中国のIT企業トップ10
中国では目覚ましい経済発展が続いており、特にIT産業の成長はすさまじい。スマホやパソコンの生産台数においては世界を席巻するほどの勢いで成長している。システム開発の分野でも海外からの委託も含め、需要が急激に拡大している。
中国IT産業躍進の理由は
今日における中国IT産業の躍進は、政府が国策として取り組んだ事に大きな要因があると言える。中国政府は、1990年代にIT産業を国の重要な分野と位置づけてさまざまな施策を推進してきた。
5カ年計画で中国政府によって数々の野心的な目標が設定され、ITのインフラを早急に整備していった。勤勉な国民性と優れた人的資源が豊富だったこともあり、結果的にIT産業を短期間で先進国の水準まで引き上げることができたのだ。
また、中国でITエンジニアを目指す人は向上心が非常に強く、仕事に対する姿勢はすこぶる意欲的だ。近年の中国社会自体がIT分野に優れた頭脳が結集する構造となっているのだ。さらに、中国のインターネットユーザーは日本の総人口を上回り、スマホによるインターネット利用者数は7億5300万人にも上る。このように、莫大な人口基盤と高度な経済成長に支えられているのも大きな要因といえるだろう。
(出典:http://j.people.com.cn/n3/2018/0201/c94475-9422707.html)
ここで中国IT産業を牽引し、中国経済にも多大な影響を与えているIT業界の企業トップ10を紹介しよう。参考値として、2016年の総資産額を元にしたランキングも載せておく。しかし、総資産額には外部の資産も含まれるため、安定的な数字ではないと言えるだろう。2017年のランキングは単純に総資産額を元にしたものではなく、総合的な実力を判断したものだ。
ランキング指標としての企業総資産額
2016年の総資産額ランキング
1位 アリババ 約225億ドル
2位 テンセント 約160億ドル
3位 バイドゥ 約150億ドル
4位 シャオミ 約130億ドル
5位 JDドットコム 約70億ドル
6位 シンエイ・テレコム・テクノロジー 約65億ドル
7位 ネットイース 約62億ドル
8位 テンセント・ホールディングス 約55億ドル
9位 ジャイアント・インタラクティブ 約35億ドル
10位 AACテクノロジーズホールディングス 約32億ドル
2017年IT企業総合実力ランキング
1位 深圳市腾讯计算机系统有限公司(テンセント) 223億ドル
2位 阿里巴巴集团(アリババグループ) 232億ドル(2017财年)
3位 百度公司(バイドゥ) 103億ドル(2016年)
4位 京东集团(ジンドン) 288.47億ドル(2015年)
5位 网易集团(ネットイース) 79億ドル
6位 新浪公司(シナコーポレーション) 10億ドル(2016年)
7位 搜狐集团(ソウフ) 16.5億ドル(年営業額)
8位 北京三快科技有限公司(メイトアン ディエンピン) 1億6000万ドル(資本金)
9位 携程计算机技术(上海)有限公司(シートリップ) 800万ドル(資本金)
10位 三六零科技股份有限公司(360セキュリティ・テクノロジー) 2億9000万ドル(資本金)
(出典: http://www.legaldaily.com.cn/IT/content/2017-08/04/content_7270806.htm?node=69479)
(※各企業の営業額と資本金は百度百科より)
1位 テンセント
1998年設立。ソーシャルネットワーキングサービス、インスタントメッセンジャー、Webホスティングサービスなどを提供している。テンセントのアプリ「ウィチャット」は、この数年間で最もグローバルな成功を収めたメッセンジャーサービスと高く評価されている。日本のアニメ著作権購入や日中合作のアニメ制作など、アニメ市場にも積極的に進出している。
2位 アリババ
1999年設立。企業間電子商取引をサポートするマッチングサイト「阿里巴巴(Alibaba.com, アリババ・コム)を運営。多くの会員を集めて短期間で急成長した。同社の知名度を高めたのは、2005年に行ったYahoo中国の買収案件を成立させた事や、アリババグループの株式を上場した際に、総額250億ドル強の資金を市場から調達して世界の投資家の注目を集めたことだ。年間のアクティブな購入者数は2017年に4.54億人に達した。
3位 バイドゥ
2000年設立。同国最大の検索エンジンを提供する企業だ。中国国内では最大のシェアを占めている。特に、若者に人気のあるコミュニティやマルチメディアサービス(画像・動画)を拡充したことが、中国ユーザーの人気を惹き付けている。
4位 ジンドン
中国のアマゾンと呼ばれ、オンライン直販事業を行っている。JDドットコム最大の強みは中国全土に倉庫を配備し、配送拠点や取引拠点が整っている事だ。ほとんどの商品を当日や翌日に届けることができる独自のロジスティクスを持っている。ジンドンにとってはアリババが国内最大のライバルである。
5位 ネットイース
中国三大ポータルサイトの一つであり、世界最大級のオンラインゲーム会社へと成長している。中国モバイルゲーム市場における収益は2016年に40億ドルに達しており、近年では2.5Dの新作大型ゲームをリリースしている。中国の大手ゲーム会社は世界レベルのCGを駆使したゲームを市場に相次いで投入している。2018年時点で越境ECトップシェアのKAOLA.COMもネットイースによるものだ。
6位 シナコーポレーション
上海に本社を置く企業で、ウェイボーなどの運営を行っているほか、大規模な広告業務も行っている。ライバル企業となるのは、ソウフやネットイース、百度などである。中国版ツイッターと呼ばれるウェイボーの運営が柱となっている。
7位 搜狐(ソウフ)
ソウフ支払いや搜狗(ソウゴウ)入力システムなどで知られている企業だ。搜狗は、アリババとの合資により新しく出来上がったインターネット企業。中国でソウフは、ニューメディアと位置づけられている。
8位 メイトアン ディエンピン
北京三快科技有限公司はもともと技術開発を行う企業で、貿易コンサルタントやアプリ開発などを行い、シンクタンクのような企業でもある。扱う商品は、肥料や農薬、おもちゃなど多岐にわたる。美団(メイトアン)として知られる出前サービスプラットフォームや、評価コメントアプリ、大衆点評(ダージョン ディエンピン)で更に知られるようになった。
9位 シートリップ
日本でもおなじみのシートリップは、飛行機チケットや国内の列車チケットなど、旅行に関するあらゆるサービスを提供している。上海に本社を置き、現在日本ではTrip.comという名前で運営している。アプリはホテル予約などにも利用できる。
10位 360セキュリティ・テクノロジー
中国でよく使われるブラウザといえば、Chromeでもオペラでもなく、この360ブラウザである。IEやFirefoxなども使われるが、国内のサイトを開く際には、こういった中国製ブラウザの方が速い場合がある。1992年に設立した江蘇省に本社を置く企業だ。
まとめとして
中国のIT分野は、現在でもその規模と成長率の衰えを知らない状況だ。特にインターネット普及率とネット利用者数は増大し続けており、まだまだ巨大な潜在市場が存在していると思われる。国家によるネット検閲等がある中でこういった成長を遂げているのは、まさに偉業と言えるだろう。