成長するアリババのクラウド事業「Alibaba Cloud」
中国アリババが12月31日締めの第3四半期決算を発表しました。クラウド事業で新サービスを急速に展開させたことが功を奏して、同事業の売上高は5億5,300万ドルとなり、前年同期に比べ104%増加しました。
アリババの業績
クラウド事業では396件の新製品や新機能をリリースして、12月31日までの9カ月間で、クラウド事業の売上高は13億8000万ドルとなりました。同四半期のアリババ全体での純利益は35億8600万ドル、一株あたり利益は1.41ドル、売上高は127億6000ドルとなりました。
中国での同社マーケットプレースのモバイルからの月間アクティブユーザーは12月時点で5億8000万人となっています。製品へのAI技術の導入も継続的に行っており、また同社のエンタープライズ顧客に、化粧品小売のWatsons China、自動車メーカーのGeely、北京首都国際空港らが加わりました。
将来的にはクラウド事業がアリババの稼ぎ頭に
アリババのクラウド事業は驚異的なスピードで成長しており、稼ぎ頭の1つになりつつあります。クラウド事業といえば、アマゾンの「AWS」を思い浮かべる方も多いと思いますが、アリババでこの「AWS」に相当するのが「Alibaba Cloud」です。
内容的にはアマゾンの「AWS」とほとんど同じものが主要なサービスとして提供されていますが、「Alibaba Cloud」は、中国や東南アジアでシェアを伸ばしつつあります。中国だけではなく、インドやインドネシアに新しいデータセンターを開設しており、東南アジアでのマーケットシェア獲得にも余念がありません。
現時点では、アリババのEC事業はまだまだ高い成長率を誇っていますが、このクラウド事業「Alibaba Cloud」はEC事業の次に大きな事業になり、収益的にも十分な貢献をするようになることは、ほぼ間違いないと考えられます。そもそも、アリババのEC事業をはじめグループ事業のサービス全てがAlibaba Cloud上で展開されており、如何に強固なインフラ基盤であるかが証明されているのです。
アリババの戦略の要は「データ」
アリババグループは、巨大なECプラットフォームであり、また、クラウドインフラプロバイダーでもあり、更には決済や金融サービス、物流、マーケティングなどの事業も抱えているほか、デジタルメディア事業まで持っており、これらをつないでいるものは「データ」なのです。
アリババCEOのDaniel Zhang氏は「アリババはデータを吸収し、さらに多くのデータを生み出し、そして顧客、買い手、売り手、パートナーに対する知見を提供している」といい、同社のデータに対するアプローチと、アリババの事業スタックが成果を上げているのは明らかです。
データファースト企業を目指す企業であれば、同社の投資家向けイベントは注目に値するもので、デジタル変革やその構成要素に関する議論をもってすれば、その技術やビジネスの変化は「データ」の一言に集約されます。データはビジネスの燃料であり、Zhang氏は「顧客のライフサイクル全体を追いかけることは、データにかかっている」と付け加えています。
クラウド事業は大きくなればなるほど収益性が高くなりやすい事業でもあり、アリババの数年後の利益の大部分が、クラウド事業からもたらされることになったとしても、決して驚きではありません。
※ アリババ発表資料( http://www.alibabagroup.com/en/news/press_pdf/p180201.pdf )
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