中国向けマーケティング、広告編②、BATTのプラットフォーム、高効率のアリババ、裾野の広いテンセント
今回はネット広告収入1位のアリババと、同3位のテンセントについて見ていこう。中国IT界の2トップである。
ATは好調
中文互聯網数据資訊中心のデータによれば、2018年のインターネット広告収入とシェアは、
1位 アリババ 1386億元 35%
2位 バイドゥ 819億元 21%
3位 テンセント 581億元 15%
となっている。南方財富網による2019年の広告収入は(第1四半期/第2四半期)
1位 アリババ 301億元 31%増 / 420億元 27%増
2位 バイドゥ 177億元 3%増 / 192億元 8.7%減
3位 テンセント 134億元 25%増 / 164億元 16%増
このところ、アリババとテンセントの広告収入は堅調に推移している。
アリババ-阿里匯川広告
アリババの広告収入1386億元(2018年)のうち、ネット通販プラットフォームの広告が1149億元だった。その他237億元は、グループ傘下の優酷(動画視聴)UC(スマホブラウザー)、PP助手(APP管理)、有料会員サービスなどへの出稿である。こちらの伸び率は30%だった。
アリババは、たくさんある機能別の通販プラットフォーム、傘下企業のメディアに広告を打ち、広告単価のアップ、大幅増収を実現していた。それらに広告を出すには、どうすればよいのだろうか。
一般的な入口は、アリババ移動事業群の「阿里匯川広告平台(プラットフォーム)」を利用することだ。登録を行い承認されれば、広告の申請を行うことができる。
阿里匯川広告のメリットは、神馬移動捜索(検索エンジン)、高徳(地図)豌豆莢(スマホ管理ソフト)、UCなど、アリババ系産品のビッグデータを思い切り利用できることに尽きる。広告主に対し、最も効果の上がる、広告媒体資源を提案できる。30%のペースで伸びているのは、その精度が高まっている証明に違いない。
テンセント-騰訊広告
テンセントには、Wechatモーメンツ(朋友圏)同ミニプログラム、QQ(メッセンジャーソフト)などSNSアプリの連動という強みがある。騰訊広告のサイトには、多様な広告資源で11億の優良顧客をカバーする、と謳っている。11億とはWechatのユーザー数である。しかし、それは鵜呑みにはできない。
2019年6月のアプリ使用時間シェアというデータがある。それによればテンセント系は46%を占めダントツだ。やはりSNSの力は大きい。しかし、広告収入シェアは16%にすぎない。これに対し、アリババ系は10%に対し、広告収入は37%、バイドゥ系は8%に対し22%と、ネット通販、検索エンジンに比べ、広告パフォーマンスは良くない。
そのためかどうか、騰訊広告は、ハードルを下げ、出稿しやすくしているようだ。登録は無料、顧客の要望により、コストはコントロール可能、多くの効果計算モデルを準備、などの点をアピールしている。
まとめ
アリババの広告事業には、余裕がありそうだ。あまりしゃかりきに広告を募集している印象はない。買い物と決済のデータを抑えているのは、大きなアドバンテージなのだろう。
テンセントは10月末、上海で「騰訊広告高峰論壇(サミット)」を開催した。その場で多くの提携パートナーを紹介している。広告主と協同し、思考と方法を変革していこう、という主張を展開した。そのメインは、オンライン旅行最大手、携程との提携である。携程は、Wechatミニプログラムへの参加は、広告を完成させる最後の1ピースと述べている。ミニプログラムを広告プラットフォームと考えれば、テンセントの広告価値は変わってくる。
日本から出稿する通常の広告では、効果の高いアリババ、大勢の目にとまるテンセント、という理解よいだろう。やはりこの2社は、どこまでも強力である。