2019工業品B2Bネット通販レポート分析 サイト乱立、生き残りは顧客サービス体制の確立
10月上旬、民間調査機関・艾瑞咨詢(I Reseach)の発表した「2019年中国工業品B2B市場研究報告」(以下報告)によれば、2018年、中国の工業品B2B市場規模は2700億元だった。それが5年後の2023年には、6倍近い1兆5800万元になり、毎年43%のペースで成長する見込みという。なぜこのような激増を予想しているのだろうか。詳しく見ていこう。
ネット通販が主役となる理由
工業品は、購買側企業の使用目的により、MRO=非生産物量(消耗品)、BOM=生産性資料(部品表)に分かれる。中国の場合は、MRO20%、BOM80%の割合である。この2つを合わせると10兆元市場とみられる。
報告は、B2B取引きのオンライン比率の上昇について分析している。その優位性を以下の2つにまとめている。
1 ネット通販化に伴い、企業の購買行動は透明化する。キックバックのない健全な会計となり、企業の仕入れコストは低下する。
2 取引きの合理化により、倉庫や物流の構築など、投資のスピードを緩めることができる。
1は中国の従来型企業の積年の弊害だった。役得を許していたのである。B2B取引きのネット通販化は、日々のコストダウン、将来の投資計画に大きな影響を及ぼしている。
2019年のB2B融資案件
報告は、最近の資本市場の動きについて触れている。A投資機構は2019年にB2Bネット通販4社に投資した。B投資機構は同じく、今年だけで1億6000万ドルのB2B投資を行った。ベンチャー投資全体は先細り傾向となっているものの、この分野への投資は、継続している。大部分はシリーズC以前の段階で、資金の循環は活発だ。2019年の融資案件は次の通り。
機械之家 シリーズA+ 3000万元
海智在線 シリーズB 1億元
万千案固件 シリーズA 4500万元
拓垃思 シリーズプレA 850万ドル
震坤行工業超市 シリーズD 1億6000万ドル テンセント出資
立創商城 シリーズA 2億5000万元
工品一号 シリーズB 1億元
易買工品 シリーズA 1000万ドル
鋭錮商城 シリーズC 3億元
佰万倉 シリーズA 1000万ドル
既存プラットフォームと問題点
既存のB2Bプラットフォームとしては、688工業品牌、淘宝企業服務(以上アリババ)、京東企業購、智慧采購、工業超市、西域、工品匯、鑫方盛、GRAINGER、企業達、王控猫、HAIZOL、GPUH,、好工品、などを挙げている。
驚くべき数であり、競争も激しそうに見える。
報告によれば、外国の工業製品販売企業は、30~40%の利益率を維持している。しかし中国の工業製品B2Bプラットフォームは、18~22%しかない。これには次の理由を挙げている。
1 業種ごとに発展段階が異なり、米国のように成熟していない。米国は工業製品流通においても企業規模は大きく、利益を稼ぐノウハウの蓄積がある。
2 米国よりインターネットの発展が遅れ、MRO製品に対するインターネットの応用でも出遅れた。その結果、利益率は低水準にとどまっている。
まとめ
工業製品の伝統的なオフライン取引は、MRO卸売市場にまだ広く存在している。工業企業同士が提携する過程において、ネックとなっている。これらはB2Bネット通販に置き換わらざるをえない。
その後はB2Bプラットフォーム同士の戦いになる。産品売買だけでは、利潤を得る空間は限られ、高度な技術サービスの争いになる。顧客サービスシステムと、資金手当てが生き残りのカギだ。専門性の壁にはばまれ、正確な評価は難しいが、ここ1~2年の対応により、すべての方向性が決定されそうである。