“モバイク・ジャパン” VS “ドコモ・バイクシェア”
中国の自転車シェアリングサービス「摩拝単車(Mobike)」が日本へ上陸していよいよ北海道札幌市でサービスを開始しました。日本の自転車シェアリングサービスとしてはNTTドコモが「ドコモ・バイクシェア」を設立し、首都圏を中心に自治体と提携して自転車シェアリングサービスを展開していましたが、このMobikeの参戦は如何に?。そこで自転車シェアリングサービスにスポットを当ててみます。
“ドコモ・バイクシェア”
「ドコモ・バイクシェア」は2015年2月2日に東京都墨田区に設立され、今年の9月1日に港区へ移転する予定です。ドコモ・バイクシェアは自転車とモバイルを融合させた「サイクルシェアリングシステム」を提供しており、都内7区と横浜市、仙台市、広島市で自転車シェアリングを提供し、青森から沖縄まで7府県にシステム提供を行ってきました。
<ドコモ・バイクシェアの6つのサービスポイント>
・導入コスト30%以上削減:専用機械ラック不要、従来ポート型システムから導入コスト削減。
・迅速かつ一時的にポート設置可能:電源工事をせずにイベントや災害時など容易にポート設置可能。
・GPS/準天頂衛星で位置データ管理、自転車位置をリアルタイム管理。
・保険に加入しているので万が一の事故の際も安心。
・交通系ICカードやおサイフケータイでワンタッチ貸出しに対応。
・電動アシスト付自転車なので坂道でも移動が楽々。
ドコモ・バイクシェアは以上6つのサービスポイントを掲げて全国展開するとともに、政府を挙げての国民運動「COOL CHOICE」に賛同して温室効果ガス排出量削減や地域・観光の活性化を目指し、自転車を利用した新たなライフスタイル提案「BE FREE Tokyo」プロジェクトを推進しています。
“モバイク・ジャパン”
「摩拝単車(Mobike)」は2016年に上海でサービスを開始したベンチャー企業で既に中国全土で500万台を展開しており、2017年6月福岡市に日本法人「モバイク・ジャパン株式会社」を設立しました。当初は最初のターゲット都市として福岡市を上げて第二の都市として札幌でのサービス提供開始を予定し、年内に東京都や関西圏など主要10都市程度への展開を目指すとしていましたが、結果的にはこの8月23日に北海道札幌市にて日本初のサービス展開となったものです。Mobikeの法人設立は中国、シンガポール、英国、イタリアに続き、日本は5カ国目となり、登録者数は1億人、運用されている自転車は500万台以上、1日の利用回数はピーク時で2500万回に上るといいます。車両にはGPSとSIMが内蔵されており、空き自転車の位置を専用アプリで検索できるのが特徴で自転車のQRコードをスキャンすることで利用できて目的地の駐輪スペースに停めて返却でき、決済はアプリを通して行います。自転車本体は約4年間のメンテナンスフリーを実現し軽量なアルミ合金製フレーム、空気を必要としないパンクレスタイヤ、ディスクブレーキ、シャフトドライブなどを採用しており、壊れにくく頑丈な作りになっているのも特徴です。おそらくモバイク・ジャパンはドコモ・バイクシェアの展開エリアを踏まえて福岡と北海道を最初のターゲットとして選択したことは想像に難くありません、モバイク・ジャパンは今後、ドコモ・バイクシェアと同様に日本各地の行政やパートナー企業とも連携しながら「全国で地域に根差したサービスを展開する」としています。
モバイク・ジャパンの放置自転車対策
中国では乗り捨てが可能なシェア自転車が急増した結果、放置自転車が交通を妨げる問題が起きて各地方政府が慌てて規制を強化した経緯があります。モバイク・ジャパンは日本で放置自転車の増加を防ぐために、自治体のほか駐輪場を持つコンビニエンスストアやレストランなどと協力して駐輪場をあらかじめ決めるなどの対策を講じる見通しで、今回導入した札幌市では、ドラッグストア事業を行う株式会社サッポロドラッグストアー、コンビニチェーン「セイコーマート」を運営する株式会社セコマ、洋菓子「白い恋人」などを製造する石屋製菓株式会社、ビル・不動産管理の株式会社藤井ビルなどの民間企業と協力することで駐輪スペースを設置するといいます。そしてGPSで全車両の位置を把握できるため違法駐輪した利用者に注意を促す仕組みなども検討しているようです。
シェア自転車の移動データ活用
シェア自転車が通信機能を備えているので人の流れも可視化できるため、中国では北京大学や行政と連携して分析したユーザーの行動ルートを都市開発にも活用しているといいます。例えば、都市部でのバスの最適な運行ルート、運行時刻を割り出すことができるとしており、札幌市では10月5~15日に開催される映画・音楽・インタラクティブ(IT先端技術など)のクリエイティブコンベンション「No Maps 2017」で実証実験を行い、収集したデータは一般財団法人さっぽろ産業振興財団“No Maps実行委員会”が「札幌市ICT活用プラットフォーム」へ情報提供する予定だといいます。
この自転車シェアリングサービスは利便性だけでなく「データの有効活用」といった面での期待も高まりますが、その反面でタクシー・バスなどの需要にどの様な影響を及ぼすのかを推察する論評等はまだ目にしません、道路旅客運送分野の経済バランスは保てるでしょうか。
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