2018年版 中国の最新ブラウザシェア
あなたは自分がPCやスマホで使っているブラウザを意識したことがあるだろうか。知らないことを調べたり、ショッピングしたりすることは多々あると思うが、中でもGoogleのChromeはよく使われているブラウザだろう。理由は簡単、Chromeを使ったGoogle検索がとても簡単で、最も使いやすいからだ。
かつてはMicrosoftのIEがブラウザのトップシェアだったものの、現在ではChromeにトップの座を奪われつつある。実はこの現象が、日本のみならず世界でも有数のネット大国である中国でも起きているのだ。
統計データによると、デスクトップのネットユーザーが使用しているブラウザのシェアは、2018年2月の時点でChromeが45%となっている。中国においてPCブラウザの4割強はChromeが使用されているのだ。
(出典:http://www.search1990.com/other/201611200936.html)
IE(インターネットエクスプローラー)はどうだろうか。2018年2月時点で、IEは全世界で約7%のシェアとなっている。しかし、中国単独では23%となり、Chromeに次いで多く利用されているブラウザとなっているのだ。
中国のインターネットユーザーの多くはスマホを使用している。実にネットユーザーの9割がスマホでインターネットを利用するというデータもあるほどだ。PCで使用するブラウザとスマホで利用するブラウザはやはり異なる。
(出典:http://www.askci.com/news/chanye/2016/01/22/16165589dq.shtml)
2018年2月の時点で、一番多く利用されているスマホブラウザは、QQ浏览器である。その後にUC浏览器、360浏览器が続き、Chromeは8位となっている。スマホにはQQブラウザがデフォルトでインストールされていることが多いため特にこだわりなく使用するユーザーが多いのだろう。
話をPCブラウザに戻そう。中国国内で利用率の高いブラウザの一つ「搜狗高速浏览器」は、搜狗社がGoogleのChromiumをもとに開発したブラウザだ。このブラウザはユーザーに高速なブラウジングを提供するために、さまざまな機能を搭載している。
中国のPCブラウザランキングでIEの次に利用率が高いのが「QQ浏览器」だ。QQは、微信が台頭する前までは中国で最もポピュラーなSNSツールだった。現在でも日本のLINEとは比較にならないほど多くのユーザーを有している。
しかしここでいうQQ浏览器は、QQの開発元である腾讯(テンセント)社が開発したQQブラウザのことだ。このブラウザにはQQへのアクセスをメインとした機能やプラグインが搭載されている。また、QQ音楽などのコンテンツをダウンロードする際の簡便性も考えて設計してあるのだ。
中国という国の特筆すべき点は、外来物をローカライズする速度が尋常ではないほど速いことだ。それにもかかわらず、本来ならローカライズされるChromeは、そのまま中国の人たちを虜にしている状況なのだ。その原因はいくつか考えられる。
そのひとつは、現在の中国にはChromeに匹敵するほど快適なブラウザが今のところないということだ。搜狗高速浏览器などオープンソースのChromiumを元に作られたブラウザはあるものの、やはりシンプルさと使いやすさの点ではChromeに及ばない。2つ目の理由としては、中国のPCブラウザの開発自体が停滞気味であることだ。上述の通り中国のネットユーザーのほとんどはスマホを使用している。開発元にとってより魅力的な市場はPCブラウザではなく、モバイルブラウザなのだ。また、中国ではPCブラウザ版のChromeも広く受け入れられている。
もちろん推測の域を出ないが、ネットユーザーは国などの分別なく、純粋に使い勝手の良さを求めている。Google社のChromeブラウザが中国で存在できる根本はここではないだろうか。シンプルで分かりやすく、そして何よりも速い。ブラウザに求められるのはそこなのだ。Chromeが中国の人気PCブラウザとして浸透しているのはその高いユーザビリティだろう。
中国ではさまざまな理由からGoogle検索こそ利用できないが、Chromeブラウザを利用するだけなら問題ないというのが、今の中国の現状といえるだろう。