中国のKOLマーケティングを徹底解説
Weibo投稿が消費促す
7000万人超に影響も!?
日本のTwitterでフォロワー数ナンバーワンと言えば、約600万人の有吉弘之さん(芸人)ですが、中国版Twitterと言われるWeibo(微博)では約600万人では、フォロワー数ランキングには入れないでしょう。Weiboのトップテンにはフォロワー数7000万人超えが顔をそろえており、トップのシエ・ナー氏(謝娜、女性司会者・タレント)は約8400万人と驚異的な数字を示しています。中国では、多くのフォロワー数を抱えるユーザーの投稿が消費者の購買行動に大きな影響を与えるため、中国での販売拡大をめざす日系企業などは影響力・信頼性のある有名人やネットユーザーとの連携を進めています。
口コミで拡販、タオバオなど通じ
中国では商品を購入する際に重視されるのが口コミであり、フォロワー数を抱えるWeiboアカウントでの投稿は非常に影響力が大きいものとなっています。多くのフォロワー数を持ち、フォロワーの購買行動に影響力のあるユーザー(ブロガー)はKOL(Key Opinion Leader)と言われ、中国で商品を売り込みたい日系企業などがマーケティングやブランディングに利用する事例が多く出ています。
KOLの投稿で情報発信された商品は、商品を気に入ったフォロワー、閲覧者にさまざまな手段、経路で購入されます。タオバオ(中国最大手のCtoC取引サイト)などのEC(インターネット商取引)サイトでの購入のほか、Weiboや中国版LINEと言われるWeChatといったSNS内での取引、日本製品の場合は日本を訪れての購入など、購入方法は多岐に渡ります。またKOLのフォロワーが投稿した商品を見たフォロワーのフォロワーまで口コミで情報が発信されることもあり、KOLの投稿は大きなマーケティングの潜在力を秘めていると言えます。
誰でもKOLになれる!?
中国での日本製品の人気の高まりや中国人観光客の増加に伴い、中国市場へのKOLを利用したマーケティングに力を入れる日系企業も登場しています。直接KOLにアプローチするほか、多くのKOLとパイプを持つ仲介業者を通じてKOLと接触するケースもあるようです。
KOLのタイプは大きく3つに分けられます。1つ目のタイプはテレビやインターネット上で活躍するタレント、アイドルなどの有名人で、ファンをはじめとする多くのフォロワーを持つのが特徴です。商品のジャンルは問わないことが多く、化粧品からお菓子、家電、雑貨、観光スポットと幅広い内容を投稿します。
2つ目は、得意なジャンルを持つタイプです。化粧品やスキンケア、ダイエット、美容といった女性の関心の高いジャンルで多いようで、特定の分野への関心が高いフォロワーを持ちます。専門知識を用いた解説や実際に使用した感想などの投稿からフォロワーに高い信頼を得ています。
3つ目は、ニュース発信や取材・体験タイプです。日本の新しい観光スポットやイベントを体験したり、注目される新商品やヒット商品にいち早く目を付けて紹介するタイプで副業や趣味で行っている人も多数存在します。最近は日系企業のKOL誘致などで二つ目の専門家タイプと3つ目のタイプを兼ねるKOLも出ており、増加傾向にあるようです。
ブログや動画投稿で商品PR
KOLによる商品のPRは主にブログへの投稿、動画の投稿という2つの手段によって行われます。ブログへの投稿の場合、投稿回数、文字数、写真枚数などが細かく決められているものから、自由な投稿まで企業との契約内容によってさまざまです。
動画投稿はWeiboの動画アプリ・ミャウバイ(秒拍)で主に行われます。タレントなどの有名人が出演することが多く、商品を全面的にPRするのではなくさりげなく登場させるためCMのように途中で閲覧を中止される心配が少なく最後まで商品情報を伝えられるというメリットがあります。契約料金は、商品サンプルの無料提供から1本30万円以上と幅広く、KOLのフォロワー数やフォロワーの属性、知名度によっても左右されるようです。
“自称KOL”登場
フォロワー数、売買も
中国のインターネット人口の増加に伴い、EC取引も増加の一途を辿っています。Weiboの個人アカウント登録数は約5.6億アカウントで1日の平均投稿数は約1.6億件に上ります(2016年8月現在)。SNSが全盛の中国では、Weiboユーザーをはじめとするインターネットユーザーは積極的に情報を収集・検索し、自分なりに分析して購買行動を起こすようになっており、大衆宣伝を信じない中国独自の志向性から“口コミ”によるKOLの重要性が高まっています。
KOLを利用したマーケティングを行う際、企業は自社が売り込む商品に関係するジャンルのKOLを選ぶが一般的ですが、人気のジャンルには、“自称KOL”を名乗るアカウントが多数存在し、フォロワー数を競い合っています。フォロワー数が多ければ良いのかというと、一概にそうとは言えません。悪意のあるユーザーがフォロワー数を金銭で売買しているケースもあります。また、フォロワー数が多くても投稿頻度が少ないなどの理由から頻繁にアクセスするフォロワーがいなければ、投稿内容はほとんど影響力を持たないなど、KOLの選定には注意が必要です。
KOLの中にはスポンサーの後押しを受けているアカウントが存在し、宣伝色の強い投稿も多くあります。それでも、発信者が信頼のおける魅力的な人物であれば、フォロワーをはじめとする大きな情報拡散が期待できます。さらに商品が魅力的なものであれば、口コミはSNS上で伝言ゲームのように人から人へ伝わって行きます。KOLと連携する際には、KOLの投稿が、いいね!やシェア、コメントなどを通じ本当に末端まで繋がっていくのかを考えることがマーケティング成功の鍵を握っていると言えるのではないでしょうか。
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