中国人(外国人)が日本の不動産を購入するための手引き
2012年の終盤から日本の不動産の価格が上昇し始めてきました。そして、2020年の東京オリンピックの開催決定により、これからも更に不動産の価格が上昇していくことが期待されています。そのため、日本国内では不動産に注目する人が増えてきました。また、日本国内だけでなく海外の投資家の間でも、日本の不動産に注目して購入する動きがみられるようになりました。そこで今回は、海外の方が日本の不動産を購入する際の手順と、その注意点についてご紹介いたします。
目次
■海外の方が日本の不動産を購入する際の手順と注意点
実際に海外の方が日本の不動産を購入する際の手順と、その注意点をご説明します。
・不動産購入者の国籍による違いに注意する
まずは、海外の方が日本の不動産を購入する際に気を付けるべき点をご説明します。日本の不動産を購入する際には、購入者の国籍によって違いが出てきます。その違いは大きく分けて2つあります。
1つ目は、日本人が不動産を購入する場合には「日本銀行の住宅ローンが利用できる」のに対し、海外の方は「日本銀行の住宅ローンを利用できない」という点です。ローンが組めるかどうかは大きなポイントとなるので知っておく必要があるでしょう。
2つ目は、海外の方が日本の不動産を購入した後に、「外為法により、財務大臣に報告する必要がある」ということです。日本人が日本の不動産を購入する際には必要ないことなので、海外の方も同じように考えていると、報告を忘れてしまって違法となることがあるのでご注意ください。
・購入目的を確認する
不動産の購入目的は、大きく分けて2つかと思われます。1つ目は「投資のための購入」、2つ目は「居住のための購入」です。この購入目的によって不動産会社の探し方が変わってきます。また、不動産会社だけでなく物件の探し方も変わってきますので、購入の前に投資用なのか居住用なのか目的をはっきりさせておきましょう。
・不動産会社を探す
国によって様々ですが、基本的にはインターネットを利用して物件を検索することができます。日本の不動産会社は、それぞれの国の言語に合わせて「日本不動産検索サイト」を作成していることが多いので、それを探すのが良いでしょう。
例えば、中国で不動産を探すなら、中国語で作成された「日本不動産検索サイト」を利用するといった形になります。そういったサイトは「Baidu(バイドゥ)」で検索すると引っかかります。「Baidu(バイドゥ)」で「日本不動産検索サイト」を探して、そこから物件を探すといった流れになります。
また、インターネットで物件を探す以外に、現地の日本不動産の法人に直接問い合わせるといった方法もあります。現地の日本不動産の法人に希望する物件の条件を提供して、紹介をしてもらうという流れになります。こういった現地の日本不動産の法人についても「Baidu(バイドゥ)」で検索することができます。
しかし投資不動産会社の物件は、こういったサイトには掲載していない場合が多いのでご注意ください。
・不動産会社を探す際の注意点
実際に不動産会社を探す際は、まずホームページを確認するかと思われます。その際のポイントを2つご紹介します。
1つ目は「資本金に注目すること」です。資本金が多いということは、それだけ大規模な会社であると予想できます。大規模な会社の方が取り揃えている不動産も多いため、希望の不動産が見つかる可能性が上がります。
2つ目は、「従業員数に注目すること」です。資本金と同じ理由になりますが、従業員が多いということは、それだけ大規模な会社であることが予想されます。また、あまりに従業員数が少ない会社は健全な運営をしていない可能性もあるので、できれば避けるようにしましょう。
また、実際に日本に来た時には、必ず不動産会社を直接訪問しましょう。その際に「会社の規模や対応の時の様子」、「書類等に翻訳版があるか」などを確認するようにしましょう。
・不動産購入に必要な費用を確認する
日本の不動産を購入する際は、不動産の物件価格以外にも諸経費が必要となります。この諸経費を確認することも大切です。必要な諸経費を合算すると、一般的に物件価格の8%前後となります。不動産の物件価格以外に必要な諸経費は以下の通りです。
1、売買契約書に貼り付ける印紙税
2、不動産取得税
3、登録免許税
4、不動産の仲介会社へ支払う仲介手数料
5、火災保険や地震保険など、各種保険料
6、固定資産税に対する清算金
7、管理費に対する清算金
・不動産を購入する際に必要な書類などを用意する
海外の方が日本の不動産を購入する際には、大きく分けて以下の3つの書類等が必要となります。不動産を購入する直前に慌てて用意するのではなく、余裕をもって事前に用意しておきましょう。
1つ目は、「宣誓供述書などの公証書類」です。一般的には、「居住国の公証人の認証による住所」を確認するために使われている資料です。宣誓供述書は、その住所が間違っていないことを示す証明書のような役割を担っています。宣誓供述書に書かれている内容は「氏名」「住所」「生年月日」「性別」などの情報です。また、国によっては在日の大使館が認証業務をやっている場合もあります。その場合は、在日の大使館で宣誓供述書を作成してもらうこともできます。
2つ目は、「パスポートなどの身分証明書」です。不動産を購入する際には、パスポートなどの身分証明書を提出しなければなりません。不動産登記をする際には、居住国の住所が使われます。そのため、パスポートに住所の記載がない場合は、他に住居証などの書類を用意しておきましょう。
3つ目は、「印鑑」です。不動産の売買契約書などを作成する際には捺印が必要となります。日本では印鑑が良く使われているので当たり前のように捺印を求められますが、海外では印鑑を使う国は多くありません。そのため、印鑑を持っていない方が多いかと思われます。また、初めて印鑑を作る場合は分からないことも多いはずなので、できるだけ日本で作ってもらうようにしましょう。
・不動産購入までの大まかな流れを知っておく
日本の不動産を購入する際の大まかな流れをご説明します。まずは来日して、物件を下見しましょう。インターネットの情報だけでなく、実際に目で見て判断することが大切です。そこで購入を決定した場合は、「買付け証明書」を提出しましょう。その後、正式な「売買契約書」を締結します。この時に印鑑が必要になるので、必ず持参するようにしましょう。購入の契約が完了したら、次に購入資金を用意しましょう。すでに用意している場合は、その支払い方法を決定しましょう。最後に「決済と登記」をして、不動産購入は完了します。
・不動産購入時の注意点
海外の方が日本の不動産を購入する際に、特に注意すべき点を4つご紹介します。
1つ目は、「売買代金の支払い方法」です。海外の方の多くは日本の口座を持っていないかと思われます。そのため、売買代金を支払う際には海外送金を利用することが多いでしょう。決済をスムーズに進めるためには、この代金は事前に送金してもらう必要があります。よって、送金する先は不動産会社の預かり口座を指定されることが多いです。そのため、信頼できる不動産会社を選ぶことが大事になります。
また、海外送金をする場合は「支払金額の根拠」と「着金したかどうか」を必ず確認しましょう。その確認のための書類がありますので、不動産会社から必ず提出してもらうようにしてください。以下、その書類の説明です。海外送金前には、会社の捺印がされた「送金依頼明細書」を提出してもらって、支払金額の根拠を確認しましょう。海外送金後には、送金先の銀行から「外国為替計算書」を必ず提出してもらって、確認をしましょう。
2つ目は、「不動産権利書」の受け取りです。この不動産権利書は、不動産の決済が終わってから、だいたい1週間ほどで作成されます。その作成された不動産権利書を居住国に送ってもらうか、管理会社に管理しておいてもらうか選ぶことができます。大切な書類ですので、自分で管理するか管理会社に任せるかは必ず事前に決めておきましょう。
3つ目は、「納税管理人の設定」をすることです。不動産を購入した後は、不動産取得税や固定資産税などの税金を払う必要が出てきます。納める金額が書かれた納付書が税務署から送られてきますので、それに従って納税します。しかし、海外の方が不動産を購入した場合は、日本にいないので納税の手続きをすることができません。そのため、納税の手続きを代わりにしてくれる「納税管理人」の設定をする必要があります。もし、日本に「納税管理人」となってくれる人がいない場合は、不動産管理会社に相談してください。
4つ目は、「投資の場合は確定申告をする必要がある」ということです。投資を目的として不動産を購入した場合には、確定申告をする必要があります。投資の場合は家賃収入が発生するため、不動産所得として確定申告をしてください。良く分からない方は税理士に依頼しましょう。海外の方でも依頼はできますので、不動産会社の方に税理士を紹介してもらうと良いでしょう。
まとめ
今回は、海外の方が日本の不動産を購入する際の手順と注意点をご紹介いたしました。日本の不動産を購入する際の参考になれば幸いです。しっかりと事前準備をして、良い不動産購入ができることを願っております。