中国越境ECの始め方~KOLマーケティングとターゲティング~
目次
SNS投稿で爆発的ヒット!?KOLの影響力とは??
前編では、中国への越境ECを行う際の自社サイトと他社サイトのメリット、デメリットなどを見てきましたが、効率的にマーケティングをするためには、どのような方法が良いのでしょうね。近年は越境ECの他社サイト、自社サイトともにSNSを使ったマーケティングが支持されており、KOL(Key Opinion Leader ・多くのフォロワーに影響力を持つユーザー)の投稿によって多くのヒット商品が生まれるケースも出ています。特に中国で利用されているSNSは、TwitterとFacebookを合わせたような機能を持つ微博(Weibo)で、マーケティングでは中国の人々の商品の調査、選別、消費などに活用されています。微博(Weibo)の基本的な投稿文は中国語140文字で、画像、動画などの投稿ができ、投稿に対してユーザー同士でシェアー、コメント、いいね、ブックマークをすることが可能です。微博ユーザーは、学歴、収入が高いユーザー層が多く、特にインターネット経由での商品の購入頻度、額とも高くなる傾向にあるため、マーケティングツールとして注目されています。
フォロワー2000万人超のKOL、2億円の資金調達
いかに微博(Weibo)のマーケティング、情報拡散力が高いのか、中国で最も影響力があるといわれるKOLの例をみながら説明していきましょう。中国人気ナンバーワンといわれるKOLのpapi醤(酱)(パピジャン)さんは、わずか半年で超が付くほどネット界で有名人になったそうです。微博のフォロワー数は2000万人を超えており、微博の投稿が100万人以上に閲覧されることも多々あります。papi醤の本名は姜逸磊(ジアンイーレイ)で1987年上海生まれの大学院生といわれています。2015年に動画アプリで作製した短編動画の投稿を始め、動画の再生速度と音声をいじり始めたのをきっかけにフォロワー数が急激に伸び始めます。普段中国の女性が使わないような汚い言葉を使っていたことでも注目され、2016年には、投資家などから約1200万元(約2億円)の資金を調達し話題になりました。現在、中国のさまざまな動画サイトでpapi醤さんを起用したプロモーション動画が配信され、多くの人々に視聴されています。
プロモーション結果分析で売上げ飛躍的アップも
KOLを起用したしたプロモーション動画は、宣伝を前面に押し出したものからKOLの作製する動画にさりげなく宣伝を挿入するものまでさまざまで、ECサイトへのリンクを貼っているケースが多いようです。ここで、企業広告を嫌う中国の人々からKOLによる宣伝が受け入れられるのか、という疑問が浮上しますが、動画を視聴しているのはKOLのファンで、KOLが広告収入で生計を立てていることを認識しているため、よほどの誇張広告でない限り受け入れられています。しかし、いくらKOLのファンであっても宣伝された商品が良いものだと感じなければ、実際に購入することはないでしょう。また、KOLのファンの経済力や商品との相性も購入の決定要因になってきます。商品の認知はKOLの認知度の高さと比例してくるといえますが、視聴者が購入を決断するかは別問題であり、商品の売上げアップのためにはプロモーション結果の分析が重要です。特に気を付ける点は、商品ページへのアクセス数で、アクセス数が少ない場合、動画内で商品を十分にPRできていないことや商品写真や商品のキャッチフレーズが良くないことが考えられます。アクセス数が多いにもかかわらず視聴者の購入に至っていない場合は、価格設定や説明文が魅力に欠けるものである可能性があげられ、商品の売上げアップのためには動画視聴から視聴者の購入決断に至るプロセスを1つ1つ見直す必要があるでしょう。
中国越境EC消費者の70%は女性、人気は化粧品
ここまで中国の越境ECサイトやSNSを使ったマーケティングについて説明してきましたが、実際にインターネットを使って海外の商品を購入している中国の消費者はどういった人たちなのか確認しておきたいと思います。F社によりますと2016年に海外の商品を購入している中国の消費者は、女性が約70%、年齢19-40歳が約80%、月収5000-8000元(約8-13万円)が約30%、東沿岸部在住が約50%だそうです。これらのターゲット層は日本の商品に興味のある購買力の高いユーザー層とも一致しているといいます。ユーザーは、平均で2-3個の越境EC専用アプリを利用しており、週に2-回の利用が全体の60%を占めているとみられています。商品の購入頻度は毎月~月に2、3回が約50%を占め、1回の購入額は301-500元(約5000-8000円)が約40%で最多となっています。購入している商品は、化粧品やスキンケア商品が約40%を占め、次いで子供用品、ファッションの割合が高くなっています。今後購入したい商品としては健康食品や健康器具などへの関心が高くなってきており、ユーザーの40%弱が購入を検討しているといいます。
地方都市が急成長、中間価格の商品を継続利用!?
ただ、現在中国で越境ECを利用しているユーザー層はここ数年で大きく変わってしまう可能性も指摘されています。昨年からアリババグループが農村部でのECサービスを普及させ、農村部のEC増加や収入上昇などの現象が目立ち始めてきました。アリババグループに続き、中国EC第2位の京東グループも中国全土に広がる自社輸送網を武器に、工業品、生鮮品、農村向け金融を強化する戦略を打ち出しています。アリババグループが農村部向けECを、配送センターやカスタマーサポートセンターのフランチャイズ形式での設置で拡大していくのに対し、京東グループは直営の配送センターと大型家電や大型家具などの取り付け・組立を行うカスタマーサポートセンター増設で対抗しています。今後、越境ECでも中国の地方都市は無視できず、中国市場の成長は農村部をはじめとする地方都市が牽引していくとの見方もあります。地方都市の消費者の特徴は、一度使った商品を継続使用する傾向が高いということです。地方都市は小売店の数が少なく、1度製品を使い始めると、そのまま使い続ける人が多いためです。大都市では幅広い品質、価格帯の商品を展開した方が良い場合もありますが、地方都市の場合、まずは中間価格帯の実用性のある商品を販売した方が効率的かも知れません。大都市向けと地方都市向けでターゲットを変えることは可能ですが、ターゲティングの精度を高めれば広告コストは上昇します。そこで注目されるのがSNSを使った広告で、広告出稿金額が入札方式ではなく定額のため、広告主にとっては扱いやすく、今後ますます普及することが予想されます。
KOL広告の強みは、定額制と情報拡散力
SNSを使ったKOLによる広告のメリットは価格が定額であるということだけではありません。口コミ、SNSユーザー間での繋がりなどで情報が拡散しやすく、ユーザーにも受け入れられやすい特徴もあります。また、天猫国際などのモール内検索から店舗へと集客するには、広告などでPRする必要がありますが、KOLの広告の場合、ユーザーはKOLのSNSアカウントから直接商品ページを訪れるため、モール内の広告や検索対策の必要がありません。さらに、例えば、グルメ情報で定評のあるKOLを活用してキッチン用品を宣伝するなど、ユーザーの興味のあるジャンルのKOLと販売したい商品をマッチさせるなどし、マーケティングの精度を上げることも可能です。
微博(Weibo)運用はプロに委託が効率的
SNSを使ったマーケティングの効果を上げるためには、中国で最も普及しているといわれるSNS・微博(Weibo)のアカウント取得が有効でしょう。KOL による宣伝で商品に興味を持ったユーザーがアカウントを見に来てくれる可能性があるからです。ただし、せっかくアカウントを見に来てくれたユーザーがいたとしても、こちらからのアプローチがなければ再訪問はしてくれないでしょう。中国に馴染みのない企業や個人ユーザーの場合は、中国のネット文化や消費者の好みを把握しきれていないため、微博(Weibo)の運用はプロに任せた方が良いかも知れません。プロは情報やコンテンツの配信のタイミングなどを熟知しています。また、フォロワーからの提案や質問に丁寧に答えるなど、中国語でのコミュニケーションも求められるため、プロに委託した方がより効率的な運用ができると思われます。弊社・(株)レクサー(LXR Inc.)では、微博(Weibo)をはじめとする中国のSNSを使ったマーケティングやSNSの運用をサポートを行っています。発信する情報は日本で丸投げOKで、ネイティブによる翻訳とローカライズを行った情報を発信しております。中国のSNSマーケティングにご興味がある方はお気軽にご相談ください。