中国の「国民目線」、日本はどう映る?
「国民目線」という言葉が、よく使われだしたのは2009年ころ、日本の歴史的な政権交代が起こる前、自民党政権を批判するマスコミの間に飛び交い、国民の想い・見方等々、幅広い意味で使われてきました。近年、中国人の日本に対する「国民目線」を取り上げた書籍やネット記事が目につくようになりました。
「中国人が見たここが変だよ日本人」
日本を「中国の国民目線」で捉えた書籍は幾つかありますが、なかでも近年発行されたものでは「中国人が見たここが変だよ日本人」(著者:孫向文 初版発行:2016年1月27日)があります。これは、中国人漫画家である孫向文氏が、主に「日本の政治状況」や「自虐的な思慮」のおかしさを漫画も交えて書かれており、自国の民主化を望みながらデモさえ許されない状況にある立場から、知見や所感などを執筆した説得力のある「中国の国民目線」であり、筆者お勧めの一冊です。
中国メディア“今日頭条”の「日本の不思議?」
中国メディアの“今日頭条” (ネットニュース)が、中国人から見た「日本人の習慣や日本の文化」について紹介していたのを、日本のWebメディアで村山健二氏が取り上げています。
<日本人って不思議だなぁ・・・中国人から見て難解な日本の文化>
「ニコニコニュース」http://news.nicovideo.jp/watch/nw2845797
ここでは「豪華な内装のトイレや様々な機能のついた温水洗浄便座など、日本人はトイレに対して情熱を傾けている」と「行儀やマナーに気を使う日本人が麺料理は音を出してすすって食べるのが不可解」といった「中国の国民目線」を、そして
<日本人はなぜ・・・?中国人から見た日本人の「不思議」の数々>
「SearChina.」http://news.searchina.net/id/1598138?page=1
では、
「日本人はなぜ温泉を好むのだろうか」
「日本人はなぜカレーライスが好きなのか」
「日本人はなぜ騙されやすいのか」
「日本人はなぜ時間を守るのか」
「日本人はなぜきれい好きなのか」
「日本人はなぜ口下手なのか」
「日本人はなぜ列に並びたがるのか」
「日本人はなぜ英語が話せないのか」
という疑問を取り上げていますが、これも「中国の国民目線」と言えるでしょう。
@niftyニュースより
12月4日の“@niftyニュース”の海外コーナーでは「否定も肯定もしない!これが真実の日本だ、中国ネット上では称賛の声ばかり」という記事が報じられていました。
これも、村山健二氏が11月30日の中国メディア今日頭条のニュースを取り上げたもので、「訪日中国人が増えたこともあり、中国では実際の日本に対する理解が徐々に深まっていると言えるだろう」とのことです。“今日頭条”が「否定も肯定もしない」と前置きしたうえで、10枚の写真を通じて「中国人ネットユーザーを本当の日本に連れて行ってあげよう」とする記事を掲載していたといいます。
「小学校の給食の様子」の写真で中国の子どもたちとの違いを紹介し、次には「お年寄りが道路を渡っている時に信号が変わっても、車はお年寄りが横断中は止まったまま」の写真で、中国の道路だったらお年寄りがいても構わず発進するか、もしくはクラクションがけたたましく鳴り続けるという。
また、整然としたゴミ出しの写真や、スモッグがなく空が澄んで遠くまで見渡せる田舎の風景の写真で「日本はとにかくきれいである」と紹介していたといい、さらには「日本は伝統文化がちゃんと残っている」ことも伝える一方で、満員電車の写真から「日本は仕事や生活のストレスが大きい」ことなども伝えていたとのこと。
そして、記事は「否定も肯定もしない」と前置きしているものの、ネットユーザーから記事に寄せられたコメントは日本を称賛する声ばかりで、「北京でも上海でも広州でも、人が多いため日本より混雑していて、不動産は日本より高く、環境では日本より悪く、給料は日本より低い。中国にはどこにも良い所が見当たらない」など、中国の現状を憂慮する声が目立ったとのことです。
中国人から視た日本vs不思議な中国
中国に関するものとして過去に類似の記事「中国人から視た日本vs不思議な中国」を掲載していますので宜しければ是非こちらもご覧下さい。おそらく「へ~、そうなのか」と驚くようなこともあり必見です。
「中国には通信の自由がない」?
SNS上でも「中国と日本」についての話題を見かけますが、ツィッターで少々興味をそそるものを目にしました。筆者がまだ若い頃にはSNSはまだこれほどに普及しておりませんでしたが、SNSと一緒に育ってきた今の若い世代においては不特定多数の人で討論会のようなやり取りがなされているのです。
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「中国には通信の自由がない」とよく言われるが、日本人は「通信の自由」をどれだけ活用してるのか?スマホを持っていれば、ネットで世界につながるとしても、結局は日本語で提供される情報源にしかアクセスしてないのがほとんどだろう。日本人にとって日本語が「グレートファイアウォール」になってる。 |
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大陸の新中国人は、物理的に閲覧できないから外国の情報に飢え、世界からそれを得るために、規制をかける政府とVPN駆使して格闘の日々。 一方日本。情報規制で痛い目にも遭ってないから不自由も感じず油断して宝の持ち腐れ。日本語情報源依存は結果として世界的視野の欠落に。意識の問題なのでござる。 |
以上、一部分を転載させていただきましたが、このように今の若い世代が、内容はともあれ「日本の国民目線」をさらけ出して討論している様はある意味で頼もしくも感じられます。
インターネットが普及する前は、マスコミュニケーション(大衆伝達)の媒体となるものは新聞・雑誌・ラジオ・テレビ・映画しか無く、個人が大衆に訴えることは難しい時代でした。インターネットの普及によりマスコミュニケーションがインタラクティブになり「国民目線」という言葉が生まれたのではないでしょうか。「上から目線」「カメラ目線」というように「目線」は使われますが、同じ「目線」でも「国民目線」は重みのある言葉です。
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