中国のフリマアプリ“三国志”はアリババ、テンセント、京東の争い、日本との提携は可能か?
日本では10月、Pay Payフリマがスタートした。個人間の取引きに限る、固定価格とすることでヤフオクとは差別化するという。それはともかく、これで有力なフリマアプリは、メリカリ、楽天ラクマ、Pay Payフリマの3つとなりそうだ。
中国でも中古品売買アプリは、「閑魚」「転転」「愛回収」の“三国志”となっているという。日本との違いは何か、詳しく分析してみよう。
フリマアプリ三国志
世界のシェアエコノミーは、21世紀に入り、大きく発展した。とくに2009年のUber登場は、シェアエコノミーの概念に変更をせまる事件だった。その新しいシェアエコノミーの延伸として、中古品売買市場も拡大していった。中国でもさまざまな中古品売買アプリが登場した。
2011年 愛回収、優信
2014年 閑魚、人人車、瓜子二手車、奢家、
2015年 胖虎、衣二三、找艦機、優信二手車、麦萌媽咪、拿趣、復活街
2016年 転転、只二、換換回収、有肉、花粉児、旧愛勾搭
2017年 拍拍二手、貝貝閑置網、PLUM、享物説、多抓魚
など多士済々である。2014年4Gの展開とともに勢いを増している。車の付くのは中古車系である。日本ではまったく思い浮かばないほどの数量だ。これらの代表選手が「閑魚」「転転」「愛回収」である。
愛回収
愛回収は2011年スタートした。2014年以降、ネット通販大手の京東から融資を受け、提携関係にある。
電子産品の回収及び、環境保護処理を行う「愛回収」と、電子産品の取引きを行う「拍機堂」、2つのプラットフォームからなっている。全国的に電子産品を回収し、新旧入れ替えサービスを行う。スマホ、タブレット、ノートパソコン、デジカメなどのデジタル産品9分野に特化したアプリである。
公式サイトを見ると、最初からiPhone 11Pro Max 9367元、iPhone11 Pro 9055元など買取り価格が表示されている。販売より回収に力を入れ、仲介や、営業も行う。純粋なフリマだけではない。
2019年6月、京東の中古品売買アプリ「拍拍」と「愛回収」の提携、愛回収に対する5億ドルの融資が発表された。
閑魚
閑魚は2014年、アリババのC2C通販プラットフォーム“淘宝二手”としてスタートした。淘宝、またはアリペイの会員登録があれば、すぐに出品が可能だ。出品方法はメルカリと同様、決済はアリペイで行う。
昨年9月のデータでは、11億人の不用品を扱い、2017年8月~2018年7月までのGMV(一定期間の成約額)は900億元(1兆4500億円)だった。同時期に相当する、メルカリ2018年6月期の流通総額3704億円だった。ほぼ4倍である。
直近の目標は1000億GMVを達成し、社会資源の有効利用に貢献すること。そして最終的に、淘宝、天猫、アリペイ、芝麻信用などグループと組み、多元化した不用品流通プラットフォームを構築する。
転転
転転は2015年11月、総合生活サービス「58同城」の58集団が設立した。その後2017年4月、テンセントが2億ドルを出資し、傘下企業となる。同社のSNS・WeChatのミニプログラムからアプリを開き、モバイル決済・WeChat Payで決済を行う。
転転は昨年、初めて双11独身の日セールに本格参入し、前年比の267%のGMVを記録した。このときの発表では、2018年の登録ユーザーは2億人、月間アクティブユーザー数は5000万人だった。
また転転は、ミニプログラムによる市場開拓が評価され、2018年度“最具商業価値創業公司”に選出された。
まとめ
2018年の中古市場規模は7000億元、2020年には1兆元を突破する見込みだ。傾向としては、C2CからC2B2Cの要素が強まっている。企業の仲介が入るのである。つまり愛回収のようなビジネススタイルだろう。しかしその愛回収は、京東グループの総合中古取引アプリとなりつつある。結局は、アリババ、テンセント、京東の争いに集約される。
その他の業界別、部門別の垂直統合型中古品アプリは、彼らに対抗するのが難しくなりそうである。アリババとPay Pay、京東と楽天はよい関係にある。日本と組み、中古品が気軽に海を渡るビジネスを構築できないものだろうか。