WeChatマーケティング 一般的な5つの誤解
ここ数年、WeChatマーケティングはホットなトピックとなっている。WeChatは中国で最も使われているアプリで、90%以上のスマートフォンにインストールされていると推定される。巨大で潜在的なリーチと、ブランドが顧客と最も密接な方法でコネクトできる可能性とが組み合わさり、WeChatマーケティングはマーケティング戦略において重要なコンポーネントの一つとなっている。
一方、WeChatに進出したい多くの海外ブランドは、そのプラットフォームに数多くの限界があることを理解していない。的確に行えば、WeChatマーケティングは信じられないくらい効果的になれるが、残念な結果になることもある。
目次
WeChatマーケティング 一般的な5つの誤解
1 フォロワーが見つけてくれる
その他の一般的なソーシャルネットワークとは違い、WeChatのプライベートな本質上、見つけてもらうことは相当難しい。WeChat独自の検索機能では、特定の言葉に完全に一致するアカウントのみ見つけることができるが、その場合も、検索結果が正しくない場合は多い。フォロワーを獲得する方法とは、以下のようなものである。
・その他メディア(ウェブサイト、バナー広告、印刷物、ビルボードなど)に設置したQRコードをスキャンしてもらう
・WeChatでアカウントをフォローしている友達からリンクを転送してもらう
・ユーザーのフィード(モーメンツ)に、リンク付きでアカウントのポジティブなコメントを投稿してもらう(KOL)
・アプリ内広告(以下に詳しく説明)
続いて、有機的にWeChatフォロワーを獲得する方法について説明する。
2 誰も私のブランドを使うことはできない
中国でWeChatマーケティングキャンペーンを開始したばかりの多くのブランドが、ブランド名やロゴが既に使われている状況にしばしば直面する。アカウントは一度開設されると、WeChatが削除することは難しい。が、問題を放置しておくことも望ましくない。
仮に苦情を申し出ても、「不法」アカウントの所有者がWeChat上のアカウント名やロゴを変更することを拒んだ場合には、テンセントに提訴することができる。その場合、正当なブランド所有者が、中国における商標の所有権を証明する必要がある。
3 WeChatのアプリ内モバイル広告は効果的
実際には、WeChat内での広告は極めて高額で効果がない。クリックスルー率(CTR)は、幾つもの理由においてかなり低い場合が多い。主な問題は、一度クリックすると、ユーザーがアプリから離れた、多くはWeChatのビルトインブラウザに誘導されることだ。大抵の人は、WeChatを単にブラウズしているのではなく、何らかの目的を持って使っているので、途中で作業を中断されたくないはずである。
ユーザーのモーメンツ(WeChatのフィード)に表示される広告も、関連性があることは滅多になく、一貫して表示されることもない。
4 その他のソーシャルメディアに投稿したものの流用もWeChatでは効果的
その他のソーシャルメディアやブログのコンテンツをWeChatで再利用することも効果的な戦略ではあるが、そのような投稿はWeChatでは最適化されないことが多い。例えば、長すぎる記事やグラフィックが多すぎる場合、スマホのWeChat画面にうまく表示されないことがある。
WeChatマーケティングの秘訣の一つは、的確なサイズとレイアウトでの投稿フォーマットを理解することである。グラフィックは、複数の写真の投稿のサムネイル表示や、クリックで拡大画像を見る際に明瞭である必要がある。それには、試行錯誤が求められる。
また、外部リンクがある場合、スマホに最適化された的確に反応するページへ誘導できるようする必要がある。
5 WeChatマーケティングは正確なターゲティングができる
上記は、真実であると願いたい。が、残念なことに、WeChatマーケティングのメッセージを細分化することはかなり難しく、その広告も同様である。最も基本的なレベルでは、フォロワーを場所と性別により細分化できる。ところが、その場所は、実際の地理学的な場所ではなく、ユーザーが設定した場所に基づいている。より細分化されたアプローチが必要な場合、それぞれの個人フォロワーをタグ付けし、グループ化することができる。こうすれば、特定の視聴者に向けてよりターゲットを絞ったメッセージを送信することが可能になる。
そのようなセグメント化は、通常は極めて時間と労力がかかるものの手動で、または、第三者が支援するカスタマイズプラットフォームなら自動でできる。一般的なソーシャルメディアチャネルと比較した場合のWeChatの最大のデメリットは、ユーザーの行動パターンに基づきフォロワーをターゲティングするツールが欠けている点である。効果的なデジタルマーケティング戦略の重要なコンポーネントであるにもかかわらずである。