2020年のインバウンドはどうなる?春節は雪見とスキーがメイン?物販は年間マーケティング強化を
2019年11月のインバウンドデータが出そろった。訪日外国人数は前月と同じ傾向が続いている。韓国を除くトップ20の国と地域は、すべてプラスだった。中国人は21.7%増と大きく伸びた。百貨店免税売上げも10月の13.8%の大幅下落から、小幅下落の小康状態に戻っている。2020年のインバウンド消費は、どう変化を遂げるのだろうか。
11月の訪日外国人数は横ばい
2019年11月の訪日外国人数(JNTO=日本政府観光局推計値)速報によると、全体では241万1300人、前年同月比0.4%減だった。10月の5.5%減から改善した。韓国人の減少は65.1%減で、ほとんど前月と変わっていない。しかし、その他、来訪者1万人以上の19の国と地域は、すべて増加した。それもドイツとイタリア以外は2ケタ増だ。中国の21.7%増は、純増数(13万3600人)では2位タイの3倍以上、ダントツである。詳細は以下の通り。
中国 75万0900人 21.7%増
台湾 39万2100人 11.4%増
韓国 20万5000人 65.1%減
香港 19万9700人 19.4%増
米国 14万9000人 17.3%増
タイ 14万0300人 36.3%増
注目すべきは、11月の中国人訪日客が、国慶節休暇の10月より2万人増加していることだ。紅葉人気の高まりは間違いない。それよりも連続休暇期は、航空券が高騰してしまい、来日しずらいのが問題だ。オンライン旅行会社のAIによる、正確過ぎる需給予測の弊害、との批判もある。
百貨店免税売上は微減
インバウンド推進百貨店(91店舗)の免税売上は、5.3%減だった。13.8%減と大きくへこんだ10月に比べ、だいぶ回復した。
一般物品 147億2000万円 1.4%増
化粧品、食品等 114億8000万円 12.8%減
合 計 261億5000万円 5.3%減
(人気商品)
1 化粧品、2 ハイエンドブランド、3 食品、4 婦人服飾雑貨、5 婦人服
10月の客数249万6600人に対し11月は241万1300人と、減少したが総免税売上げは、10月の256億4000万円から、11月は261億5000万円へ逆に増えている。中国人2万人の増加が影響しているのだろうか。
化粧品の地殻変動
化粧品、食品等の部分が 114億8000万円 12.8%減と大きく落ちた。原因の1つは、百貨店以外の免税店だろう。ドラッグストアやディスカウントストアなどの売場面積は拡大している。もう1つは、中国国産化粧品の台頭だ。
2018年、中国の化粧品小売市場規模は、2855億元(4兆4000億円)、これが2024年には、4392億元(6兆8000億円)、その80%はネット通販経由になると見られている。
その原動力は、短視頻(ショートビデオ)アプリ、TikTok、快手、小紅書などの繁栄である。若者層の表現欲求を刺激しつつ、トップKOLを起用した大セールも打つ。国産化粧品はこれら販促活動の最前線に位置し、売上を伸ばしている。
まとめ
今年の春節(1月25日、連続休暇24日~30日)はどうなるのだろうか。中国人訪日客数は、年間を通して平準化する傾向だ。旅慣れたリピーターは、この時期に行きたいとは思わない。中産階級の家族は、航空券に大金を消費してしまう。
春節休暇期は、4月の花見、11月の紅葉とともに、雪見とスキーの季節、の位置付けになりつつある。スキー人気は高まる一方だ。体験消費のピークである。
国慶節休暇以上に、モノより体験傾向の高まりは間違いない。連続休暇期における物販の伸びは、期待できなくなった。物販各社は季節感に留意しながら、年間販売計画の精度を高める方向に向かうしかなさそうである。