微博(Weibo)=新浪!? 腾讯に勝利宣言も??
腾讯微博 新浪微博の違いは?
中国のSNS・微博(Weibo)といえば、TwitterとFacebookを合わせたような機能を持つことで有名ですが、運営する企業によってさまざまな種類の微博があることをご存じでしょうか?日本のインターネットユーザーが想像する微博とは、新浪(Sina)という中国のIT企業が運営する微博だと思います。しかし、新浪以外にも微博を運営する中国の企業が存在し、特に腾讯(Tencent)は新浪の微博にユーザー数で匹敵するにもかかわらず、あまり注目されることがありません。さらに新浪微博の日本地域オフィシャルパートナーであるF社がホームページ上で「現在では新浪のWeiboのみが勝ち残りました」と、腾讯に対し“勝利宣言”ともとれるコメントまでしています。中国や日本ではいったいなぜ新浪の微博ばかりクローズアップされるのか検証していきたいと思います。
新浪は都市部、腾讯は農村で主に利用!?
新浪微博と腾讯微博ともにユーザー数が5億人を超えるにもかかわらず、新浪微博が中国国内外で注目される理由の1つは、利用者層の違いにあると考えられます。新浪微博のユーザーは、中国本土の都市部でかつ平均賃金が比較的高い北京、上海、杭州などを中心に、香港、台湾、日本など中国人が住む海外でも多く、利用方法はコミュニケーション手段のほか、ブログ・動画投稿、マーケティングなど幅広い用途で使われる特徴があります。一方、腾讯微博のユーザーは、中国の低所得者層が多く住む都市部、もしくは農村部に住む人々が多いとみられ、利用方法もほとんどコミュニケーションに限られるようです。中には、新浪微博と腾讯微博の2種類の使い分けを行っているユーザーも多数存在していると考えられます。
検閲協力でシェア拡大!? 新浪微博
新浪微博が誕生したのは2009年で、この時点の中国にはすでに他のIT企業が提供する微博が複数存在しており、当初ユーザー数では腾讯微博に新浪微博が差をつけられる展開が続いていました。しかし、新浪微博が他の微博からシェアを奪えたのには、インターネット検閲を始めたばかりの中国政府に協力的だったことが指摘されています。新浪微博が誕生した2009年頃はインターネット上で共産党批判が囁かれ始めた頃であり、中国特有の検閲システム・グレートファイアウォールが現在のように整っていなかったため、微博で批判的な投稿があれば、中国政府によって微博ごと閉鎖されるケースが度々あったようです。閉鎖されていく微博を横目に新浪微博は、中国政府の検閲に協力し、スタッフが問題投稿の多いユーザーに対し、対策を講じていたそうです。中国政府の信頼を得た新浪微博は、閉鎖の恐れもなく、多くの他の微博ユーザーが次第に新浪微博に集うようになってきたというわけです。新浪微博の検閲については、多くのフォロワー数を持つアカウントが中国政府に批判的な投稿をしたことで度々アカウントが停止されている事態をみてもわかると思います。
新浪微博の最大の強みは情報収集力
「新浪微博」=「微博」とまで言わしめ、今日の中国における普及に繋がった最大の理由といっても過言ではないのが、新浪微博の情報収集力ではないでしょうか。F社の2016年7月の発表によりますと、新浪微博の活用方法では上位項目に、最新ニュースの取得、興味のあるコンテンツをフォロー、情報検索、情報のシェアなどの情報収集機能の活用が多く挙げられています。さらに新浪微博でニュースを取得する主な理由については、最新ニュースのスピード、様々なユーザーに適した情報、継続した注目度の高い情報、関連組織の情報が早い、専門性が高いなどが挙げられており、ユーザーは気になるニュースについて“早く、深く、幅広く”知ることができることにメリットを感じているようです。最近では、動画投稿サービス「秒拍」(MiaoPai)の活用で、ユーザーが知りたい情報について“わかりやすく、面白く”が加わり、さらに中国ECサービス最大手のアリババグループとの連携により、気になる商品の購入、決済も進むことから、①聞く(学ぶ)→②体験する(購入する)→③聞いたり体験したりしたことを発信する、といったユーザーの新浪微博上の動きができつつあるようです。
さてここまで新浪微博と腾讯微博の違いや新浪微博が特に注目される理由について検証してきました。その結果、新浪微博がシェアを拡大している背景には、中国政府の検閲協力や情報収集力があることがみえてきました。新浪微博は、中国では政治的な話題がタブーなこともあり、中国政府批判など政治的な投稿には目を光らせるけれども、その他のグルメ、ホテル、遊び、スポーツ、ゲームなど人々の関心の高い娯楽や趣味の話題については、ユーザーに“情報を視てもらい、情報を提供してもらう”ためのサポートを徹底したことで、他の微博に比べ情報量で圧倒的な差をつけることができたのではないでしょうか。いずれにしても新浪微博の成功の影には、中国の人々の数えきれないほどの“つぶやき”があったことは間違いなさそうです。
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