中国政府がモバイル決済と消費者金融にメスを入れた
中国人にとってはあらゆる商品の購入はモバイル決済で行うのが常になっており、日本銀行が2017年6月に公表したレポートによる、中国都市部の消費者の98.3%が、過去3カ月の間にモバイル決済を「利用した」と答えたといいます。そんな中、モバイル決済にまつわる疑念や詐欺の多発に対して、ついに中国政府は規制に乗り出しました。
利用者の資金で金利収入
金融機関はいつでも預金者の払戻し要求に応じられるように、預金総額の一定割合の支払準備金を保有していなければなりません。支付宝(Alipay)や微信支付(WeChatPay)などモバイル決済プラットフォームを運営するアリババやテンセントも同様であり、中国人民銀行の規定では社内に留保すべき支払い準備金の比率は20%でした。
したがって、運営側は利用者がチャージしている金額の残り80%を自由に動かせるわけで、利用者の資金の80%を金融機関にプールして金利収入を得ているわけです。そこで中国人民銀行は2018年4月からモバイル決済プラットフォームの支払準備金の比率を現状の20%から50%に引き上げるとのことです。
モバイル決済の利用限度額も規制
また、QRコード決済に関連した詐欺事件が発生していることから、人民銀行はモバイル決済の利用限度額も制限するといい、一日あたりの利用限度額は、アカウント状況に応じて500元、1,000元、5,000元の3通りに制限するとのことです。
中国のスマホ決済は受取側・支払側ともに固有のQRコードが割当てられ、支払い処理が行われますが、重慶市で起きた事件は、レジ前に設置されている店舗固有のQRコードを確認したところ、本物のQRコードの上から何者かによってプリントされた“別のQRコード”に貼り替えられていたというものです。
店側が気づくまでになんと約2,000元(約3万2,000円)分の決済が“別のQRコード”の持ち主(おそらく犯人)に渡ったといい、QRコードは一見して見分けがつかないという盲点を突いたもので、類似した事件が多発したのです。
消費者金融への規制
中国の規制当局は興盛する消費者金融への規制も強化します。日本では消費者金融の金利は、ずっと昔から高い高いと言われ続けており、2010年の6月以降から格段に低くなりましたが、それでも高い金利であることは間違いありません。
現在の日本における金利の上限は、契約が10万円未満の場合20%、10万円以上100万円未満の場合18%、100万円以上の場合15%となっておりますが、中国の消費者金融は法外に高い金利を課しているといい、支付宝(アリペイ)での貸出金利は最大で24%になるとのことです。
また、中国では住宅ローンの頭金を消費者金融でまかなうケースが急増しており、2017年3月から9月までの半年で消費者金融を通じて約3,000億元(5兆円)の資金が不動産市場に流れ込んでおり、中国金融当局は消費者金融に対して、厳しい引き締め措置を打ち出しています。
個人情報収集ポリシーの注視
アリババがAlipay (支付宝)での消費者の買い物動向をまとめた詳細なレポートを発表したところ、利用者から反発の声があがり、アリババは謝罪声明を出しました。また、テンセントのWeChatPay(微信支付)に関しても同じ様な疑念の声が高まっていることから、当局は今後、個人情報収集ポリシーに関しても注視していく構えだとのことです。
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