アリババは何を目指すのか?グループの多彩なプラットフォーム群B2B編、CNZZ、一達通、万網
アリババ香港上場の成功が話題となった。その他の話題にも事欠かない。その発展ぶりを21世紀のモンゴル帝国になぞらえる記事や、“アリババ経済体”“淘宝帝国強大の秘密”などを特集した記事が、ネットメディア上を賑わせている。その中に日本ではあまり知られていないプラットフォームの名が、いろいろ出てくる。それらを分析し、アリババの方向性を探ってみよう。今回はB2B編で、CNZZ、一達通、万網の3つである。
CNZZ(ビッグデータ)
CNZZは、2010年に設立した北京鋭訊霊通科技有限公司のビッグデータ分析プラットフォーム名である。それが2016年、友盟、締元信、CNZZの3社が合併し、業務を統合した。存続会社は「友盟+」となった。アリババはこの3社のいずれにもに投資をしていた。つまり合併はアリババの意思による。
友盟+の公式サイトを見ると、友盟+星辰計画と大きく表示されている。中小企業のインターネットデータ業務に資金援助する、とある。また友盟+と阿里雲(アリババのクラウド子会社)が並記されていて、アリババの事業であることがわかる。産品一覧には、データ分析、データ開発、基礎設備に分かれ、各種統計や、広告観測、データ可視化など細かい項目が並んでいる。
https://www.umeng.com/?spm=a211g2.181323.0.0.3cb275efVfi1sY
一達通(国際貿易)
一達通は、2001年設立の深圳市一達通企業服務公司の運営する、国内中小企業の輸出入をアウトソーシングするプラットフォームである。通関、物流、外貨両替、税還付、貿易金融などワンセットで提供している。2008年には中国銀行(国有4大銀行の1つ)と共同で貿易金融商品“融貿易”を発売している。2010年、張家港市政府と提携した。
同じ2010年、アリババにより買収される。2012年、データ提供サービス“第三方数居認証”プラットフォームを開設、2014年には、全過程セルフサービス形式に進化した。
公式サイトは、阿里巴巴・一達通、外貿総合サービスプラットフォームと表示されている。機能として、以下の4つを挙げている。
代退税(増値税還付を代行して先払い)、
能貸款(1元から無担保融資)、
省運営費(国際宅配便1.1元~、貨物保険キロ当たり0.5元~)
拿商機(輸出の累計で引用力をアップ、次の商機に繋げる情報発信)
https://onetouch.alibaba.com/
万網(DNS)
万網は1996年、北京で設立された、第一世代のインターネットサービス企業である。ドメインサービス、パソコン設置、企業メールボックス運営、オンラインマーケティングのサポート、通信サービスなどを、ハイテク企業に提供してきた。2009年、アリババに買収される。クラウド子会社の阿里雲と合併し、新生“阿里雲”となった。一方、万網のブランド名を残し、DNS(Domain Name System)サービスを行っている。
公式サイトを見ると、中心業務として、著作権登記、商標登録、ドメイン登録、中小企業の会社登記、商標、ドメインの取引き、レンタルサーバー、ネットワークの建設や解析等が記載されている。ネットワーク建設事業は、阿里雲と連動している。企業版の他に、個人版もある。
https://wanwang.aliyun.com/
まとめ
アリババは、国際站、1688、零售通、淘工廠と、主に4つのB2Bネット通販プラットフォームを運営している。今回紹介したプラットフォームは、いずれもそれらを側面支援する役割である。細かいところまで手が入っている。
こうしてアリババは、ネット通販を通じて、国内中小企業のビジネス環境改善に大きな役割を果たしてきた。紹介した3つは、いずれも2010年ころ買収に手を付けている。先見の明というべきだろう。