2020年中国で成功するマーケティングのための5つのデジタルトレンド
2020年、中国市場に進出する準備は整っているだろうか? 中国人顧客が高品質の欧米の商品やサービスへの支出を増やし続ける中、中国は、野心溢れる欧米ビジネスにとってホットな市場となっている。市場の成長と急速に進化するデジタルインフラ、アウトバウンドツーリズムと高級商品に対する需要が増大しているため、2020年の中国でマーケティングを成功させるためのトレンドを予測することは重要である。
まずは、新しい10年もスタートしたことで、この巨大な市場の余地と成長を新たな文脈に落とし込む興味深い事実について説明していくことにしよう。
目次
2020年中国市場の鍵となる事実
1. 中国には600都市があり、そのうちの20都市には500万人以上の人口がいる。140都市の住民は100万人を超す。
2. 中国全土の都市化は、2021年には60%に達する見込みで、消費力も増大する。
3. 中国は、「人工知能(AI)の世界1になる」と位置付けており、テック大手企業のアリババやテンセント、百度は驚くべき速度でAIやデータ/リサーチのプロを起用し、グーグルやフェイスブック、欧米のテック企業と競合している。
4. マッキンゼーの推定によると、中国のオンライン小売業の規模は2019年末に1.5兆米ドルに達し、以下に続く10の市場を合わせたものより大きく、単体の市場としては最大となった。
5. 中国では、オンラインで過ごす時間の2/3がコンテンツ消費とソーシャルメディアアカウントに費やされている。オンライン顧客の3人に1人が偽造品をつかまされる市場においては、強固で一貫性があり、信頼されるブランドの開発が可能な欧米ブランドは、市場シェアと中国人顧客のロイヤリティベースを構築する機会を増やすことができる。
では、2020年の中国のマーケティングで知っておくべき大きなトレンドを見ていこう。
1. KOLはKOCに進化する
ここ数年、キーオピニオンリーダー(KOL)が中国のソーシャルメディア環境を席巻してきたが、スポンサー費用が上昇するに伴い、その信頼性に対する疑念も高まってきた。そのため、キーオピニオンコンシューマー(KOC)への投資を検討するブランドが出てきている。欧米ブランドは、ブランド認知を拡散するため、また、リターンを最大化するため、両タイプのオンラインインフルエンサーを起用するインフルエンサー戦略に投資する競合他社を目の当たりにすることになる。KOCのコミュニティは、インセンティブ付きの紹介と商品レビューと共に、ソーシャルプラットフォームのプライベートチャットグループにより形成される。これらの活動の鍵となるプラットフォームは、WeChatやLittle Red Book、ウェイボーとTモールである。
2. Vloggingが成長する
中国では、Vloggingが急速に成長している。推定によると、昨年の中国におけるVlogの閲覧回数はほぼ倍増し、オンラインインフルエンサーにとっては、ライブ配信やショートビデオと並び新しい強力なツールとなっている。Bilibiliでは、Z世代(1990年代後半から2000年生まれの世代)がVloggingプラットフォームに注目し、その広告収入は、昨年の第4四半期においては80%増大した。WeChatやウェイボーなどのプラットフォームにおいては、より長いビデオフォーマットも大いに活用されており、Mr. Bagsなどの中国人インフルエンサーも視聴者とのエンゲージにVlogを使い始めている。
3. ライブストリーム消費が主流になる
ここ数年、タオバオやTモールなどのソーシャルメディアプラットフォームではライブストリーム消費をフィーチャーした機能が使えるようになっているが、頭角を表すようになったのは2019年である。例えば、ロレアルは独身の日(11月11日)に、17時間ライブ配信して売り上げを700%伸ばしたが、「See Now, Buy Now」でスマホによる即時購入にバックアップされたものである。今年は、この機能はLittle Red Bookにも取り入れられる予定で、各ブランドはWeChat Miniプログラムでライブ配信を活用すると見られている。
4. 低級都市が焦点になる
中国人消費者の一線都市(北京、上海、深圳、広州)における消費力は、現在も大幅に維持されている。しかしながら、低級都市も、住民の購買力と共にその存在感を強めている。欧米のオンラインテーラーにとっては、国際ブランドが実店舗を最小限に抑えられるという場所の点において特に有利である。2019年独身の日、アリババはこれらの新興都市に焦点を絞り、毎年上海で開催するセレブのギャライベントに並行してハルビンでキックオフイベントを開催した。ブルームバーグの報告によると、2019年のアリババの新規アクティブ顧客の 70%は低級都市出身であった。欧米ブランドとしては、小規模な三、四線都市については見過ごしがちであるが、その実、低級都市の住民は急速な都市化により百万人を超え、賢く情報に精通しており、裕福かつ若い世代の比率が高い。
5. 体験がよりスマートになる
マーケティング担当者にとっては、中国市場は驚くほど洗練されたものである。例えば、中国の衣料購入者の69%は、店舗に足を運ぶ一方で商品購入のためにスマホで検索する。また、マルチスクリーンエンゲージメントのトレンドもある。例えば、テレビで「China’s Got Talent」を鑑賞しながら、タブレットではソーシャルメディアチャネルでボーナスコンテンツにエンゲージし、スマホで友人にブランド・ショーのステッカーを送信し、オンラインフォーラムではその予想をする、という中国人顧客を想像してみてほしい。ライフスタイルと体験は中国人顧客のコンバージョンを継続して獲得するが、革新的なマーケティングと広告キャンペーンを作り出すために使われる技術は、欧米に比べてもさらに洗練されたものになる。ゲーミフィケーション、AI、ロケーションベースサービス、ハイパーパーソナライゼーションなどは全て検討すべきものである。
2020年の中国マーケティングで担当者が知っておくべきその他のトレンドには、コ・ブランディング(パートナーシップブランディングとも呼ばれる)、O2O(オンライン・ツー・オフラインマーケティング)、ソーシャルマーケティングがある。ブランドは、情報に精通する中国人視聴者と社会的、国際的良心と善行への願いによりエンゲージする道を模索しようとする。
必要なサポート
このように巨大で複雑、洗練され細分化された市場では、成功するマーケティングキャンペーンの導入とブランドの構築を達成するには、相当の知識と洞察が要求される。中国専門のマーケティング代理店なら、ブランド戦略を成功に導き、キャンペーンが投資利益率(ROI)を達成できるよう柔軟で専門性の高いリソースを提供しアシストしてくれる。