ウェイボー(微博/Weibo)とウィーチャット(微信/WeChat)の使い分け
7憶人以上が利用している中国最大のソーシャルメディアウェイボー(微博/Weibo)と約10億人のユーザーがいるとされるウェーチャット(微信/WeChat)は新しい情報の発信ツールとして注目されています。中国版のtwitterとも言われているウェイボー(微博/Weibo)の最大の特徴はミニブログです。ウィーチャット(微信/WeChat)は中国版LINEといったところで、その最大の特徴はチャット機能です。近年それぞれの特徴を生かしたインバウンド集客への関心が高まっています。
目次
日本にも経済効果をもたらすウェイボーの存在
ではウェイボーは中国人の間でどのように活用されているのでしょうか?多くの中国人が商品の購入や投資などを行う際に、調査や情報収集のツールとしてウェイボーを活用しています。
中国人は物を購入する際の判断材料として他の人の意見を大切にしています。例えば、今ではすっかり中国で有名になった生チョコレートの北海道ブランドですが、これも北海道に旅行した中国人がウェイボーやその他のブログサイトに書き込んだ内容が拡散することでさらに多くの人に認知されるようになったという経緯があります。
最近は北海道以外の空港でもこの生チョコレートは販売されていて、帰国前の中国人がよく空港で購入しているところを見かけるようになりました。このようにウェイボーは日本の経済にも大きく影響するようになってきています。
取り上げたケースは、ウェイボーによって自然発生的にブログ記事が拡散し結果的に経済効果が生まれたという例ですが、このようなケース以外にも企業が営業戦略の一環としてウェイボーにブログ記事を掲載して売上アップに繋げているといったケースもあります。
中国で躍進する日本企業の例を見ていきましょう‼
ユニクロのウェイボーを活用した営業戦略とは?
現在中国に約550店舗を展開している大手アパレルメーカーのユニクロは、中国の工場で生産した自社ブランドの服を中国国内でも販売しています。ヨーロッパやアメリカから進出してきたライバル店との競争もあるなかで、中国国内での販売実績を着実に伸ばし続けているユニクロはどのようにウェイボーを活用しているのでしょうか。
今や中国でもかなりの人に認知されるようになったユニクロも、ウェイボーの情報が消費者にかなりの影響力を持っていることを踏まえ、ウェイボーのブログ記事に最新のカジュアルアイテムの紹介から季節限定のキャンペーン情報までありとあらゆる情報をボリュームいっぱいに掲載しています。ユニクロのブログ記事の特徴はイメージビデオを使って商品のイメージを発信しているという点です。このようなイメージビデオによってユニクロのブログ記事を見た人が、すぐに商品をイメージできるような工夫がなされています。
こうしたウェイボーの記事は、中国各地でさらに出店を続けているユニクロのブランドイメージを向上させ、収益増加に繋がっています。
現在、自動車から小型家電製品にいたるまで数多くの企業が自社のブランドイメージを発信するためにウェイボーを活用しています。その中にはもちろん日本から中国に進出している大手自動車メーカーや家電メーカーまたアパレルメーカーも含まれています。
ウェイボーのブログ記事は、今後もこうした日本企業のブランドイメージ向上に大きな働きをしていくことでしょう。
もう無視できないウェイボーを活用したインバウンド集客
ここまで取り上げた内容はどれも中国国内においてウェイボーがどれほど経済的効果をもたらしているかという点でしたが、実際ウェイボーをインバウンドを呼び込むために利用した場合どのような経済効果が生まれるのでしょうか?
まず初めに注目したいのはウェイボーを利用しているユーザー数です。ウェイボーによれば現在7億人のユーザーがこの巨大ソーシャルネットワーキングサービスを利用しています。そのほとんどが中国人もしくは中華系のユーザーです。
中国におけるSNS環境というものは、日本など他の周辺国とは異なる特殊なもので、世界中に数多くのユーザーを持つFacebookやtwitterが利用できません。それで、すでにFacebookやtwitterにインバウンド集客を目的とした中国語版ページを開設していたといても、中国人をターゲットにしたインバウンド事業、例えば、旅館やホテルがおこなっている中国人旅行客への情報発信や集客はほとんど見込めません。
やはり七億人以上のユーザーを誇るウェイボーを使って情報を発信していく必要があります。
では実際にどのようにウェイボーを使ってインバウンド集客がなされているのでしょうか?
ウェイボーとインバウンド集客
日本のアニメや漫画は、今や世界中の若者やマニアに受け入れられ、日本の一つの文化として認められるようになっていますが、中国の若い世代の間でも非常な関心の高まりを見せています。日本でも有名になった海賊を題材にしたアニメは、中国でもかなりの人気ぶりで、ウェイボーにもこのアニメを題材にしたブログ記事がたくさんあります。
そうしたウェイボーのブログ記事は、中国人の若者が日本という国や文化に興味を抱くきっかけを作っています。先程から何度か取り上げているように、ウェイボーは一度に数億人もの人にメッセージを発信することが可能という点で、情報発信のあらたなるツールと言えます。
ウェイボーは、場所や時間の制約にしばられることなく同じ趣味を共にする仲間同士が意見交換したり最新情報を共有したりすることができるというサービスによって、利用するユーザー同士が繋がっているという体験ができる空間を提供しています。
こうしたソーシャルネットワーキングサービスによって数多くの中国人の若者が日本のアニメや漫画さらにはそれ以外の日本文化に興味をいだくきっかけを作っています。
こうした日本文化に関心をもつ中国人の増加とウェイボーが持つ可能性という二つの点がインバウンド集客を行っていく上で大きな働きをしています。実際最近中国人観光客が大量に日本に押し寄せていますが、それもこのウェイボーで発信された情報が拡散し中国人の日本に行ってみたいという気持ちを高めているという点があります。
日本でも注目されはじめたウェイボーを活用したインバウンド集客
数年前まで中国人が日本観光で訪れる目的は爆買いだけでしたが、今では日本の食文化を堪能したり、伝統的な工芸の技を体験することができるようなツアーも非常に人気があります。
こうした訪日中国人の増加には、インバウンド集客を目的としたウェイボーなどのブログ記事の存在が大きく影響しているようです。ウェボーの中でも特に日本版のサイトは訪日中国人向けの情報がたくさん掲載されています。この日本版ウェイボーは日本の観光名所に関する記事や、日本で放送されているテレビの番組を紹介する記事など日本の見どころを紹介する記事が中国語で沢山掲載されています。
日本語が分からない中国人もこうした記事を通して日本についての最新情報を得ることができます。例えば、数年前に中国映画が撮影されたことで有名になった北海道ですが、毎年沢山の中国人観光客が訪れるようになっています。
しかも、中国の富裕層が観光にやってきています。こうした流れをつくりだしているのがウェイボーのブログ記事です。冬になってもほとんど雪が降らない中国沿岸部では、雪を実際に見たことがない人が少なくありません。まして、整備されたゲレンデでスキーやスノーボードを楽しむなんて中国人のほとんどの人が経験したことのないものなので、一度でいいから白銀の世界を見てみたいという中国人旅行客が北海道におしよせています。加えて、中国から北海道へのアクセスがスムーズになったことも中国人旅行客の増加につながっているようです。例えば、北海道札幌の新千歳空港ですが、上海など大都市からLCCの直行便が就航しており、大勢の中国人客を受け入れています。
こうしたアクセス面での便利さに加えて、中国人スキー客がスムーズに宿を見つけたりインストラクターを見つけれるようなスマートフォンのアプリケーションサービスの充実もあり北海道を訪れる中国人観光客は年々増加しています。そうした人たちのほとんどがウェイボーをはじめとするインターネットの書き込みやインバウンドのブログを見て北海道を訪れています。
さらに、一度北海道に旅行で行ったことのある中国人観光客がウェイボーにブログ記事をアップしたり、他の記事に書き込みをしたりすることで、中国人の北海道旅行人気が加熱しているとも言われています。
北海道人気はこれからもしばらく続いていくことでしょう。
中国人旅行客だけではないウェイボーを活用したインバウンド集客
このように非常に多くの人に影響を与えているウェイボーですが、こうしたブログ記事を読んでいるのは中国人だけではありません。マレーシアやシンガポールといった中華圏に住む中華層にも大きな影響力があります。
中国以外の国や地域に住んでいる中華系の人いわゆる華僑ですが、これらの中華系の人たちは、日常的にFacebookやtwitterといったSNSを利用して情報を配信したり共有したりしています。
しかしそうした華僑の中にもウェイボーを利用して旅先や宿を決めたりする人が少なくないようで、マレーシアやシンガポールといった東南アジアの国々でも北海道旅行が大変な人気を呼んでいるようです。このようにウェイボーの影響力は中国国内にとどまらず中華層が多く住んでいるマレーシアやシンガポールといった国にも広がっています。
こうした点からウェイボーをインバウンドとして活用することには大きなメリットがあることがわかります。
ところで、ウェイボーが大変注目されているという点と、インバウンドを呼び込むために大変役立つツールであることについて書いてきましたが、ウェイボーと同じくらい大勢のユーザーが利用しているウィーチャット(微信/WeChat)についても触れたいと思います。
ウィーチャット(微信/WeChat)
ウェーチャット(微信/WeChat)にはどのような機能があるのでしょうか?またウィーチャットにはどのような可能性があるのでしょうか?ウィーチャットは日本で多くの人が使っているLINEのようなもので、友達とメッセージをやりとりをすることができる機能や、グループ機能を使って登録されているメンバー宛に同時にメッセージを送信することができます。
中国ではこの機能を使って営業活動をする会社や店が増えています。
例えばスターバックスはウィーチャットにスターバックスを友達追加しているカスタマーに定期的にクーポンなどのお得な情報や季節限定の商品に関する情報を配信しています。
定期的にスターバックスを利用する人はこうした配信クーポンを活用してお得にコーヒーを注文することができます。また、趣味を共にする人同士でサークル活動を行う際に大勢の人がウィーチャットのグループ機能を使って活動内容を共有したり、意見交換したりしています。
例えば、ある自転車屋さんではマウンテンバイクやロードバイクといったスポーツサイクルの販売を手掛ける傍ら、オーナー自らが週末近隣の自転車好きをあつめイベントをおこなっています。オーナーの呼びかけに答えて毎回数十人がイベントに参加していますが、イベントの告知や日程の調整はすべてウィーチャットでおこなっています。大企業から個人商店にいたるまでありとあらゆる形態の企業や団体がウィーチャットのグループ機能を活用して活動しています。
グループ機能を活用することで、時間の効率化とコストカットを実現することが出来ています。
ウィーチャットペイ(微信支付/WeChatPay)
様々なウェーチャット(微信/WeChat)の機能の中で、もっとも特徴的な機能はやはりウィーチャットペイ(微信支付/WeChatPay)という電子マネーの機能でしょう。
登録してある銀行口座から電子マネーを追加することによって街のいたるところでお会計ができるようになっています。
高級レストランから片田舎の小さなお店までありとあらゆる場所でこの電子マネーは活用されています。
日本の電子マネーと大きく違うのは、仕組みが非常に簡単だということです。日本ではコンビニやスーパーで使われる電子マネー利用する場合、店に設置された専用の機会を使ってチャージしなければいけないのに対して、ウィーチャットペイ(微信支付/WeChatPay)は24時間どこにいてもネット環境さえあればすぐにアプリケーションを使って登録している銀行口座からマネーをチャージすることができます。
銀行口座に残金があるかどうかの確認も銀行のアプリケーションを利用することですぐに確認することができるので、電子マネーをチャージした後残金の心配をする必要もありません。
個人間の金銭授受も非常にスムーズに行うことができます。例えば数人で中華料理を食べに行って割り勘で支払うといった場合、日本だと一人ずつから現金を徴収する必要がありますが、中国ではほとんどの場合画面に金額とパスワード六桁を入力するだけで支払いが完了してしまいます。
あとは受け手が送られてきた電子マネーを受け取るだけで割り勘が成立します。非常に効率的です。
もしも数時間後に払い過ぎてしまったことに気が付いたら、相手にメッセージを送って差額を電子マネーで返金してもらうことも可能です。現段階では、中国国内の銀行からのみ電子マネーチャージが可能ということで、中国国内の銀行口座を持っていないユーザーにはほとんどメリットがありませんが、今後海外の銀行口座からでもチャージが可能ということになれば世界中の中華層を巻き込んでますますユーザーが増えていくことでしょう。
中国最大級のSNSであるウェイボー(微博/Weibo)とウィーチャット(微信/WeChat)を利用するユーザーは合わせて約17憶人ということになり、インバウンド集客のツールとしてとても注目されています。ウェイボー(微博/Weibo)とウィーチャット(微信/WeChat)の特徴を生かしたインバウンドの集客は、これからも大きな成果を生むことが期待されています。
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