中国グレートファイアウォール VS 日本企業
日本企業が中国への出店、越境ECそして訪日中国人への広報など商業目的で係わる上では中国固有の様々な難題があります、その一つとして“ネット規制”が上げられますが、このネット規制の実情に迫ってみました。
グレートファイアウォールとは
“金盾”(きんじゅん)、またの名“グレートファイアウォール”とは中国本土において実施されている“インターネット情報検閲システム”です。全体主義の危険性を訴えたジョージ・オーウェルのSF小説「1984年」に登場する監視システム“テレスクリーン”になぞらえたり、“赤いエシュロン”、“サイバー万里の長城”、“ジンドゥンプロジェクト”などの呼び名も存在していました。今では中国国内のインターネット利用者に対して中国政府、特に中国共産党や政治家に不都合な情報にアクセスできないようにフィルタリングする金盾のファイアウォール機能は、“Great Wall”(万里の長城)をもじってGreat Firewall:グレートファイアウォールと呼ばれているのです。ただし、香港とマカオの両特別行政区については中国本土とは法体系が異なり、なおかつ「一国二制度」の高度な自治権により通信の自由が保証されるためこの検閲システムは適用されていません。
ファイアウォールからの逃れ道
中国のネット規制グレートファイアウォールをかいくぐるにはVPNサービスを利用する手があります。VPNと中国の外へのSSH接続は遮断されていません、したがってファイアウォールの外のプロキシサーバーを利用することにより突破できるのです。このようにグレートファイアウォールの検閲と監視を回避することは、これら中国大陸の外への安全な接続方法を知っている人には簡単にできていました。ところが、このVPNサービスにも規制がかかったのです、日本にとっても中国とのネット事情における問題は深まるばかりです。
中国のVPN規制の実情
2017年1月下旬に中国政府がVPN規制を強化することを発表したとの報道がありました。中国に渡航した経験がある人の多くは「中国ではGoogle、YouTube、Facebook、Twitterといったサービスにアクセスできない。しかし、VPNを使えばこれらのサイトにアクセスできる」という認識をしているかと思いますが、今回の“規制強化”によって中国では今後VPNが利用できなくなってしまうのでしょうか、この発表は中国の情報産業省にあたる「工業和信息化部」というところから出されたもので中国メディアも関心を示したことから、補足説明も行われています。過去に何度となく違法業者一掃についての通知を発表していますが、この補足説明では「国際的な企業や貿易企業が業務のために適切な事業者による専用線などを利用すれば問題はない」と発表しており“VPN自体の禁止”ではありませんでした。ただ、通知の中にある「又貸しなどの違法行為」にVPNサービスが含まれています。「中国でFacebookやGoogleを見ることができる」という触れ込みで提供されている個人契約できるVPNサービスがそれにあたり、特に対象となっているのはこれまでの傾向から見て中国国内の業者であろうと思われます。オンラインショッピングサイト“淘宝網(タオバオ)”でもVPNサービスを販売していますが、今回の発表後に確認すると「VP跨境N」(跨境=越境)といった具合に「VPN」で検索されないような小細工で対処しているのが確認できます。更に規制が厳しくなれば今まで中国人に視えていた中国国外のサイトがある日突然視えなくなっていくのは確かなようです。
日本企業のHPは中国人に視えるのか
前述のように中国とのネット事情には厳しいものがあります、そこで日本の企業はどう対処すればよいのでしょうか、新聞・雑誌・ラジオ・テレビなどのメディアによる企業の広報よりもWebによる広報のほうが圧倒的に戦略的価値もあがります、中国人観光客の急増に伴い日本国内の企業がWeb製作会社に中国語のホームページを作成してもらい中国人向けに設営してもはたしてそれが中国人に視えているのかが心配になります。またWeb製作会社も中国人向けHPを作ったもののグレートファイアウォールの存在が気になるが確認方法が分からないなどといったこともあります。中国人向けHPの設営あたっては使用するドメインがグレートファイアウォールの検閲にかかっていないかを確認しておく必要がありますし、中国の規制次第ではいつダメになるかも知れませんので定期的なチェックも必要です。それを確認するには株式会社レクサーが提供している中国グレートファイアウォール無料診断ツールの“中国サイトチェックツール”があります、Webサイトのドメインを入力してチェックボタンをクリックするだけで中国グレートファイアウォールの検閲にパスしているか否かの答えが出ます。せっかく設営したWebサイトが万が一にも結果NGであった場合や、そして自社サイトを中国人にアピールしたいなどの要望にもこの株式会社レクサーがサポートをしてくれます。
このように日本企業と中国の関わりにおいてはこのネット事情の他にも様々な中国固有の難しさが存在しており、今後も変化していく対中国事情に精通したサポートパートナーの存在は欠かせません。
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