2017年には“白熱化段階”に至った。同年7月の国家規定により、入れ墨、色情、低俗、暴力等の内容は禁止された。微博、秒泊、快手に加え、バイトダンス社が参入し、競争の局面が変化した。抖音と快手の2強体制は2018年には定まった。
iiMediaによれば、短視頻ユーザー数は、2016年に1億5300万人と初めて1億人を超えた。その後は下記の通り。
2017年 2億4200万人 58.2%増
2018年 5億0100万人 107.0%増
2019年 6億2700万人 25.1%増
2020年 7億2200万人 15.2%増
市場規模の推移は
2016年 19億元 (290億円)
2017年 55億3000万元 (840億円)
2018年 467億1000万元 (7,100億円)
2019年 1,006億5000万元(1兆5,300億円)
2020年 1,506億4000万元(2兆2900億円)
2017年が転機に
2010~11年、3Gの普及とともにモバイルネット時代が始まった。快手が産声を上げたのはそのころである。当初のGIF画像のシェアから、2012年に短視頻に乗り出す。2014年に始まった4Gにより、急速にコストが下がり軌道に乗った。2017年3月にはテンセントから3.5億ドルの巨額融資を得る。これにより、2017~18年の大発展期にさまざまな策を打ち出した。
バイトダンスのメイン事業はニュースサイト「今日頭条」だった。抖音をスタートしたのは2016年9月である。2017年11月、社運をかけて先行するMusical.lyを10億ドルで買収した。海外展開を進めていたMusical.lyを得たのは大きかった。その後、抖音との統合を進める。
ビジョン
2017年のユーザー激増は、短視頻の巨大な可能性を開いた。抖音は、広告、Eコマース、直播(ライブ配信)、ゲーム、ミニプログラム、ビジネスツール、SNSなど一連の機能を次々と立上げた。やがて傘下の製品群が相互に連動、拡大し、自社エコシステムを形成しつつある。これは、アリババ、テンセントのようなガリバーを目指す路線だ。
目下の収益源は広告収入で、2019年は全体の80%と見られる。今後はライブ配信とEコマース、ゲームに注力していく。ライブでは3月に羅永浩(教育家、企業家として有名)と契約を結んだ。4月1日にデビュー、1億1000元(17億円)を売上げ、大変な話題を提供した。ゲームでは自前の開発チームを組織し、テンセントに挑戦する。
一方快手は、ユーザーコミュニティを重視し、「あらゆる瞬間を捉える」ことを標榜する。ネットセレブやスターを意図的に優遇することはない。内容ではなくタイムラインに基づく。ユーザー間で形成された独自文化を守る。これは他社にはマネのできないモデルだ。さらにライブ配信とEコマースでは、抖音に先行している。
まとめ
4月中旬、バイトダンスは全世界から1万人を招聘する、と伝えられた。現在30カ国に6万の従業員を擁し150の国と地域で活動している。まず1万人増やし、将来は10万人、アリババと肩を並べるという。本気でアリババ、テンセントと戦うつもりだ。まずは、テンセント系・快手と白黒をつける。その先も見どころは満載だ。
参照:http://www.opp2.com/190574.html