“中国三大電子マネー” VS “仮想通貨”
オンライン旅行事業、訪日旅行事業、ITオフショア開発事業、投資事業などを手がけてきたエボラブルアジアがビットコインなどの仮想通貨を日本円に両替するサービスを始めました、そして急増した中国人観光客に対応すべく中国の決済サービスに対応する NIPON PAY などのマルチ決済サービスが開始され仮想通貨にも対応していくと言います、そこでこの“決済サービス”事情に迫ってみます。
中国の三大オンライン決済サービスとその背景
中国では銀聯カード(Union Pay)、支付宝(Alipay)、微信支付(WeChat Pay)などの電子マネーが使われており中でも銀聯カードは中国のカードシェアの9割を超えていると言われます、最初はデビッドカードの銀聯カードが独占していましたがそれにオンライン決済サービスのAlipay・WeChat Payが普及して中国人の財布代わりになっているとのことで中国人の財布の中には現金があまり入っていないそうです。その背景には偽札の存在が有るようです、ATMから引き出されたお金までもが偽札だったという驚きの話があります、そして偽札と分かってもみんな意に介さずそのまま使うそうで、たとえ警察や銀行に届けてもその分の保証は無く自分が損するだけなので知らぬふりをしているそうです。日本では大金を持ち歩かぬためのクレジットカード・電子マネーなのに中国では全く別な理由もあるようです。
仮想通貨は決済手段の一つ
仮想通貨(暗号通貨ともいわれている)とは、インターネットを通じて不特定多数の間で物品や対価に使用でき、中央銀行などの公的な発行主体や管理者が存在せずに専門の取引所を介して円やドル・ユーロ・人民元などの通貨と交換できて種類は600種類以上あるといわれます。これは“法定通貨”に対して“特定の国家による価値の保障”を持たない通貨で、日本では「資金決済に関する法律」第3章の第2条5で定義されており2017年4月1日に施行されています、つまり法定通貨ではないが“決済手段の一つ”と解釈されているのです。そして現在、仮想通貨市場のトップに君臨しているのがビットコインですが、その2番手を担うイーサリアムが年内にもビットコインを追い抜くという予測が出ています。
中国での仮想通貨事情
中国では仮想通貨取引に対する規制ガイドラインが設けられていました、市民が中国のビットコイン取引プラットフォームを使用する際には5万元を預け入れるため市民の身元を確認する必要があり、マネーロンダリング対策からも身元確認は重要でビデオ認証も必要になると報じられていました、そしてPBoC:中華人民銀行(People Bank of China)がビットコインへの過熱した投資によって“人民元の価値”を心配してレバレッジ取引と信用取引を禁止するという規制を行い、中国政府によるビットコイン規制も更に厳しいものになって、これによって引き起こされた暴落は“PBoCショック”と呼ばれています。しかしその後にマネーロンダリング対策がある程度完了したためビットコイン規制が解除されましたが、それに伴いビットコインは一気に価格上昇となりました。
クレジットカード VS 仮想通貨
クレジトカード払いと仮想通貨払いは一見似ているようですが実は全く違うのです、どの様な違いかというと売り手と買い手のどちらがリスクを負うかということです。クレジトカード払いの場合は売り手がリスクを負わなければなりませんが、仮想通貨払いはデフォルト(債務不履行)の面で買い手がリスクを負わなければなりません。仮想通貨の種類によってはエスクロー機能(取引を担保する仲介者)がついているものも有り、このエスクローに対応している仮想通貨を使えば売り手と買い手の両者が対等に取引することが出来ます。企業にとってはどちらが有利なのでしょうか、買い手からしてみると仮想通貨の価値が大幅に上昇して持っている仮想通貨で買える物が増えるといったことが無い限りわざわざ仮想通貨払いを選択する理由がありません、企業から商品を購入するときに消費者側にリスクを負わせたらいずれ大きな問題が起きる可能性もあるため企業側のリスクが逆に高まります、従って現状では当分はクレジトカード決済の方が無難と言えそうです。
マルチ決済サービスと仮想通貨決済の融合
リミックスポイントの子会社であるビットポイントジャパン(BITPoint)が、中国三大決済サービスである「WeChatPay」「Alipay」「UnionPay」などの決済サービスを提供する“NIPPON PAY”と、仮想通貨決済サービスの展開について業務提携することを合意しました。これにより中国人観光客インバウンドに貢献する“NIPPON PAY”は、中国三大決済サービスに仮想通貨決済サービスが加わることで、中国人のみならず日本人も含めたグローバルなトータル決済サービスの提供が実現するわけです。そして、“ぐるなび”もスマホやタブレット端末を使った決済サービス「Coiney(コイニー)」を展開するコイニーと提携してマルチ決済サービス”ぐるなびPay“を開始しましたが、こちらもビットコインでの支払いにも取り組でいく方針のようです。
その他にもWeChatPay とQQ Wallet(QQ銭包)を扱うビリングシステムなどマルチ決済サービスが次々と生まれています、これは中国人観光客の急増が日本経済にもたらした産物と言えるのではないでしょうか、しかしながら仮想通貨決済は慎重を期することが肝要といえるのではないでしょうか。
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