増える!中国からの医療ツーリズム
近年,中国から日本への「医療ツーリスト」が増加しているという調査報告がありそのニーズはさらに多様化し,市場が拡大し続けています。
中国からの医療ツーリストの目的で,もっとも多いのは、PET/CT診断や人間ドックが多いようです。
中国では洋食の普及や社会の近代化の影響で,がん患者が急増している現状があります。
医療ツーリズムとは?
先進国の人々や新興国の富裕層が,自国では不可能な医療に対し,より安いコストの医療を求め,外国に渡航して治療・診療を受けるのが「医療ツーリズム」とされています。
ここ数年,日本を訪れる外国人旅行客は急増しています。
この中には日本の誇る先進医療や精度の高い検診技術を求めて来日する患者がおり,その数も着実に増えているようです。
中国医療の現状
中国は2010年にGDP(国内総生産)で日本を抜き,世界第二位の経済大国となり国民の生活も飛躍的に改善しました。
しかし,その中国において,いまだ発展途上にある分野の一つが医療です。
2000年の世界保健機関(WHO)による医療システムに関する評価が,
191カ国中,188番目に低かったことが中国の医療の現実です。
総人口が多い中国では,保険制度が整っていない事と,都市部や大病院に患者が集中している現状があり,国民すべてに格差のない医療を提供するには中々難しいものがあります。
中国からの医療ツーリズム増加の背景
中国でも,すでに大病院には日本と同水準の検査機器が導入されています。
それでもなお,日本でがん検査を行うことを希望する中国人が増えています。
それは,中国国営『新華社』が2015年の中国におけるがん患者の5年生存率は約37%と発表しています。
一方日本は,国立がん研究センター発表によると2007、08年の調査で5年生存率は約70%なのです。
この数字は,すでに調査から10年近く経過しているので中国では日本の5年生存率は,現在では70%を超えているとの見方がメディア等で紹介されています。
この数値には,もちろん医療技術の差や人口比で最新機器が揃った病院の数が少ないこともあり,実際のところは中国には国民皆保険制度が確立されていないので,定期検診などの習慣も根付いておらず発見が遅れるという事情によることも大きいと思われます。
しかし,それでも中国の富裕層にしてみれば生存率7割超というのは非常に魅力的な数値なのでしょう。
そして今,中国からの医療ツーリズムに新しいトレンドが生まれています。
医療ツーリズムとニーズの多様化
最近では,予防医療としてのアンチエイジングや,美容医療としてのプチ整形などが女性を中心にニーズが高まっています。
アンチエイジングの1つで,自己幹細胞で培養した化粧品を作ったり注射や点滴を打つなども人気があります。
また,中国でも腸内フローラ改善に注目が集まっており善玉菌へ入れ替えることでニキビや便秘改善の効果があり,日本での施術費は20~30万円でも希望者は増えているようです。
医療ツーリストへの日本側の受け入れ
日本は,2012年に「外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)」を設け,現在19か所の医療機関が認証を受けています。
しかし,外国人患者受入れの環境は整っているとは言い難く医療通訳などの人手不足がもっとも多く,まだまだ受け入れ体制は万全ではない状況です。
そこで,この状況に対し外務省や経済産業省が「国際医療交流コーディネータ」
制度を設け,医療を受ける外国人に対し医療滞在ビザの取得や医療通訳の手配、
滞在先の確保などを一括で行える会社を認定しており,現在では45社が認定され外務省のホームページで公開されています。
増加する中国人の医療ツーリズにより,日本の医療施設に中国人患者が当たり前にいるという時代が訪れるのでしょうか?
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