“世界のIT長者”2017 –アジアでは中国ががトップに-
世界有数の経済誌フォーブス(Forbes)は2017年8月23日「テック業界の世界の長者リスト」を発表しました。今年で3回目となる今回の番付では、上位100人の資産総計は昨年から21%増加して1兆800億ドルとなり、その増価額の約半分は、上位10人に起因するとのことです。1位は予想通りにビル・ゲイツ氏で、上位100人のうち米国人が49人と、中国人が17人、そして日本からは10位にソフトバンクグループ株式会社の創業者で代表取締役会長兼社長の孫正義 氏、33位に楽天株式会社の創業者で代表取締役会長兼社長の三木谷浩史 氏、59位にファッション通販サイトZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイの創業者であり、代表取締役社長の前澤友作 氏の3人がランクインしました。
IT長者上位11名と、資産形成元および資産額
1位:ビル・ゲイツ(米国、61歳)/マイクロソフト/845億ドル(9.2兆円)
2位:ジェフ・ベゾス(米国、53歳)/アマゾン/817億ドル
3位:マーク・ザッカーバーグ(米国、33歳)/フェイスブック/696億ドル
4位:ラリー・エリソン(米国、73歳)/オラクル/596億ドル
5位:ラリー・ペイジ(米国、44歳)/グーグル/439億ドル
6位:セルゲイ・ブリン(米国、44歳)/グーグル/427億ドル
7位:ジャック・マー(中国、52歳)/アリババ/374億ドル
8位:ポニー・マー(中国、45歳)/テンセント/367億ドル
9位:スティーブ・バルマー(米国、61歳)/マイクロソフト/329億ドル
10位:マイケル・デル(米国、52歳)/デル/224億ドル
10位:孫正義(日本、60歳)/ソフトバンク/224億ドル
フォーブスは本ランキング作成にあたり、通信企業やメディア企業を「テクノロジー企業」の定義から除外しており、対象としたのはハードウェアやソフトウェア、ソーシャルメディア、オンラインギャンブル、ハイテク製造業といった領域とのことで、また、故スティーブ・ジョブズ氏夫人のローレン・パウエル・ジョブズのように遺産相続によって資産を形成した人物は対象から除外しており、純資産額の算定にあたっては8月18日時点の株価や為替レート、企業価値を考慮しているとのことです。
アジア出身者が3割以上に
フォーブスが発表した「テック業界の世界長者番付」に名前が挙がる富豪のうち、アジア太平洋地域の出身者は年々増加しており今回は上位100人のうち35人となりました。最も多かったのは中国出身者で、本土から17人、香港と台湾からそれぞれ3人がランクインしており、中国のEC最大手アリババ・グループ(阿里巴巴集団)の創業者ジャック・マー(馬雲)氏が3年連続の首位となり、世界全体では7位でした。保有するアリババ株の評価額が大幅に上昇したことが資産を374億ドル(約4兆1000億円)へと押し上げたもので、ニューヨーク証券取引所に上場している同社の株価は、8月中旬に発表した今年4~6月期の四半期業績がウォール街の事前予想を上回ったことを受けて急上昇し、また、同社株価は年初から90%以上値上がりしているのです。ジャック・マー氏と僅差での2位に入ったのは、中国のインターネットサービス大手テンセント(騰訊)の創業者で会長のポニー・マー(馬化騰)氏でした。テンセントのゲーム事業とメッセージアプリ「WeChat(ウィーチャット)」の成功を背景に、この1年で保有資産を67%増やしており、最新の推計による資産総額は367億ドルでアジアの富豪ランキングではアリババ会長のジャック・マー氏とトップ争いを繰り広げています。そして16位に162億ドルで中国三大ポータルサイトの網易(NETEASE)CEOのウィリアム・ディン氏、17位に158億ドルで中国最大の検索エンジンであるバイドゥ(Baidu)の創業者であり会長兼CEOのロビン・リー(李彦宏)氏が名を連ねています。
アジアの中国以外では
アジアの中国以外では、日本の孫正義が3位にランクインしており、世界全体のランキングでは10位となりました。外国では苗字で誤解されることもありそうな孫氏はソフトバンクの創業者であり現会長で、保有資産は推定224億ドルに上りました。通信事業からロボット開発まで幅広く関連事業を手掛けるソフトバンクは、米通信事業者スプリントの経営権を持つほかヤフー・ジャパンの株式の43%を保有しており、そのほか同社が出資する事業には、半導体製造や映画製作、電子商取引、配車サービス(中国の滴滴出行や東南アジアのグラブ、インドのオラ)などがあります。また韓国からランクインした4人のうち2人は、サムスン電子を中核とする同国の複合企業サムスングループのトップ李健熙(イ・ゴンヒ)会長と、息子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長がそれぞれ14位と36位に入りました。
フォーブスはアジア太平洋地域の上場企業の中から選ぶ2017年版「アジアの優良上場企業50社(Fab 50)」も発表しており、年間売上高18億ドル(約1960億円)以上の域内の上場企業1694社について調査を行ったもので、13回目のリスト発表となる今年も躍進が目立ったのは中国企業でした。「Fab 50」に入った中国企業の数は過去最多記録を更新し、中国本土を拠点とする29社が名を連ねており、日本企業は3社がリスト入りしました。
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