「小紅書」の男性版アプリ「什幺值得买」に未来はある?カギはやはりライブコマースに?
女性の圧倒的支持を受ける複合アプリ「小紅書」の男性版と称される「什幺值得买」アプリの特集記事が出た。知る人ぞ知るといった存在である。昨年9月には、深圳取引所の創業板市場へ上場した。一体どのようなアプリだろうか。詳しく探っていこう。
希少価値の男性向けショッピングガイド
比較対象とされる「小紅書」は、女性ユーザー比率79.19%(2019年)を誇る。その他ショッピングガイドアプリも同様で「返利網」は83.7%、同じく「花生日記」は69.5%が女性だ。
これに対し「什幺值得买」は女性比率わずか24.5%しかない。男性が4分の3を占め、確かに異彩を放つアプリだ。
投資家の最終消費市場に対する価値とは、高い順に
少女>児童>若い女性>老人>犬>男性
などと揶揄され、男性は軽視されることが多い。ただし昨今、男性の消費能力は、全くあなどれない。そこにフォ-カスした点で、希少価値の高いアプリといえよう。
商品掲載順は、パソコン、スマホ文具、大家電、生活家電、家具、服装という並びで、いかにも男性向けだ。
什幺值得买の歴史
「什幺值得买」は2010年、北京で産声を上げた。当初はお買い得情報や、海外ショッピングガイドを主体としていた。当時、海外の商品情報には高い価値があった。この出発点もやはり「小紅書」と似ている。ネット通販が不可欠の生活インフラとして成長する中、ショッピングガイドも役割も増していく。公式サイトは、優れた商品で生活クオリティーの改善を目指す、と謳っている。
サイトは、首頁、好価(特価)、社区(コミュニティ)、海淘(海外)、百貨、その他で構成されている。海淘とは海外商品のことで、米国館、日本館、ドイツ館、オーストラリア館、英国館と並んでいる。日本館を開くと、最新ランキングトップは、金鳥の虫コナーズだった。購買へ、をタップすると、アマゾンジャパンの該当ページへ導かれる。
創立から9年後の2019年7月、深圳証券取引所創業板市場(マザーズ相当)へ上場した。
2019年の決算は、売上6億6200万元(100億円)前年比30.4%増、純利益1.19億元(18億円)、前年比24.4%増だった。実現した取引仲介件数は9,299.3万件、47%増だった。
小紅書には敵わず
対比される「小紅書」は優れた複合アプリだ。UGC(ユーザー生成コンテンツ)のコミュニティを基本とし、+B2Cネット通販+提携プラットフォーム+ライブコマース、という4本の構成で、ネット界における独自の立ち位置を獲得している。
小紅書コミュニティの1日当たり平均閲覧数(2019年12月)は45億に達している。これは2018年比4.4倍になった。2020年1月のMAUは1億664万と1億を超えている。投稿シェアプラットフォームとしても、最近絶好調のライブコマースプラットフォームとしても、存在感を放っている。
これに対し什幺值得买のMAUは2951万人に過ぎない。2019年、コミュニティのUGCは全体の77%を占め、前年比101.8%と2倍以上となった。しかしコンテンツ当たりの閲覧数は前年比15.6%増と、さほど増加していない。
まとめ
さらに大きな問題は、現在焦点となっているライブコマースにおいて、存在感がないことだ。確かに男性向けという個性は、キャラが立っている。すぐれた情報力とコンテンツは健在でUGCは増加している。しかし、従来のショッピングガイドだけで、やっていけるとは思えない。小紅書の閲覧者は男性が14.5倍に増加するなど、環境は激変している。
ユーザーとネット通販とブランド、どうバランスをとっていくのか、または、戦略的に崩して、いずれかにより強くフォーカスするのか。2019年は、研究開発費を48.8%増加させ、将来に備えた。しかし、課題は山積しているように見える。