中国ブランドと消費者の信頼問題
中国の消費者が中国ブランドを信頼していないと言うのは、良く知られた事実です。最近起きた地元企業が絡んだ食品のスキャンダルで、この問題は落ちるところが無いところまで落ち、回復は不可能だともいわれています。
いくつかの調査によれば、中国人は中国ブランドを捨て、食品から化粧品、航空会社からホテルまで益々外国製品を好む傾向があることを示しています。これは、中国進出を考慮している外国企業にとっては、地元の競争を制して消費者の心をつかむより良い機会を意味します。
調査では、信用度合いにおいて食品とエンターテイメント産業が最下位となり、テクノロジー企業が最も信頼に足るという結果が出ました。小売業では、NikeとZaraの評価が最も高い結果を得ましたが、グローサリーでは価格にこだわりを見せています。例えば、台湾のグローサリーチェーン店RT Martはブランドの信頼度と全体の価値で高い結果を示し、イギリスのTescoは中国に進出している欧米のグローサリー店をリードしています。
驚くことに、中国ブランドの小売店の多くが、消費者にとっては例え売値が低くても、費用対効果が低い、とみなされています。その結果、消費者は、価格の差に納得できる限りは、名の通った欧米ブランドに高い値段を払うことを好みます。
企業は消費者に関心を持つことを学ぶ必要がある
食品安全に関するスキャンダル以外にも、ソーシャルメディアが地元製品や企業のブランド評価を形成する役割を益々担うようになっています。中国人のネット民は、残念な経験をした際にソーシャルネットワークでネガティブなコメントを残すことが、良い経験をしてポジティブなコメントを残すことよりも圧倒的に多いです。この傾向はしばしば、ブランドが急速に支持を失う結果を生みます。企業がこの危機に迅速な対応を行わない場合は、特にこの傾向が顕著となります。
Thoughtful Chinaという番組で、中国人消費者の信頼に関するトピックスが、いくつかの産業からの参加者間で議論されたことがありました。インタビュアーは、どうすれば消費者の信頼を得、ブランドの評価を支え、危機に対応することが出来るか、と問いかけました。
以下が、私自身が納得できた答えの要約です:
社長やCEOが消費者に関わることを学ぶ必要がある
企業の社長やCEOが、実際に外に出かけ重要な問題に対応することが必要です。シニアレベルからのコミュニケーションが信頼を構築する助けとなり、消費者と他社とは異なるレベルで関わることが可能になります。
中国は、依然としてリーダーをベースとする社会です。これが、ソーシャルメディアにおけるキー・オピニオンリーダー(KOL)の台頭の背景です。彼ら彼女らの意見が、時には何百・何千に及ぶ多数の支持をえています。これらのオピニオンリーダーと関係を築くことはブランドの評価を管理する為にとても重要です。
自社内でKOLを作り出す。このプロセスは、時間がかかりソーシャルメディアとの緊密な関係の構築を必要とします。カリスマ性のあるCEOなどが、この役割にうってつけです。一般的に中国の消費者はトップがこのように消費者と直接関係を築こうとする努力を歓迎します。
中国の消費者は大企業を求める
欧米では、逆に大企業ほど信頼に値しないと考えられています。中国では、特定の企業のサイズや世界規模での展開、長い歴史などはブランド評価の際の利点となります。
中国の消費者は、自分たちが関わる企業の社会責任を益々求めるようになってきています。
欧米で行われているように、定期的に社会責任に関する報告書を発行することは、より良い評価を築き、強固で持続的なブランドへの信頼を築くのに役立ちます。
総体的には、地元ブランドに対する信頼問題は改善の兆しを見せています。これは、政府の企業の透明性に関する圧力が一つの背景としてあります。又、中国市場はまだ新しく、信頼を築くには時間がかかるため、既に歴史的に信頼を築いてきている外国ブランド方に一日の長があることも事実です。
[原文]
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