電商法施行まもなく1年、新しい代購のカタチは何か、SNSにとどまる?それともB2Bへ転換?
2019年1月1日に施行された「中国電子商務法」は、電子商務(ネットビジネス)分野をカバーした初の法律である。まもなく1年になろうとしている。繁栄を極めていた、代購業者は、現在どうなっているのだろうか。現状を分析しつつ、将来を展望してみよう。
法のターゲットは代購業者
代購業者たちは、輸入申告も納税もしない統計外の存在だった。電商法により、ネットビジネスの経営条件、納税、処罰などの規定は明確化され、プラットフォーム経営者の責任と義務が定められた。彼らを実体店舗の経営者、商工業者と同様にみなし、法の網をかぶせた。
彼らの行為、代購は2005年ころ“産業的段階”に達したとされている。始まりは、留学生や海外出張者が帰国時に持ち込む当時の“希少品”、ブランド腕時計、化粧品、服飾品、皮バッグなどだった。
航空機乗務員や旅行者たちも、ここに大きな商機を見出した。やがて専門業者が登場するのは必然だった。高品質を求める新時代消費者のニーズに応え、繁栄を続けた。日本では中国人の爆買い、と表現されたが、実は想像以上に組織化され、代購業者の依頼による買付けが多かった。
電商法は、友人間取引きでも、ネット上にアップすれば、プラットフォーム提供者と規定する。企業アカウントはもちろん、ミニプログラム、SNS私信、ネット動画、投稿ショート動画、による営業でも、法律の対象となる。ただし、何もかも当局が把握するのは不可能で、課税範囲をめぐり、互いに落としどころを探ることになる。
新しい方向性は、B2B正規業者化へ
とにかく申告、納税せずに持ち込んだ海外商品を、淘宝(アリババのC2C通販サイト)等で転売することはできなくなった。各代購業者は、この10ヶ月、当局の出方やグレーゾーンを見極めつつ、今後の展開を模索してきた。
代購業者は、SNS内に活動範囲を縮小するか、正規の越境Eコマース業者に事業を昇級させるしかなくなった。実際、そのような方向に進み、新たな“正規業者”の勢いが増しているように見える。検索の上位には、「我要代購(http://www.51daigou.com/」「POPBEE代購(https://popbee.com/tag/%E4%BB%A3%E8%B3%BC/)」「海外拍(http://hwpai.com/)」「楽淘(」http://wapser.rigouwang.com/)など、新興らしきサイトが表示されている。
日本専門の「日拍網(http://www.ripai.com/)」「日購網http://wapser.rigouwang.com/)」「淘日本(https://shop33831345.taobao.com/)」などのサイトもある。「淘日本」は、2010年、アリババ、ソフトバンクの提携により始まった。老舗といえる存在だが、淘宝網の一部であり、今では、それほど力を入れいるようには見えない。ただし同じアリババの「天猫国際(https://www.tmall.hk/)」は2018~2023年にかけて1兆4000万元(22兆円)の輸入を行う、と表明している。B2Bである。
まとめ、個人代購はやはり限界に?
また「楽淘」は、神奈川県海老名市に倉庫を構え、ヤフー、アマゾンジャパン、カカクドットコム、ZOZOTWON、メルカリの商品を発送している。また中国の事業者に対しては、日本1400社のメーカーから90万点の商品を、卸価格で提供する、とアピールしている。
電商法が、正規の越境Eコマース事業者に、勢いを与えたことは間違いない。彼らのサービスはますます精緻なものになっている。
これらに太刀打ちできない個人代購入の活動範囲は、小使い稼ぎに限定されそうだ。生業とするためには、B2Bに転換し、パートナー企業を探す方が、手っ取り早いだろう。日本、中国ともに、さまざまなサイトがある。相談する相手には、それほど困らないはずである。