日本の「おもてなし」という文化
2020年東京オリンピックの招致にあたり、滝川クリステルさんがアンバサダーとしてフランス語で「日本のおもてなし」というものを紹介した。これによって「おもてなし」という言葉が世界に広まり、2013年には新語・流行語大賞にも選ばれたのだ。海外から見た「日本のおもてなし」とは何かを探ってみた。
「おもてなし」とは何か
もてなしとは本来「客に対する扱い・待遇」を指すが、この「もてなし」に「お」をつけて丁寧にした言い方の「おもてなし」は、心のこもった待遇のことであり、顧客に対して心をこめて歓待や接待やサービスをすることを言う。
もとは「お遍路接待」など、布施の精神に基づくものが、日本の文化として広まり、今の「おもてなし」として定着したのである。
地方公共団体にはインバウンド対策として「おもてなし課」を設置しているところがあるのをご存知だろうか。日本政府は、国家政策として観光立国を打ち出している。観光立国の実現のためには各地域において、国外・国内からの旅行者の受け入れ体制を向上させる必要がある。
そのため、観光庁は2014年に、各地域の観光協会等に参加を促し「観光おもてなし研究会」を設置しているのだ。
日本のおもてなし
日本に住んでいて日々当たり前に感じる事柄は、当の日本人にはなかなか気が付きにくいものだが、外国人にとっては、これぞ「日本のおもてなし」だと実感することもある。外国人のアンケートで評価の高かった外国人から見た「日本のおもてなし」を紹介しよう。
駅のおもてなし
外国人が日本のおもてなしとして感じる第1位は「駅のおもてなし」だそうだ。交通機関において時間通りに電車が到着することにまず驚くという。海外では時間にルーズなところも多く、バスの時刻表などあってないようなものだ。
日本で電車が機械のように正確に時刻管理されているのは中国人などの外国人にとってすごいことのようだ。日本に住んでいれば気づかないが、言われてみれば確かにそのとおりなのかも知れない。
旅館のおもてなし
旅館では、従業員の丁寧なおもてなしを肌で感じるようだ。お出迎えはもちろん、食事の配膳から布団の準備まで、細かいところへの気配りに対して感動する中国人観光客もいる。地方の旅館では、その土地の郷土料理が振る舞われたり、郷土文化・民芸を披露してくれたりする宿もあることから、こういった点も感激されることが多いようだ。
デパートのおもてなし
少し高級なデパートに行くと、エレベーターガールがおり、行先き階を押してくれたりする。最近では少なくなっているものの、こういったおもてなしも日本独特のものだ。海外ではこういった心の通うおもてなしはないからだ。
また、店員がひとりひとりにいらっしゃいませと挨拶することや、個人的な気づかいを示してくれる事が驚きのようだ。日本のデパートに限らずコンビニや銀行、ホテルなどどんな場所でも日本のおもてなしを感じることができる。
「おもてなし」は日本の文化
今でこそ中国の高速鉄道は日本の新幹線に近く、とてもきれいで心地よいが、寝台列車などにのると、日本との違いを感じることもある。日本の新幹線の時間の正確さなども外国人が驚くポイントだろう。
車社会の日本では、交差点などで歩行者優先という暗黙の了解がある。歩行者が渡るのを車が待っている情景も外国人にとっては不思議に感じる場合もあるようだ。
中国の道路では車がクラクションを大げさに鳴らしながら通り過ぎていくのも珍しくない。日本人ドライバーはよほどのことがない限りクラクションを鳴らさないため、道路は比較的静かだ。
日本のさまざまな場所に根付くおもてなしの文化は、中国人が日本観光を好む理由の一つとなっている。こういった文化を大切にして、和の心を残していくことこそが、日本人の役目ではないだろうか。