中国でのマーケティング事例:Evernoteに学ぶべきこと
Evernoteは、複数のプラットフォームやデバイスで利用できるオンラインメモアプリケーションです。 2008年の発売以来、何百万人ものロイヤルカスタマーとファンを獲得し(彼らの発表によれば1億人以上とも)、テック界隈では有名なサクセスストーリーの1つになっています。彼らはまた、中国市場の秘める可能性に早期に着目し、中国における効果的な戦略の立案と展開に成功しました。
2013年に中国で発売されてからわずか1年後に400万人のユーザーを獲得、2017年には1150万人に達し、Evernoteユーザー数で世界第二位に踊り出ました。
Evernoteは、GoogleやFacebookといった欧米の巨大テック企業が惨めに失敗した中国で成功していると言えるでしょう。何が成功の秘訣だったのでしょうか?ここでは、Evernoteが中国で目覚ましい成功を収めた主要因を解き明かしたいと思います。
目次
検閲対策
Evernoteは、ソーシャルプラットフォームやブロードキャスティングサービスではなく、toCのプライベートデータストレージこそが彼らのメインサービスだと常に強調してきました。オリジナル版にはノートの共有などのソーシャル機能が含まれていますが、中国版では削除されているか、ほぼ取り扱われていません。これによって、厳しいインターネット検閲によるトラブルを避けることができました。
速度と機能性
同社は、中国における優れたユーザビリティとは、同期とアクセスの速度であることに気づいていました。かつ、それはEvernoteのコア機能でもあります。米国のデータセンターを利用し続けた場合、接続速度に重大な影響を及ぼし、潜在的なユーザーに敬遠され、アーリーアダプターの獲得が不可能になる懸念がありました。そこで、米国以外の地域で初めてローカルデータセンターを設立しました。
プライバシーの保証
同社の最高経営責任者(CEO)フィル・リビン(Phil Libin)は、中国のユーザーデータを細心の注意を払って取り扱い、プライバシーを保証することをユーザーに通達しました。Evernoteは、ユーザーデータの取り扱いに関して個人化/保護化/ポータブル化の3つの法律を遵守することを強調しました。
ソーシャルメディアの利用
Evernoteは、中国で最も人気のあるソーシャルメディアプラットフォームであるWeiboとWeChatをいち早く取り込みました。同社はまた、読み手にフィットするように巧みに内容を調整しつつ、Evernoteの便利な使い方が満載されたブログを公開しています。このブログでは、ユーザーにEvernoteアプリを使って個人的な旅行記を書くことを勧めていました。これは企業ブログとは別の側面での、ユーザーエンゲージメントを高める好事例でした。
カスタマーサービスのローカライズ
Evernoteは、中国のユーザーにとって、迅速で高品質なカスタマーサービスが重要だとすぐに理解しました。同社は、WeChatチャンネルのようなソーシャルメディアとウェブサイトのチャットを通じて、問題やクレームに効率的に対応していると見なされています。
ブランド名選択の妙
Evernoteはあらゆる角度でフィット感のある中国版ブランド名を賢明に選択しました。中国版のサービス名は「印象笔记(YinxiangBiji)」で、“メモリーノート”と翻訳されます。ちなみに、この名前には、Evernoteのロゴとして使用されている“象”が含まれています。名前は記憶に残りやすいだけでなく、サービスのコア機能をうまく表しています。
ローカルサービスとの統合
Evernoteの中国版ローカライゼーション戦略の一環として、地場のアプリとの統合のためのAPIがリリースされました。その結果、IFTTTやPocketのような古参サービスのサポートとともに、微信(WeChat)、微博(Weibo)、豆果美食(douguo.com) (飲食店ガイドサイト)UCブラウザなどのローカルサービスとの統合が実現しています。
ローカライズされたEvernote市場
このほど印象笔记(YinxiangBiji)は、中国カスタマー向けにセレクト・カスタマイズしたプロダクトとともに、Evernote Marketストアの中国ローカルバージョンを打ち上げました。優れたユーザーエクスペリエンスと独自のサービス提供で、非常に機能性の高いオンラインショップとして注目されました。この店舗はオンライン決済システムとしてAlipayを統合しています。
[原文]
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