“ライブコマース”は本当に新しいトレンドなのか
今年のECのトレンドとして「ライブコマース」が話題になっているようです。このように新しく銘打つ形で流行りのように扱われている事柄は内容を見ても本当に新しいものなのでしょうか。少し意地悪な偏見で眺めてみました。
“ライブコマース”の中味は?
ライブコマースとは「タレントやインフルエンサーがライブ動画を配信し、視聴者はリアルタイムに質問やコメントをしながら商品を購入できるという新しいEコマースの形」と言われています。言い換えれば「インフルエンサーマーケティング」と「ライブ動画配信」の合体であり「有名人による実演販売」みたいなものですね。「Live Commerce」を単純に訳せば「動画を活用した商売」でしょうか。
リアル店舗で店員さんとのコミュニケーションを交えて購入する商品を決めるところが、ECの場合は店員さんとのコミュニケーションの変わりに「友人の口コミ」や「インフルエンサーのお勧め」を判断材料としているわけで、その「口コミやインフルエンサーのお勧め」が動画に変わっただけで付加価値があるかどうか、そう考えるとトレンド・流行として取り上げるほどのものでもなくなります。
ユニクロの「ニューリテール戦略」とは
ユニクロは中国の独身の日セールでは「ニューリテール戦略」を活用して好成績を収めました。この「ニューリテール戦略」はアリババが2016年末にOtoOの新しい戦略コンセプトとして発表したものです。
ユニクロの「ニューリテール戦略」はアリババが掲げた3つの戦略的コンセプトの一つで、ユーザーがネットで購入すれば、全国500店舗以上に及ぶユニクロの実店舗で商品を引き取ることが出き、その場合はさらに価格を割引くという付加価値があり、店舗に引き取りに来たユーザーに対して、その場でサイズ交換、気に入らない場合の商品交換、返品などに応じるなど、実店舗販売との差別をなくしています。
すなわち、ECと実店舗販売の融合なのです。このプロセスは、予約した商品を実店舗へ買いに行くようなもので、決済が先か後かの違いしかなく、割引きという付加価値があるだけです。「New Retail」を単純に訳せば「新しいタイプの小売」でしょうか。
まとめ「マーケティング戦略の旬は長くない」
以上、意地悪な偏見のように述べましたが、決してイヤミを言いたかったのでは有りません。筆者が言いたかったのは、マーケティング戦略も既存の手法やモノ・コトの融合・合体という「ちょっとしたアイデア」で生まれていること、そして前述のように視かたを変えると、既存の手法を融合して新しい呼称を銘打つことにより、あたかも新しいものが生み出されたかのように錯覚します。
そしてそれがトレンドとなっても、周りが真似をすることによって、やがてそれが当り前のようになってしまい、そのトレンドの旬はあっという間にすぎる、すなわち早い者勝ちなのです。つまりマーケティング戦略は成功した時点にはもう、次の戦略を練っておかなければならないということです。
「流行は繰り返す」という言葉があります。マーケティング戦略においても過去にトレンドとなったが今は忘れ去られていること、それを掘り起こしてみるのもヒントのひとつになるかも知れません。
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